前回、セイラとアリエスの過去が明らかになりました。

セイラの死を経験したシャルスは自暴自棄になり、王による彼の死を望む命令を引き受けます。

そんなシャルスがアリエスを連れ帰ろうとする目的は?!
カナタたちは、彼の心の歪みを救うことができるのでしょうかー!!

感想です☆




「FRIEND-SHIP」#45




※以下、ネタバレあり※









◎あらすじ◎

シャルスの話を聞いて、アリエスは驚いた。
彼はアリエスは間違いなく王女セイラのクローンだ、と断言した。
アリエスはまだ信じられず、動揺するだけだった。

シャルスは一度聞いただけだから忘れていたが、セイラにクローンの名前も聞いていた。
だから彼はクローンのことに気付いたとき、思い出したのだ。
セイラが自分の名前を逆さに読んで、アリエスと名付けたという話をー。

じゃあ、お母さんは・・。
シャルスの言葉に、アリエスは震えながら訊いた。
セイラの侍女だった女性で、血のつながりはない・・。
彼にそう言われ、アリエスの瞳から涙がこぼれた。

でも産みの親ではある・・。
王に代理母に選ばれ、エマはセイラの遺伝子を移した受精卵を着床させた。
そうして産まれたのが君だー

アリエスは母のことを思い、泣いた。
いつも優しかった母。
セイラも、アリエスへの愛は深かったと言っていた・・シャルスがそう言うのを聞いて、彼女は号泣する。

お母さん、お母さん・・。

2人の話を聞いていたカナタは、アリエスを連れ帰ってどうするつもりだ、とシャルスに尋ねた。
シャルスは王の御前に連れて行くつもりだ、と答える。
セイラのクローンが死んだと思っている王は、きっとアリエスを見て喜ぶだろう・・

するとザックが、アリエスがキャンプに入れられたのはなぜだ、と訊いた。
彼女が死んだことになっていたなら、殺される理由はないからだ。

その問いにシャルスは、恐らくセイラを葬った一味の仕業だろう・・と言った。
彼らはエマの行方を突き止めて、監視していたのだろう。
そしてアリエスを編入させてB5班に入れるよう、ウルガーの父親に手を回した。

理由は、ゲノム管理法案の成立。
もしアリエスの遺伝子が王女と同じだと分かれば、彼女に王位継承権が与えられてしまうかもしれないからだ。

そうはさせない・・
シャルスは言った。

アリエスは死なせない。一度失ったセイラの命が、今目の前にある。
王を喜ばせるためにも、アリエスは必ず王女セイラとして復活させる。
この僕が連れ帰るー!!
彼はそう叫んだ。


それを聞いたカナタは、ふざけるんじゃねえ!!と怒りを露わにした。
アリエスはアリエスだ。セイラじゃない!!
カナタの叫びに、シャルスは気圧される。

カナタは、王なんてどうでもいい、と吐き捨てた。
大事なのはシャルスの気持ちだ。
王女の死を悲しんだのも、アリエスを見つけて喜んだのも、全部お前自身だろー!!

彼は、アストラに帰ったらシャルスがどうなるか分かっていた。
王のクローンであるシャルスは、捨てられるだろう・・。
だから、そんな彼の身を案じたのだ。

だがシャルスは、自分はまた宇宙に戻って一人で死ぬつもりだ、と答えた。
それを聞いたカナタは、彼の頬を殴り飛ばす。

それがお前の本当の望みか?友達なら本音を言え!!

カナタは、シャルスが旅を楽しそうにしていたのをずっと見てきていた。
それは、彼が狭い城から出て広い世界を見て回れることを誰より喜んでいたからだろうー

お前は本当は生きたいはずだ・・。
彼はシャルスの瞳を見つめて言った。
一緒に帰ろう。もっと世界を見るんだ。

俺たちだって自分の住む世界のことすら、何も分かってなかったんだー

彼の真意を聞いた仲間たちは、皆シャルスに声をかけた。
シャルス、一緒に帰ろう。
クローンは作った人間が悪いんだ。お前が死ぬことはない。

皆の言葉を背に、カナタは言う。
お前の生まれも育ちも、シャルス自身が選択したものじゃない。
これから変わればいいんだー

だがシャルスは首を振った。
変われない。そういう場所で育ったんだ・・

すると、ユンファが変われる!!と声をあげた。
彼女は泣きながら、自分を見るようにシャルスに言う。
私は変わった、皆のおかげで!!

