今回から、ついに最終巻です!

前回、ブリゲッラを倒した鳴海。
長足クラウン号の助けもあって、とうとう射場へ到着となりそうです。

彼はこのまま、しろがねを置いて宇宙へ向かってしまうのでしょうかー

感想です☆





機械仕掛の神~第83幕 「過去と伝統」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ボードヌイ射場から250キロほど 離れたところー
そこで勝(まさる)とカピタンは戦っていた。

2人の戦いは長く続き、勝の体力は激しく消耗していた。
彼が疲れてきているのに気づいたカピタンは、自分がいかにスゴい人物かを滔々と語る。
偉大な歴史を背負って立つ自分に、子供が敵うわけがないー
彼はそう言い、笑うのだった。

それを聞いたグリュポンは、カピタンの言っていることは全て嘘だーと叫ぶ。
するとそれが気にくわなかったのか、カピタンはグリュポンを攻撃した。
そして彼は、そろそろ戦いを終わりにしようーと、彼の伝統の技を繰り出すのだった。

撃破!!

その攻撃を、必死に食い止めようとする勝。
だがカピタンの力は強く、彼はその攻撃を防ぎきれず受けてしまうのだった。


痛みに喘ぐ勝。
その姿を見て、カピタンは子供とは泣き叫ぶだけの存在だ・・と話す。
だから泣け!そうして足にすがりつけば、命だけは助けてやるー
彼はそう言い、高らかに笑い声をあげるのだった。

するとー
勝は口を開く。
自分はもういっぱい泣いた・・
彼は今までにあった色々なことを思い出す。

皆と出会い、楽しいことも悲しいこともあった。
何もできない自分に、悔しくて泣いたこともあった。
でも、もう泣かないー

勝はそう言うと、起き上がる。
泣いてたら助けられないから、今は泣くときじゃないー
彼はジャコを繰り、立ち上がり、笑った。

笑うべきときなんだー!!

そう言うと、勝は空中へと飛ぶ。
カピタンが追ってくるなか、彼は鳴海に呼び掛けた。

鳴海兄ちゃん、笑うって強いことだよね・・?
笑うと、人にも自分にも優しさや勇気をあげることができるんだからー

彼は強い瞳で空を見上げ、笑う。
僕は強くなる。
鳴海兄ちゃんのようになるんだー皆を助けるために!!


勝は腰に刺した刀を抜く。
そして向かってきたカピタンに飛び、切りかかった。

その刀を受け止め、カピタンは叫ぶ。
ジャコから離れた勝は、彼が突き放せば落下して死んでしまう。
死ぬ気で向かってきたつもりかー?!

彼は勝の覚悟を感じ、それでは自分の偉大な歴史を最後に聞かせてやろうーと話し出す。
すると勝は、彼に一言言った。
うるさいーと。

その言葉に、カピタンは一瞬詰まる。
勝は言った。
過去がなんだ・・と。

彼は過去を憎む、と告げた。
悲しい過去は、今を生きる人をがんじがらめにして、幸せをも奪ってしまう。
現在を生きるためには、過去に操られてはいけないんだー
そう言い、勝は全力を込めてカピタンを圧す。

その力におののいたカピタンは、勝が祖父正二(しょうじ)の記憶を受け継いでいたことに思い至る。
彼は笑った。
過去を憎むと言いながら、勝自身が一番過去にすがり、その伝統の力で戦っているではないか、と。

伝統は偉大なものだ。
自分をほめたたえるためのものなのだー
そう話すカピタンに、勝は反論する。

違う、伝統は人間の姿勢のことだ。
悲しい昔をマシにしようとする、心のことなんだー!!


カピタンは、彼の剣に雷を込める。
だが勝はカピタンのベルトに足をかけ、そこに力をかけて剣を折った。
そして驚く彼を尻目に、勝は彼の中の正二と相談した。

じゃあ次はこの技で行こうー
正二の優しい手が、彼を支えるー

おじいちゃん、僕に力を貸してー!!

勝は伝統を語るカピタンを見据え、刀を振るうー

見浦流万風、不帰釼ー
「転」!!

