前回、シャルスの口から語られたアリエスのオリジナルの正体ー

それはノア王の一人娘、セイラでした。

アリエスはどのようにして生まれたのか。
彼女を生かそうとする、シャルスの目的は何なのかー

謎解きはまだまだ続きます・・。

感想です☆




「FRIEND-SHIP」#44




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

王女セイラは、強く優しい人だったー。

彼女は特別扱いを嫌い、王のクローンであるシャルスをよく気にかけてくれた。
血筋で言えば、セイラはシャルスの娘ということになる。
だがセイラは、シャルスを弟のようだと可愛がるのだった。

そんな彼女に、シャルスはどうして自分に良くしてくれるのか、と尋ねた。
だって自分はクローンなのに・・
そう言おうとする彼の口を、セイラは指で制した。

父がどう見ていようと、私は違う・・。
彼女は悲し気に言った。
自分は父の若返り計画には反対だ。クローンも同じ命なのに、許せない・・と。

それから、彼女は打ち明けた。
自分にもクローンがいることを。

それを聞いたシャルスは驚く。
セイラは、シャルスと同じ時期に生まれているのだ・・と告白した。

彼女はずっとその計画に反対していた。
だが父である王は彼女の知らない間にDNAを採取し、無断でクローンを造っていたのだ・・。

そのことを知ったセイラは驚愕した。
王とセイラのクローンは、それぞれ代理母が育てることになる・・
王はそう説明し、憤る彼女にすがった。

彼は妻を亡くしていた。
もう2度と同じ思いはしたくない・・。
共に永遠に生きよう・・

そう言われたセイラは、涙を浮かべながら父の顔を見つめるのだった。


数日後ー
セイラは、自分のクローンを城から逃がすことにした。

夜遅くに、手引きをする側近と代理母と、彼女は密会をした。
代理母であるエマは、セイラの思いを知り、その考えに賛同した。
そして彼女は、ヴィクシアを出ることを決意したのだ。

エマの覚悟に、セイラは感謝する。
子供を育てる覚悟はあるかー?
そう尋ねると、エマは涙を流しながらうなづく。

血はつながっていなくても、代理母としてお腹を痛めて産んだ子だ。
子供の無慈悲な運命を知りながら、ここで育てることは自分にはできない・・。

彼女のその言葉を聞き、セイラはエマを信じることにする。
絶対に居場所が見つからないようにしなければー
セイラは固く決意する。

2人は別れを偲び、抱き合った。
互いに泣き、信頼の思いを伝えあうー

そして、エマとクローンの子は旅立つことになった。
最後の時、エマはセイラに赤子に名前をつけてほしい、と頼んだ。

そこでセイラは自分の名が刺繍されたハンカチを見つめ、決める。
SEIRAを反対から読んで、ARIES-

アリエスーその名を聞いたエマは、良い名前だと笑う。
彼女は城に不穏分子がいることを心配しながらも、セイラと別れた。
どんどん遠ざかる馬車を見つめながら、セイラはアリエスの運命を思い泣いた。

アリエス・・どうか幸せに・・。


その後、赤子は突然死したことにした。
父はそれからクローンを造ることを求めたが、セイラが拒否し続けたので次第に諦めていった・・。

その話をシャルスに聞かせながら、セイラはうつむいた。
自分のクローンは守れた。でも自分にはシャルスを救う術がない・・。

彼女はシャルスを抱きしめ、泣いた。
その震える肩を見て、シャルスはなぜ泣くのか、とセイラに尋ねる。

彼女は言った。
何が悲しいか分からない、あなたが不憫だからよー

その言葉の意味は、当時のシャルスには理解できなかった。
彼はその後も、セイラとの時間を大切に過ごした。

セイラは強く優しく、気高い人だった。
王の器としての価値しか持たないシャルスは、いつしか彼女を守り楽しませることを使命のようにしていた。
それは彼が持ってはいけない生きがいというものだったので、彼は密かにその思いを胸に秘めて過ごしたのだった・・。