キトリーが、自分ももう母親に育てられた自分ではない、と話した。
フニとも違う。親も遺伝も、関係ないのだ。
どういう仲間と出会ってどう生きるかで、いくらでも変われるのだー


その言葉に、シャルスはうつむいた。
そんなの分かってる・・
彼はそう言いながら立ち上がった。
自分だって、旅をしてきたんだ・・

そう話す彼の瞳から、涙がこぼれ落ちた。
でも、もうどうしようもないんだ・・

その悲痛な叫びに、一行はうつむく。
ふと、シャルスは右腕に触れた。
球体を操る装置は、いつでも出し入れできるようにスーツの左袖部分に入れていた・・

彼は右袖のボタンを押す。
するとそこから、スイッチが出て来た。

スイッチは、右腕にもあるー

その瞬間、カナタはシャルスが何をするつもりかに気付いた。
彼はすぐに、皆に逃げるように怒鳴る。
その声と同時に、光る球体が姿を現した。

ウルガーが急いで銃を構える。
だがカナタは、アリエスがこっちにいる以上シャルスは攻撃できない、と彼を制した。

じゃあ何で球を出した・・
訝しがるウルガーに、カナタは言った。

シャルスはー死ぬつもりだ!!

光の球の向こう側で、シャルスは笑みを浮かべていた。
ごめんよ、皆。本当は好きさー
その言葉にカナタは叫び、絶対に助けると決意する。

そして彼は、飛び出した。
光の球に向かって一直線に、彼は走っていく。
何をするつもりだー
皆、彼の動きに戸惑う。

そんな中ーアリエスはカナタの後ろ姿を見つめながら、泣いていた。
ああ、あなたはいつも走ってる。
まっすぐに迷わずに・・
初めて会ったあの時からー

瞬間、カナタは飛んだ。
彼は反重力シューズの力で、光の球を跳び越す。

そうしてシャルスの前に回り込むと、カナタは身を呈して彼をかばった。
光の球はその間にも近づき、2人を飲み込もうとするー

逃げるには間に合わない・・!!
カナタはー右腕を光の球に向かって突き出した。
来るんじゃねー!!

彼の叫びと共に、右腕が球に吸い込まれていく。
シャルスは急いでスイッチを動かしたが、間に合わなかった。
光の球はカナタの右腕を飲み込んだまま、姿を消すー

カナタは、声にならない悲鳴をあげた。
彼の右腕は、持っていかれてしまった・・。
皆急いで、彼の元へ駆けよる。


キトリーがすぐに止血に入った。
シャルスはカナタの体を支えながら、何度も謝り泣く。

その姿を朦朧とした頭で眺めながら、カナタはシャルスに言った。
お前、帰ったら責任取れよ。
ずっと俺の側で手伝うんだー

彼はそう言って、笑う。
俺は自分の船を持つ。
その言葉を聞いて、シャルスは以前自分が言ったことを思い出した。

ーそうだな、僕も乗れたらいいな。
ー僕は右腕として働くよ。

カナタも、同じことを思っていた。
彼はシャルスに、前に約束したよなーと声をかけた。

お前は俺の右腕だー

そう言いながら、カナタはなくなった右腕を見やる。
シャルスは彼に肩を貸し、船まで運ぶのだった・・。




















絆の力。

今回はアリエスの事情を知った一行が、シャルスを仲間に引き戻そうと説得する回でした。

最後は衝撃でした・・。まさか右手を失うなんて。
捨て身でシャルスを助ける予測はしていましたが、こんな犠牲を払うとは思ってもいなかったです。

カナタ、本当にかっこよかったよ・・。


そしてこれがきっかけで、シャルスの心を動かすことができたようですね。
いや、熱かった・・。
もうストーリー展開にまったく無駄がなくて、色々な伏線が回収されていってすごいの一言しか出ないですね。

天才すぎますよ・・。




さて、まずはアリエスのエマのことを語ったシャルス。
アリエスにとってはやっぱりショックですよね。
なんとなくは分かっていましたが、推測と確証ではまったく違いますからね。

でもエマの愛情が深かったのが、救いですね。
2人のエピソードは見ている方も涙ぐんでしまいました・・。

あの反重力シューズのエピソードをこんなところで利かせてくるとは。
きっと身を潜めながらの生活だったろうし、つつましい生活だったのだろうと想像できます。
それでも、アリエスのためにプレゼントを用意する母親の愛情・・

この作品の中で一番愛情が深かったのは、エマだと断言できますね。
セイラの無念を思うと、アリエスとエマが幸せな生活を送ってきたことは唯一の救いですね。
きっとアストラに戻った後も、アリエスはエマと仲良く暮らしていくでしょう。

事実は残酷でしたが、それにも優る愛情が2人の間にはある・・
アリエスの涙は辛かったですが、2人の関係の再確認にもなったと思います。

そこに、いつかカナタも加わるといいですね。



で、前回から気になっていたシャルスの目的が、ここではっきりしました。
予想では彼はアリエスとアストラに戻って2人で暮らそうとしているのだと思っていましたが、少し違いました。

なんと彼は王の元へアリエスを連れていこうとしていたのです。
洗脳の結果ですね・・恐ろしいことです。

アリエスをセイラと同一視し、王の元へ連れ帰れば必ず喜んでもらえる、と話すシャルス。
本心だとは思えないけど、本心を隠してしまうくらい王の洗脳は強いということなのでしょうね。
この洗脳を解くのは、なかなか難しそうだと悩まされる一面ですね・・。


けど、そこでカナタは怒りを見せます。
アリエスはアリエスで、セイラじゃない!!

