前回、ついに再会したナツと嵐、安吾。
一方蝉丸・まつり・涼も動き出します。

3チームに別れた一行。
皆それぞれの目的を果たすことができるのでしょうかー。

感想です☆





小暑の章14 「-虹とスニーカーの頃ー」




※以下、ネタバレあり※











 <現在地>  
・春のチーム 
 ハル・のび太・・関東 夏のAの村
 花        ・・生死不明
 角又・ひばり   ・・佐渡へ
 藤子・ちさ    ・・不明 
・夏のAチーム 
 源五郎・鷭・小瑠璃・虹子・・関東 夏のAの村
 安吾・涼     ・・富士号
 あゆ       ・・東北へ
・夏のBチーム 
 ナツ・嵐・蝉丸・まつり・蛍・牡丹・・富士号
 ちまき      ・・ぞうとらいおんまる 
 百舌       ・・不明
・秋のチーム  関東 夏のAの村
・冬のチーム  東北へ






◎あらすじ◎

トイレットペーパーを持って帰ると、嵐(あらし)はナツをほめた。
そうだよな、せっかく来たからには、使えそうなものはもらっていかないとー。
そう言って、彼も男子トイレを見に行く。

その間、ナツはリュックにペーパーを詰め込んでいた。
一緒に出て来たミミの写真に、彼女はほほ笑む。
ありがとう、ミミちゃんのおかげで頑張れたよー

すると安吾(あんご)がそれを見て、その写真は何か、と尋ねた。
そこでナツは写真を見つけた状況と、この写真が自分を奮い立たせてくれたことを話す。
それを聞いたー安吾は言った。

もうあんな危ないことはするな。お前には無理だー

その言葉に、ナツは固まる。
どうして・・彼女はうつむきながらも言った。
テーブルクロス引きの時はお前は本当は出来るんだ、と励ましてくれたのに、どうしてー?

安吾は答える。
あの時は命の危険はなかった。でもさっきのは落ちるから駄目だ。
これからも・・
だがナツはそれを遮った。

嫌です・・。
彼女は震えながらも、自分の意見を振り絞った。
嫌です、あたしは頑張りたい。
ここに来て、初めて役に立てた気がした。
できることもできないことも頑張りたいです・・。