ある日、2人は城の外の森を探索に出た。
セイラには記憶映像能力があり、以前来た場所を細部までよく覚えていた。

そんな彼女との時間を楽しんでいた時だったー
セイラの前に、突然黒い布をまとった男が飛び出してきたのだ。

彼は真っすぐにセイラの元へ向かうと、彼女を突き飛ばした。
セイラは、そのまま崖の下へと落ちていくー

シャルスは、その姿をただ見ているしかなかった。
それは事故に見せかけた暗殺だった。
だが証拠はなく、付き人一人の証言など、容易く握りつぶされてしまうのだった・・。

セイラの死を悲しんだ王は、一緒にいたのに守ることのできなかったシャルスを恨んだ。
彼はシャルスを、牢獄に監禁した。
いずれ生まれ変わる体であるため、王には彼を殺すことができなかったのだ。

あの時のクローンがいれば、セイラの代わりにできたのに・・。
王はそう言い、シャルスを置いて出ていった。

一人残されたシャルスは、長い時をその牢獄で過ごした。
セイラを亡くした彼は、抜け殻のようだった。

ただずっと一人で壁を見て過ごした彼は、自分は何者なのかを考え続けた。
そして後悔に苛まれ、自分には価値がないことを彼は思い知るのだった・・。


1年が過ぎた頃、再び王がシャルスの前に現れた。
王はゲノム管理法案が成立したことを彼に告げ、今までとは別の任務を彼に与えた。

世の定めが変わったため、シャルスは死ななければならないー
そう言われた彼は、うつろな頭でぼんやりと考えた。
ああ、やっと使命を果たせる・・

王がシャルスに与えた任務は、ムーサニッシュに住む女性の養子となり、ケアード高校に転入することだった。
そしてその学校の惑星キャンプに行き、集まったクローンを一斉処分するー

説明を聞くにつれ、シャルスの目には活力が戻ってきた。
ようやくこの命が使えるー

王は彼に、今こそセイラを失った罪を償うときが来た、と言った。
見事消え果てよー
そう命じられ、彼は勢いよく返事をした。

はい、仰せのままにー




















セイラとアリエス。

今回はシャルスによって、セイラとアリエスの関係が明かされた回でした。

前回アリエスがセイラのクローンだと発覚し、そのセイラが王女だったことが分かりました。

以前シャルスが話したセイラ像とは違い、実際のセイラは年上の女性で、いつも彼を幸せに導いてくれる存在だったようですね。

優しく強くーまさにアリエスと同じですね。
シャルスがアリエスにセイラを見たのも、無理ないことだと感じました。


そんな彼女は、クローンたちの運命をいつも嘆いていました。
父親とは違い、彼女はまともな人だったのですね。

それなのに、王は自分の身勝手な理由で、セイラのクローンまで造ってしまった・・。
うーん、どこまでも自分本位ですね。
シャルスへの愛情も微塵も感じられないし、本当に自分が幸せならどうでもいい人なのでしょうね。

そのことに失望したセイラは、秘密裏にクローンの子とその代理母エマを城から逃がすことにします。
ここでエマとつながりました!

彼女は血のつながりはなくても、最初からずっとアリエスの母だったのですね。

エマの子供への愛情は本物でした。
セイラはその思いを信頼し、彼女にクローンの子の運命を託します。

その際につけた名前がアリエス・・
そうか、セイラを反対から読むとアリエスになるんですね。

気づかなかった・・。


このことにより、アリエスは幸せな生活を送ることができたんですね。
セイラとエマの勇気には、頭が上がりませんね。

でもエマにとっても、きっとこのほうが良かったのでしょう。
セイラが予測していたように、きっと不要になったら彼女も口封じに殺されていたでしょうから・・。


母一人子一人の生活なので、過去の思い出を見ても決して裕福な暮らしはできなかったでしょう。
でもアリエスはエマの愛情を感じて、すくすくといい子に育ちました。

それが何よりの幸せなのではないでしょうか・・。
同じクローンの子であるシャルスや他の仲間と比べても、彼女は恵まれた環境にいたと思います。

アリエスにとってはショックな事実でしょうが、血はつながっていなくてもエマは母です。
きっと彼女の中でもそのことは揺るがないでしょう。




さて、後はシャルスのことですね。

セイラを失って失意の彼に、王は更に非情な環境を与えました。

なんかもう言葉にならないくらいに酷いですね・・。
可哀想すぎて、もう彼を罪に問う気になんて全くなれませんよ。

だって思考することすら奪われたような状態じゃないですか。
楽しみも自由も一切奪い、王の使命のみのために生かされる・・

人間としての扱いじゃないですよ。

彼がラストで王の命令に飛びついたのだって、その結果じゃないですか。
あんなところに一人で一年間も閉じ込められて、まともに考えられる訳がありません。

おまけに、セイラの死の罪を償えだなんて・・鬼畜すぎて、震えますね。
シャルスがああいう反応になったのも、全て王が仕向けたことです。
そこにシャルスの本当の意志なんてなかったでしょう。。


