前回、新居を守るために力を合わせたメンバーたち。
そんな中、安吾は自分のすべきことに気づきます・・。

いよいよラスト、皆はどんな未来に向かって、歩き出すのでしょうかー?

感想です☆





後編 「-未来へー」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

安吾たちが砕いた岩山の間から、水がほとばしり出た。
夜目にも白い滝となって、そのまま海まで流れていく。
沢山の種子を乗せてー

花(はな)たちは、その様子を眺めた。
どこかの海岸にたどり着いたりするのだろうか。それぞれの親が、願ったように・・。

そのお陰で、水はどんどん減っていった。
まつりが安吾たちのおかげで家が無事だ、と息を吐く。

彼らはその様子を見届けると、そのまま戻っていった。
秋ヲ(あきを)が今回のことはありがとうと礼を言うが、2人が振り返ることはなかった・・。


数日して、新居が完成した。
その素晴らしい出来に、皆感嘆する。
上には屋根がかかっているので、雨の直撃も免れる。
設計した蘭(らん)たちと建設に携わった刈田(かりた)は、これから
まだ手を入れると笑った。

噂を聞きつけたくるみたちも、船から降りてきた。
彼女は体調を心配されて平気だと答えるが、その代わり新(あらた)が・・と口を開いた。

くるみによると、新は要求があるとき以外、ほとんど泣かないのだという。
体調に問題はなさそうだが、大人しすぎて心配だ・・そう話すのを聞いて、藤子(ふじこ)が気付いた。

もしかしたら、察しているのかもー
その言葉に、鷭(ばん)もうなづく。
どの動物も、天敵に見つからないように子を隠す。
そして子供も、食べられないように静かにする。

夜に泣いたら危険だーそう考えているのかもしれないと言われ、くるみと流星(りゅうせい)は驚く。
だが藤子は、この世界で生まれた子だから、と笑う。
鷭も自分たちとは違う進化の過程にいるのかも、とほほ笑む。

彼らの話に、くるみは安心した。
夜中に泣けるのは、平和な証拠だったんだー
彼女はぎゅっと新を抱きしめる。

そして分からないことだらけだ、と苦笑するくるみに、茜(あかね)が当たり前だ、と言った。
くるみはまた別のレベル1を始めたのだ。今は後進のために、レベルを上げておいてー

彼女の言葉に、花もうなづく。
花が一番次の可能性が高いからね、と皆にからかわれているのを見て、ナツはどぎまぎした。

そうか、花たちには身近な話なんだ・・。

彼女は自分には、まだそんなことは全然想像できない、と思う。
蝉丸(せみまる)といずれそうなることを想像して、彼女は顔を赤くするのだった。


雨はまだ降るが、あふれることはなくなっていた。
安吾は、毎日新居を守るための作業に励む。
涼(りょう)にいつまでやるのかと呆れられても、彼はその手を止めないのだった。

皆もそのことに気付いていたが、口に出す者はなかった。
そんな折、源五郎(げんごろう)がある提案をした。
蜘蛛の養殖をしよう、というのだ。

彼は糸は貴重だし、個体は食料にもなると主張するが、虫嫌いの蝉丸は断固と反対する。
名前に虫が入ってるのに・・と嵐(あらし)が笑うのを聞いたナツは、嵐もだ、とくすりとする。

するとその言葉に、嵐と蝉丸は目を見開いた。
嵐は自分の漢字に、虫が入っていることに今まで気づかなかったのだ。
理解した蝉丸は、大笑いする。

源五郎が、自分の名前も虫から来てる、と話しに加わった。
それなら蛍(ほたる)や虹子(にじこ)もだ、と彼らは虫チームを結成する。

それを聞きつけたメンバーは、互いに自分たちのチームは何かを話し、盛り上がった。
花や藤子、牡丹(ぼたん)に蘭、ちさ、くるみ、茜(あかね)、のび太(ももたろう)は花チームだ。
なんと角又(つのまた)も、万作(まんさく)という名は花からつけられたのだという。

他には、鳥チームもできた。
小瑠璃(こるり)に鷭(ばん)、新巻(あらまき)の鷹弘(たかひろ)、ひばりー
思いがけず盛り上がったことに、ナツはほっとすると同時に、どのチームにも入れず寂しく思う。

だがその時、ハルが自分とナツは同じチームだ、と声をかけてくれた。
秋ヲに、刈田(かりた)の葉月(はづき)、朔也(さくや)は八巻(やまき)と合わせて八朔ー
チームに加われたことに、ナツは喜びを感じる。

そうして、ナツは皆と少しずつ話せるようになっていった。
ハルがいじめられていたと口にしたので、ナツも自分もだ、と会話に加わる。
するとあゆが自分も、と言いだし、彼女は驚く。