すると戻ってきた嵐も、それに加勢した。
安吾は、まるでナツが失敗した方が良かったかのように聞こえるー
彼はそう言い、安吾をじっと見つめた。

そんなことはない・・。
安吾はそれに答える。
俺はお前のためにーそう言った彼は、茂(しげる)の言葉を思い出した。

安吾は僕を信用してない。対等な友達と思っていない。
だから僕がトップを取った時、安吾はムッとしたんだよねー

瞬間、腕が傷んで彼は呻いた。
驚いた嵐が、大丈夫かと声をかける。
だが安吾は・・自分の手を見つめた。

本当は痛みなんかもうないんだ。ただ指が動かないだけ・・。
どうやらこれも、痛む気がするだけらしい。
自分はずっと、幻覚を見ているようだー
彼は言った。

そして、安吾は2人に先に行くように告げた。
自分は休んでいくから、先に行っていろ、と・・。


だがそれを聞いた2人は、反対した。
こんな場所でバラバラになんかなりませんよー
嵐が言った。

自分は再び皆に会えて、本当に嬉しかった。
だから俺は自分が一人になるのも、誰かを一人にするのももう嫌なんだーと。

そうして彼は訊いた。
安吾はさっき水の中にいたときも幻覚を見たと言っていた。
その幻覚とは、どんな内容なのかーと。

そこで仕方なく、安吾は話す。
鍾乳洞のような洞窟を歩いている気がしていたことを。
それを聞いた嵐は、そういうところに行ったことがあるんですね、とうなづく。

そして彼は安吾に、そこにもう一度戻ってみないか?と持ちかける。
もし幻覚ではなくそういうところが本当にあれば、なんてことない訳だ・・嵐はそう説明するのだった。

またナツも、鍾乳洞のようなボコボコはこの船に沢山あるので、きっと本当にそういう場所があったのだ、と励ます。
2人にそう言われ・・安吾は深くため息をついた。

それから、彼は立ち上がった。
行くぞーそう言って、背を向ける。
彼は自分が情けなくて仕方なかった。

よりによってこの2人に憐れまれるなんて・・。
しっかりしろよー彼は自分に、そう言い聞かせるのだった。

そこで、ナツと嵐も出発する準備をする。
嵐はこそっとナツに、安吾に言い返したのかっこよかった、と笑う。
ナツもうなづき、自分でもそう思う、と頬を赤らめるのだった。

嵐は歩きながら、時間はたっぷりあるのだから、ゆっくり探索するのもいいだろうーと話す。
そこでナツは、ふと思い出した。
あのモニターに刻まれていた、カウントダウンを。

結局あれは何だったのだろう・・。
ナツは首を傾げるのだった。


その頃ー
牡丹(ぼたん)と蛍(ほたる)は、協力して縦移動をしていた。

コントロール・ルームはまだまだ上だ。
牡丹は先の長さを思い、ため息をつく。

すると蛍は、縦になる造りなのだったら、何か梯子などが収納されているのではないか?と口にする。
そこで2人は梯子を探しながら、進むことにした。
時間はまだ半日ある・・彼らは焦らず安全に進もう、と決めるのだった。


一方ー
涼(りょう)は、安吾からモールスがなくなったことを気にしていた。
移動しているのだとしたら、特に問題はないということか・・。

そんな中、蝉丸(せみまる)はまつりに、船の中に武器が多数あったことを説明していた。
そこでまつりは、涼はなぜ銃を持っているのか、と尋ねる。
そして彼が元から荷物に入っていたと言うのを聞き、2人は不公平だ、と騒ぐのだった。

涼はそれよりーと、蝉丸が感じた気配について問う。
だが彼は今は何も感じない、間違いだったかも・・と苦笑する。
でも蝉丸は勘がいいから、いないとは言えないー
涼はそう心に刻むのだった。

そうして彼はまつりに、蝉丸を連れて元来た道を戻れ、と話す。
自分は安吾を助けてから行くから、先に外に出て入ろーと。

すると蝉丸は、手ぶらで帰る訳ないだろ、と笑った。
まつりも同意し、2人はどんどん中へと進んでいく。
そして彼らは調理場を見つけ、歓声を上げるのだった。

料理にハマった蝉丸は、鍋やフライパンを持ち帰ろうと意気込む。
一方何か食料はないか、とまつりは冷蔵庫に手をかけた。
その手を、涼の手が掴む。
冷凍庫は開けるな。
彼はそうまつりに命じるのだった。

西のシェルターは罠だった・・。
涼は眉をしかめる。
この船も何かある。明らかにヤバい種類だ。
見極めて、関わるな。騙されるな。巻き込まれるな。

これがテストだったら・・既に大失敗だ。
そうだろう、先生たちよ・・。
彼はそう一人思うのだった。


その後、中を探検していた3人は、体育館のような広いスペースに出る。
そこにはなんと、バスケのゴールや卓球台があった。
蝉丸とまつりは歓声を上げ、ボールとラケットを手に取り、早速卓球を始める。
涼はそんな2人を見て、考えた。

こいつらは・・何をしてるんだ?ここに何をしに来たんだ?