その技は、真っすぐカピタンの顔を切り裂いた。

勝は言うー
カピタン、お前の伝統なんて、一秒で忘れてやるーと。

そうして2人は、空中から落下するのだった。



地面に転がった勝に、グリュポンはすぐに飛び寄った。
心配する彼の側で、勝は起き上がる。
怪我は酷かったが、勝は生きていた。

あいつは強いから、死ぬ気で戦ったんだ・・
そう呟く勝に、グリュポンはようやく安堵の息をつくのだった。


その後、2人は急いでボードヌイ射場へ向かう。
途中にあった客車の残骸は、彼らを不安に掻き立てた。
だがシャトルは見なかったー
そのことを支えに、彼らはようやく射場へとたどり着く。

するとー
勝はそこに、法安(ほうあん)の姿を見つける。
法安はここまでシャトルを運んでくれた長足クラウン号を見上げていた。
その機体はオートマータの攻撃でボロボロになっていた。

ここまでありがとう・・
彼はそう呟くと、クラウン号に別れを告げるのだった。


そこに、勝が姿を見せる。
驚きと同時に、彼が無事だったことを喜ぶ法安。

彼は勝に、シャトルを見せる。
そう、自分たちは賭けに勝ったのだー
彼は誇らしげに、そう語るのだった。














勝VSカピタン!!


今回はこの2人の戦いでした!

そういえば鳴海としろがねの衝撃で忘れていましたが、2人戦ってる最中でしたねw
さすがは勝!
素晴らしい戦いでした。



カピタンは相変わらずでしたね。
彼はメインでも、イマイチ強く見えないんだよなー。
あの口上が、完全に彼をダメなヤツに見せてますよね(^^;)

伝統、台無し・・w


最後に勝に切られるときに、そのセリフまで切られていましたね。
彼の見せかけの伝統を打ち破る勝・・かっこよかったです。


そもそも、勝は自分の悲しい過去を断ち切るため、そして正二たちの悲しい歴史を断ち切るためー
常に過去から逃れるために戦ってきました。

そんな彼に、カピタンはまさに絶好の敵でしたね。
彼を打ち破った彼は、悲しい過去の呪縛を解き放ったとも言えるでしょう。

うん、そう思うと今回の戦いは、まさに勝の集大成ともいえる戦いでしたね。


序盤での、勝の気づき。
泣くべきじゃないときは、笑うべきなんだー

このセリフ!

2話前のしろがねといい、ここで過去が回収されるー
この手法には、お見事としかいえないです!!


そう、このセリフは3巻の鳴海のセリフですね。

笑うべきだと分かったときは、泣くべきじゃないー

実に40巻かけての回収ですよー!
素晴らしい・・!

こんなに勝の成長が分かるセリフがあるでしょうか。


これで、鳴海が宇宙に行っても安心といえるでしょうね。
そうか、そのためにこのセリフはあるのかもしれませんね・・。

鳴海の意志が、勝に引き継がれる瞬間ー
それがこの時だったのかもしれません。


この成長を見るために、私たちはこの長い物語を見てきたのかもしれませんね。



そして勝は悲しい過去に立ち向かい、見事それを打破しました。
ここも、正二の力を借りるというのがなんとも良い演出ですね。

思わず涙が出てきちゃいました・・
彼の中には、今も正二が息づいているのですね。


伝統は誇るものじゃない。
今を生きる人が、より良い人生を歩むために頑張るためにあるのだー

まさに、その通りだと思います。
そのことに気付けなかったカピタンの、完全な敗北ですね。




勝・・立派に成長しました。
もしかしたら、彼が鳴海の代わりにしろがねを引き受けるのかな・・。

悲しい結末のようですが、それもありかな・・と思いました。
それほどに、彼の成長はめざましかったです。




そして、ついに射場にたどり着いた勝ー
流れ的に、いよいよ次回、鳴海と会うのでしょう。


宇宙に行く鳴海の意志を、勝は継ぐのでしょうね。
ここまで長かった・・でも、今会うから意味があったのですね。
ようやくわかりました。


次回は絶対に泣くなぁ・・。
2人の再会、心して見守りたいと思います!






というわけで、次回は宇宙に向かう鳴海と、勝がついに再会するのでしょう。

まだしろがねとハーレクインの問題が残っています。
2人はどんな決断を下すのかー

次回も楽しみです☆