聞けば、秋ヲもだという。
いじめる理由なんて、何でもいいのだーそう話す秋ヲに、あゆもそんな暇があれば毒のある草の一つでも覚えればいいのに、と呟く。

それを聞いていた新巻は、彼女の肩をぽんぽんと叩いた。
あゆは少し頬を赤らめ、もう大丈夫だーと彼に言う。

皆と話すようになって、ナツはあることに気付いた。
まつりも花も、あゆもハルも、蝉丸も・・前なら絶対に近づかなかった人たちだ。

いつも勝手に怖いと決めつけて、値踏みしていた。
皆、近づいてみないと分からないのにー


一方ハルは、小瑠璃がくりくり同盟を組んだのを遠目に見ていた。
彼女が嬉しそうなのを見て良かったと思う反面、寂しさを隠し切れないハル。

更に、彼は最近小瑠璃が自分に何か隠し事をしていることに、気づいているのだった・・。

ー角又は、塩を獲る子供たちの横で、理可子(りかこ)のノートとナツが方舟で見つけた資料を読んでいた。
彼は方舟のことを知らなければならないーと花に話す。
いつか解凍するときに、何かできればいいんだが・・。

そんな話をしていると、2人をのび太が呼んだ。
彼が指す方を見ると、水の中にロボットのようなものが浮かんでいるのが目に入った。
それを見た花は、驚く。

ペルー?!
それは方舟を動かす際に別れたペルの姿だった。
くっついてきたんだー
見に来たナツと蝉丸は、感激して思わず涙ぐむ。


一方ー
牡丹は、日々働く安吾たちを眺めていた。

彼女は別の場所で作業する源五郎たちの元に出向き、尋ねた。
もう、安吾たちと関わるつもりはないのかーと。

そう問われ、源五郎はなるべく考えないようにしている、と答えた。
安吾のことは好きだったし、尊敬していた。
だからこそ、他のチームや花にしたことを理解できないのだー
彼は正直な思いを、牡丹に伝える。

それを聞いた小瑠璃も、昔のようにはできない、と言った。
安吾は先生たちにされたことを、他の人にもした。
それは悲しいことだー

2人の話を聞いた牡丹は、思わず苦笑する。
あなたたちは全員本当に潔癖なのねー

それは悪いことか、と源五郎に訊かれ、彼女はアドバイスした。
無理に考えないようにしてるなら、いっそ考えてみてはどうかと。
そうしたらお互いに出来ることがあるかもー
その言葉に、源五郎と小瑠璃は顔を見合わせるのだった。


その夜、安吾と涼はまた船の話をしていた。
貸してもらえるまで、何度でも頼もうー
安吾は涼を、そう説得した。
信用してもらえるまで、何度でも・・。

その時、2人は誰かが来たことに気付き、顔を上げる。
その訪問者が夏のAの皆だと分かり、安吾は目を見開くー

それから、7人は久しぶりに話し合った。
何がしたいのかーそう虹子に問われ、安吾は口を開く。
すべきことは、分かっている・・


翌朝、2人の話を聞いた源五郎は、皆にも彼らの話を聞いてほしい、と切り出した。
メンバーの視線を感じる中、安吾は言った。
船を貸してほしい、と。

牡丹に何のためかと問われ、彼は説明した。
まず7つのシェルターを回り、残っているものを回収したいこと。
それを全部佐渡に持ってきたら、今度は海の向こうに出たいこと。
そして外国に行って人を探し、見付けたら話して情報を共有して、方舟を開けられる人間を探したいー
安吾はそう話した。

一緒に働ける人間、歩める人間を見付けたら連れてくる。
必ず連れて戻ってくるから、船を貸してほしいー
彼はそう言って、頭を下げた。

更に源五郎も、自分からもお願いしたい、と言った。
元居た場所から持ってきたいものもあるし、2人なら船の修理もできるー
それを聞いた刈田は、蘭に判断を仰ぐ。

すると蘭は、息を吐いて言った。
いいんじゃないのーと。

彼女は安吾が嘘をつけるようなタイプでは思えないと言い、外国人と揉めないことを条件になら貸す、と提案する。
安吾は即座にうなづき、涼にも気を付けさせると約束した。

そこで牡丹は、2人で行くのか?と問う。
そうなるーそう答える涼の腕を、まつりが取った。

あたしも行くんで!!