彼は2人に一緒にやろうと勧められるが、やったことがない、球技は意味がない、と突っぱねる。
だが話を聞かない2人は涼にボールを投げ、涼がそれをすかすのを見ると大笑いした。
その事実にー涼はむっとする。

彼はすぐさま2人に向けて、鋭い球を打った。
あっというまに2人はのされてしまう。
蝉丸が、この卓球台を持って帰ろうと言いだした。

更に、彼らは今度はバスケットボールも始めた。
2人は涼がいくら意味がない、と言っても、聞かずに遊びに興じる。
その姿を見ながらー彼は新巻(あらまき)たちに言われたことを思い出していた。

夏のAの皆さんは、野球はやらないんですかー?
あんたら趣味とか生きがいとかないの?人として生きていくためじゃないかー

そこで涼はボールを放ってみる。
するとそのボールは真っすぐカゴに入った。
思わず彼は眉を上げるー

だが彼は2人が見ているのに気づき、すぐにそっぽを向いた。
その後ろ姿を見ながら、まつりがふと口を開く。
もうちょっと前だったら、こんな懐かしいものを見付けたら、きっと元の世界に戻りたくて泣いたと思う・・。
彼女はそう話した。

でも今はもう遠い世界の話というか、こういうものなしでも生きられるんだなーと思う。
そういうことが実感できて、ここに来て良かった・・
彼女はそう笑うのだった。

ーその言葉に、涼は戸惑う。
ここに来て良かった・・?
また彼女はもっと面白いものがあるかも、と涼の手を引っ張る。
面白い・・?
彼はそれが理解できず、眉をひそめるのだった・・。


一方ー
ナツたちは、安吾が来た方に戻っていた。

そこは確かにボコボコしたものが多く、鍾乳洞のようだった。
本当にあったのか・・
彼は自分を信じよう、と戒める。

ナツがボコボコの中に骸骨があるのに気づき、悲鳴をあげた。
嵐はそれを見て、海の中の映像でこういうのを見たことがある・・と呟く。

すると安吾が、これは鉄を食うバクテリアだ、と話した。
バクテリアには、そうやって酸化させ、自分たちのエネルギーとする種類がいる。
きっといつかは船も跡形もなく消えるだろう・・彼はそう2人に説明するのだった。

また、鉄は人間の体内―特に血の中に多く含まれている、と彼は言った。
だからここの乗員たちは血を流して死んで、バクテリアがそこに繁殖したのだろうー。
地球上のものは、多く循環するものだ・・と。

それを聞いていた嵐は、安吾は兄弟がいるか、何かキャプテンなどをしていたのか?と訊く。
彼はいつも質問に面倒くさがらずに答えてくれる。
だから安吾は先頭で風を受けて来た人のように思えるー
そうじゃないか?嵐は尋ねるのだった。

だが安吾は、かっこいいことなんか何もない。自分は無様だ、と嵐に答える。
そして早く進もう、と2人に声をかけるのだった。

そこで、ナツも2人についていこうと歩き出す。
その時ー彼女はまた、何か生き物の気配を感じるのだった。


ー牡丹たちは、ようやくコントロール・ルームへとたどり着いた。
途中で蛍が格納された梯子を見つけたのだ。

そこで、2人はミサイルを止めよう、とモニターを覗く。
するとーそこには、こう表示されていた。

ミサイル発射の実行解除が可能である時刻まで、後3分を切ったーと。




















夏のAとBの化学反応。


今回は3チームがそれぞれに、船の中を冒険する話でした。

最後は衝撃でしたね。残り3分切ったって・・。

解除にはパスワードとか必要なのですかね。ただ切れるとは、到底思えません。
折角コントロール・ルームまで来たのに、このまま解除はできずに終わってしまうのでしょうかー?

次回が気になりますね!!