セイラも無念だったでしょうね。
彼女がシャルスを救えなかったのは、恐らくシャルスが王にとって本当に駒でしかなかったからでしょう。

シャルスがいなくなっても、王はまたDNAを採取して、新たなシャルスを作るだけでしょう。
だからセイラはアリエスは救えても、シャルスを救うことができなかったのだと思います。

そんな彼を残して死ぬのは、どれだけ辛かったことか・・。


シャルスにしても、セイラを失ったことはどれだけ悲しいことだったでしょう。
彼は彼女といるときだけは楽しそうでした。

きっと自分を大事に思ってくれる人との時を過ごせたからでしょうね。


同じように、シャルスはこれまでの旅を本当に楽しそうに過ごしていました。
あの笑顔は、きっと彼の本心から出たものでしょう。

ここからは皆がシャルスを救う番ですね。
皆の絆の力で彼の心を救う展開、きっと来ると信じています!!





さて、後は気になったことを。

それはアリエスが惑星キャンプに選ばれたことです。


今回の話を見るに、エマとアリエスはひっそりと暮らしてきたはずです。
アリエスは自分がクローンであることを知りませんでしたしね。

なのに、彼女はケアード高校の奨学生として選ばれ、キャンプに招かれた・・。
これは誰が仕組んだことなのでしょうか。

エマがやったとは考えにくいですよね・・。
では、他に誰かアリエスがクローンであることを知っていた人物がいたのではないでしょうか。

王は・・知らなそうですよね。
では、誰が・・?
そう考えると、セイラの命を狙った男が怪しいのではないかな、と思いました。

直接手を下したのは雇われた男でしょうが、その裏には彼女の暗殺を目論んだ者がいるはずです。
その前にも側近の者やエマが、不穏分子の存在を危険視していましたしね。

恐らくは次の王権を狙う勢力が存在したのではないでしょうか・・。
ノア王は妻を亡くし、娘のセイラと暮らしていました。
だから他に身内がいなかった可能性がありますね。

そうなれば、セイラを殺せば次期王権を担う者は身内にはいなくなります。
セイラはその目的で、殺されたのではないでしょうか。


そして敵の思う壺かのように、ゲノム管理法案が可決され、シャルスの処分も決まりました。
王の若返り計画はなくなり、完全に敵の望む環境が生まれた訳です・・。

ただその中で、敵にとって予想外の邪魔者の存在がありました。
恐らくシャルスの存在で、彼らはアリエスの存在にも気づいたのではないでしょうか・・。

セイラと同じ遺伝子を持つクローンがいる・・
これは次期王権を狙う者にとっては、脅威だったはずです。

もし王が逮捕されて彼女の戸籍が認められたら、アリエスは王女になる可能性がありますからね。
そうしたら次期王権は血縁のアリエスの手に渡ってしまうかもしれないのです。


そのことを知った奴らが、アリエスをケアード高校に誘き寄せた・・。
その可能性が一番高いかな、と思いました。


ノア王はセイラも失い若返り計画も断念し、もう生きる希望もなさそうですしね。
9人が行方不明になった今、王権交代を考えていてもおかしくありません。

もしこの予想が当たっているなら、アストラへはすぐにでも戻ったほうがいいかもしれないですね。
王権が乗っ取られない内に、ノア王を逮捕しないとなりませんから。


シャルスは、この辺も予測できているのでしょうか。
まだ世界の謎の件も残っていますが、彼はどこまでを知っているのか・・。

次回が待たれますね。








さて、次回はカナタたちがシャルスの心を救う回でしょうか。

シャルスがどう動くかも気になりますね・・。
力づくでアリエスと帰ろうとするのか、それとも皆との絆を取り戻すのか・・。

シャルスの未来のためにも、どうか後者であってほしいものです。
見守っていこうと思います・・。

次回も楽しみです☆