そう叫んで涼にしがみつく彼女に、ナツは驚愕した。
まつりもナツを見て、寂しそうに笑みを浮かべる。


話を聞き終えた角又が、茂(しげる)を埋めよう、と安吾に話した。
彼はちまきが掘ってくれた仏様の前に彼らを案内し、良い場所だろうと笑う。
家から近いし、日当たりもいい。この間の洪水でも埋まらなかった場所だ。
理可子も入っているー角又はそう言った。

すると蘭が、十六夜(いざよい)も入れてあげて、と彼のサングラスを持ってくる。
拝んであげてー彼女は安吾に言う。

新巻も、冬のチームの皆もここに入れてやってほしいーと頼んだ。
皆ここにいるって思ったらいい・・角又はほほ笑む。
ちまきは、ペルの慰霊碑も作ってくれていた。

それから、彼はお経をあげた。
蛍が、鐘を鳴らす。
その光景に、安吾は涙を浮かべた。
茂、ここはきっと温かいぞー


その後、安吾たちは早速船で旅立つ準備を始めた。
そこへ、刈田が2人に話しがある、と現れる。

彼は地下で、手袋を1つ見つけたことを話した。
その手袋は誰のものか分からないが古くはなく、そして・・
中身が入っていたー
彼の言葉に、安吾は目を見開く。

多分くるみと赤ちゃんを助けてくれようとしたんだと思う・・
刈田はそれだけ伝えたかったのだ、と背を向ける。

その背に、安吾はどちらの手だった?!と尋ねた。
たぶん左だ・・思い出しながら答えるのを聞いて、涼が笑った。
じゃあ、生きてるー

安吾も、同意した。
要(かなめ)なら、片手くらい犠牲にしかねない・・。

生きてまた、こっちを見てるんだろうー
2人はそう話した。

それから、安吾は刈田に、花にも教えてやってくれ、と頼んだ。
刈田はそうするつもりだ、とうなづき、けれどもくるみが気にするから他の人には言うな、と強く言っていくのだった・・。


小瑠璃は、ぼんやりと船の整備をする安吾たちの姿を眺めていた。
そこへハルがやってきて、一緒に行きたいのか、と尋ねる。
思ってもいなかった質問に、小瑠璃は驚いた。

そんなこと全然思ってないよー
そう言うと、彼女はハルの手を取った。
見せたいものがあるー彼女はハルを連れて行った。

そこにはー小さなピアノがあった。
ハルにプレゼント。そう笑う小瑠璃に、ハルは驚き言葉を失う。

図鑑を見て、作ったのだー
そう話すのを聞いて、ハルは思わず涙を浮かべた。
これを作ってくれたの・・?俺に・・?

彼は早速、鍵盤に触れてみた。
ピアノとは思えないような音が出て、彼は思わず吹き出す。
ピアノって、こんな音じゃないよね・・?
そう心配そうに笑う小瑠璃を、ハルは思いっきり抱きしめた。

この世界のピアノの音は、こんな音だよー!!
彼は何度もありがとうと口にするのだった。


気が付くと、村にはカップルがたくさんできていた。
それを眺める蘭に、刈田が寂しいか?と尋ねた。
秋ヲも最近、ちさといい感じなのだ。

その問いに、蘭は唸る。
秋ヲは別にどうでもいいけど・・
そう言って考えていた彼女は、ふと顔を上げる。

この際、あんたでもいいわ、刈田ー

突然そう言われ、刈田は驚愕する。
何て答えれば・・彼は高速で頭を回転させ、勢いよく叫ぶ。
お蘭さんを、抱ける男になりますー!!

すると蘭は、上目遣いで挑戦的に笑う。
わたしも抱かれるより抱きたい方なの。覚悟なさい。
その言葉に、刈田は溜まらず倒れるのだった。


そしてーあっというまに、旅立ちの日が来た。
ナツとまつりは、抱き合って泣くー。

村には、いつのまにか吊り橋や階段ができていた。
川用の船に、蜘蛛まで飼ってある。
生活しやすいように、と用意された安吾たちの置き土産を見て、朔也が息をつく。
有能なのは分かってるんだけど・・。