さて、そっちも気になりますが、今回は安吾と涼が夏のBに影響を受けていく姿がよく分かって面白かったです。


特に涼!
蝉丸とまつりがいい味出しているんですよね。

涼をああいう風に扱えるのって、この2人しかいない気がしますw


涼にとっても、特にこの2人は自分の理解を越えているのでしょうね。
あの涼が戸惑っている・・と思うと、すっごくおもしろいです。


初めて球技をやって、ちょっと表情に変化が出てきているのもすごく良かったです。
怒ったり、ちょっと興味をひかれた顔をしてみたりー
涼もまだまだ少年なのですよね。

彼からそういう表情を、教師たちが奪ってきたのだな、と思うと切なくなりますが、まだまだ彼にはこれからの人生があります。

夏のBと過ごすことで、新しい人生を歩めるかもしれない・・そんな期待が生まれました。
まつりともいい感じだし、これは楽しみになってきましたね。


まだテストのことは彼の中で引っかかっているようですが、いずれはそれも違うことに気付くでしょう。

なんだか希望が見えて、心が明るくなる回でした。


そう思うと、落ちこぼれメンバーが選ばれたことや、何か一芸に秀でた人が選ばれるのも自然な気がしてきますね。

頭脳面、肉体面で優れていることももちろん大事ですが、やっぱり生きていくには趣味や生きがいが大事ということですよね。
人間はそれなしでは、生きられないということなのでしょう。


まだそこまで涼は理解していないとは思いますが、今回のことで少し目の前が拓けたのではないかと思います。
夏のBの素直に受け入れ楽しむ姿を見て、人間らしい生き方というのを知っていけるといいですね。





一方、安吾。

彼も嵐との関りで良い方向に進んでいるな、と感じました。
花とは合わなかったけど、嵐とは合うんだなー。
なんかちょっと複雑ですね。


ナツのことはどうしても茂と重ねてしまうみたいだけど、生きているナツの成長していく姿を見ることで、彼のトラウマも少しずつ緩和されていくといいな、と思います。

嵐の案も、なかなか良いですね。
幻覚かどうか確かめるー確かめたら、案外大したことなかったりしますもんね。

茂の件はそんなに単純にはいかないでしょうが、それでも一度真っすぐ向き合うことが大切なんだろうなーと感じました。
そのためには、やっぱり涼がロープの件を打ち明けるのも必要かな、と思います。

茂は自分の意志で、安吾を助けると決めた。
自分で決断して、死ぬことを選んだ。
このことに真っすぐ向き合えれば、変わる気がします。


安吾だって、根っから悪い訳ではないのです。
本当は誰よりも他者を思い、動ける人なのです。

なのに、今はそれが発揮できない・・。
それも教師たちが彼にしたことのせいです。


涼といい安吾といい、まだまだ教師の洗脳にかかっている状態です。
でも夏のBといることで、少しずつそこから抜けだす選択が見えてきたような感じがします。


このまま関わり影響を受けることで、良い方向に進むといいですね。
もちろん夏のBだって、夏のAである2人に多大な影響を受けています。

互いに影響し合い、成長していく・・。
この2チームならそれができると思います。


いつか再び他のチームと会う日のためにも、安吾たちは人間としてのふるまいを、夏のBは考えて生き抜く力を手に出来るといいですね。

期待しています。






最後に、バクテリアについて。


ついに謎の生物の正体が分かりましたね!
バクテリアですか!!


鉄分に反応する酒類というのもいるのですね。
となると、やっぱり心配なのはナツですね。

直接襲い掛かるようなことはなさそうですが、彼女を追ってバクテリアがどんどん繁殖したら、船の摩耗は進むのではないでしょうか。

機能に不備をきたし、出られなくなるとか、再び横にひっくり返るなんてことがないといいのですけど・・。



でも逆に言えば、バクテリアの繁殖が進むことで、ミサイル発射が防がれる可能性もあります。
いいのか悪いのか・・難しいところですが、でもやっぱり不気味ですよね。
何事も起きないように、見守りたいと思います。。






さて、次回は牡丹たちがミサイル発射解除に奔走する話でしょうか。


ただ残り時間3分では、解除できない可能性の方が高いかなー・・と。

そうなると今度はどう対処すればいいのでしょうね。
機械を止めるしかないのかな・・。


バクテリアの心配もあるし、予断を許しませんね。

次回も楽しみです☆