ありがたく使わせてもらおう、と花もうなづいた。
そこへ、刈田がやってくる。
彼は、花にも安吾たちにした話を切り出すのだった・・。


その後、船は出航した。
見送りに来たメンバーが、手を振る。
蛍が鐘を鳴らし、小瑠璃は空を飛んで彼らを見送った。

また遠くから、見守る者たちもいた。
人に、会えるだろうか・・。
角又がそう呟くと、新巻も会ってほしいな、と言う。

そこに、花もやってきた。
彼女は嵐の胸に顔を寄せ、ぎゅっとして・・と彼に頼む。

3人が行ったのを見て、彼らは歴史は繰り返すのかもしれない・・と語った。
航海して新しい土地を見つける。
もしかしたら、領土の奪い合いもいずれ起きるかもしれないー

すると角又が、昔と同じにならなくてもいいーと言い、笑った。
未来に来たはずなのに、これからも未来なんだなぁ・・。
彼の言葉に、皆笑ってうなづく。

涼は、遠くなる佐渡を見ながら、まつりに話した。
花はもしかしたら唯一、安吾の対等なパートナーになったかもしれない。
だから本当に邪魔だったんだー


皆、船が見えなくなるまで見送った。
安吾は、真っすぐ前を見据えた。

必ず人を連れて帰る。方舟を開けてみせる。
皆のために、自分のためにー

未来に向かうんだー




















旅立ち。


今回は、安吾たちが皆と話し合い、世界に旅立ってゆく話でした。

これで本当に終わりですね・・。
未来ある、良い終わり方だったと思います。


今の彼らにとっては、これがベストな選択だったと思います。
少しずつ皆、安吾たちのことを理解しようとしていましたしね。
今後もああやって真摯な態度を見せ続ければ、いつかはまた一緒に暮らせる日も来るのではないでしょうか・・。

皆、2人の良いところも知っているんですよね。
でも夏のAのメンバーが言ったように、彼らがしたことは受け入れられないし理解できない。
だから目を反らそうとした部分もあったのでしょう。

もちろんしっかり向き合っていても、認められない人もいたと思います。
それはそれで、仕方ないことです。彼らはそれだけのことをしたのだし。
前回言ったように、その気持ちに罪悪感を覚える必要はないのですよね。


ただ、そういう思いも、きっと時を経たら変化していくように思うのです。
だからその時まで、安吾たちは反省し誠意を見せ続けるしかないでしょう。

今後、彼らがどうなるかは分からないけど、未来は明るいんじゃないかなー
そう思わせてくれる、終わりでした。

世界で色々な人と知り合って、方舟を開くことができるといいですね。
どうか争いなど生まれず、幸せな未来を子孫たちに残していけますようにー
そう祈りたいと思います。


角又の言うように、元の世界と同じになる必要なんてないのですよね。
あとがきにありましたが、蜘蛛の糸の織物が、日本の名産品になるー
そんな世界も、良いなと思うのです。

新がこの世界に適応して生きて行こうとしているように、これから生まれる命はこの世界で必死に命の連鎖を紡いでいくのでしょう。

そんな未来に向けて、最初の人間である彼らには、できることがたくさんあります。
皆で協力し合い、楽しみながら、世界を切り開いていってくれるといいなと思います。

未来が楽しみですねー(^^)





さて、後は気になったところをいくつか。


まずカップルがいつのまにか沢山出来てたことについてw

ホント、皆いい感じじゃないですか。
あゆの手探りの恋愛が、個人的にはウケましたw

秋ヲもちさといい感じなのですねー。
これで刈田も心置きなく蘭に向かえますね。
さすがお蘭様、一筋縄ではいかなそうですが、逆にそれがいい!!

個人的には角又と牡丹も良いんじゃないかなーと思うけど、それは大分先の話かな。
ハルと小瑠璃の恋愛も眩しいし、ナツもまだ成長途中!

それぞれの関係も、今後どう展開していくのか気になりますね。
安吾にも、いつかパートナーができるといいなぁ。。


最後の涼の告白も、今言うか・・というw
まぁまつりに気を許したからこそ、言えたんでしょうけど。

本当、安吾ラブなんだから。
安吾は涼のお眼鏡にかなう相手を見付けなきゃいけないから、大変ですねw

案外、外国の人でもいいかもしれないですね。
色々想像して、彼らの幸せを願いたいと思います。





後は、百舌のこと。

最後にして、彼が生きている可能性が出てきましたね!

これは純粋に嬉しい!!
やっぱり人が死ぬ展開は嫌ですからね。

安吾と涼も吹っ切れたのか、笑って語れるくらいになっていて良かった。
もう会うことはないのかもしれないですが、百舌自体はきっと皆のことを見守り続けているのでしょうね。

なんか外国についても、見ていそうw
想像できちゃうというか・・w


彼も一度死んで生まれたようなものなので、生きているなら新たな人生を生き直してほしいですね。
安吾たち同様、彼も罪を背負って生きていかなければなりません。

それでも、彼にも未来はあるのですー。
どうか他のメンバー同様、生き延びてほしい、と思います。



最後に、きっと色々なことが、これからも皆の身に起こるのでしょうね。
今、未来は始まったばかりなのですから・・。

終わるのは寂しいですが、明るい未来を思い描いて見送りたいと思います。
本当に、素晴らしい作品に出会えて幸せでした!!





さて、次回が本当に最後です。
完全な番外編のようですが、どんな物語が紡がれるのか・・。

楽しみです☆