彼の口から出ると、なんだか涙の出てくる言葉ですね。
やっぱりアリエスを愛しているのでしょうね・・。

キトリーのときにはザックが前に出て話したように、アリエスのときにはカナタが話すー
大事だという思いが痛いほど伝わってきます。

そして・・彼のシャルスへの思いも熱かったです。
カナタはシャルスのことをよく分かっていました。

だからこそ、彼の本心が言葉の中にないことにも気づいていたのですよね。
セイラのこともアリエスのことも大事にしていたー
彼の言葉から、アリエスへの態度から、そのことを知っていたカナタは真正面からシャルスに問います。

それでも、尚洗脳という呪縛から逃れられないシャルス。
アリエスを連れて帰ったところで、彼自身の存在価値はもう王にはありません。
きっと邪魔にされて、処分される運命ー
それを知っても尚、王を庇おうとするシャルス・・

むごすぎて見ていられなかったです。。
庇う価値なんて1mmもないのに・・。


で、ここからのカナタの叫びは本当に熱かったです。
シャルスへの思いをあふれさせ、何とかして仲間に引き戻そうという彼の思い。

そしてそれに呼応された仲間たちの叫びがもう、泣けて仕方なかったです。
特に、ウルガーが一番に声をかけたところがもう・・。

ユンファの叫びも熱かったですね。
変われないと呟くシャルスに、変われると話すユンファ。

彼女自身が皆に会って変わりましたからね。
説得力のある言葉だし、今度は彼女が仲間を救う番なのだと思うと感動で涙が・・。


そして皆との応酬の中で、彼らが今まで旅して色々経験してきた中での結論が提示されます。
親も遺伝も関係ない。
どういう仲間と出会ってどう生きるかで、いくらでも変われるーと。


これがこの旅での、皆が得た最大の気づきですね。
アストラに戻った後の彼らにもまだまだ試練はありますが、彼らはこのことを胸に生きていくのでしょう。

8人はそう決意し、前を向くことができました。
そしてシャルスにも、一緒に生きようと提案しますー


けれども、その言葉に泣きながら首を振るシャルス。
ついに、彼の本音がこぼれた瞬間でした・・。

でも、もうどうしようもないんだー

そう言って、光の球をもう1つのスイッチで取り出すシャルス。
彼は王の呪縛と仲間との絆の間で板挟みになり、悩んだ結果自殺するという結末を選んだのです。

これは本当に辛い。思いが伝わってきて、涙が止まらない・・。


シャルスだって本当は分かっているんですよね。王が間違っていたことを。
でも彼の心には、逆らうことを悪とする心が根付いてしまっている。それに逆らって生きていくのは、どれだけ苦しいか・・。

きっと今までも自分の気持ちを押し殺して生きてきたから、彼には余計に分かるのですよね。
相反する気持ちを抱えて生きていく辛さが・・。

だからもう疲れた、というのが本音かもしれません。
頑張りたいけど、もう動けないー
彼の肩が落ちているのを見て、皆が泣くのを見て、そう感じました。


その後の光の球が近づく中での、シャルスの本音も辛すぎました。
本当は皆好きだ、なんて切なすぎる・・。

どうしてこんな子供が、自殺なんて選ばなければならないのか・・。
彼に悪いところなんてなかったのに、どうしてこんなことになったのか。




そこで、カナタが動きました。
彼はシャルスの思いを瞬時に察し、光の球を止めようとしたのです。

もうこの辺、涙なしでは読めませんでしたね。
アリエスの独白も相まって、もう涙腺崩壊でした。

おまけに、1話のあの技をもう1度なんて・・
どれだけ感動させるんですか!!


そうして身を呈してシャルスを守り、自らの右腕を犠牲にしたカナタ。
ここからが唸らされました。
でも右腕をなくしても大丈夫・・カナタは笑ったのです。
ーお前は俺の右腕だ。

なんと、ここでも伏線回収!
彼は以前シャルスが将来の話をし、カナタの右腕として冒険をしたいと言ったのを覚えていたんですね!!

・・こんな泣かせる展開があるでしょうか!!
まさに少年漫画といった熱い展開・・!

本当、最高の漫画ですよ!!




45話はここで終わりですが、今回は屈指の名話だったと思います。
もう泣けるし、感動するし、胸が熱くなるし・・
この作品に出会えて良かった!!
本当にその気持ちでいっぱいです。


1話通して語り続け、行動で示すことで、ようやくシャルスの心も解き放たれましたね。
皆の悲願、10人でアストラに戻る、もこれで叶いそうですね。

シャルスは立場が立場なだけに、ルカと同様アストラに戻っても注目を浴びるでしょうね。
彼がしたことが罰せられるのかは、正直微妙なところだと思います。。

命令されたとはいえ、武器を持ち歩いて使用したのですからね。。


でもそれ以上に、王が捕らえられてその罪が暴かれれば、シャルスには新しい戸籍が生まれます。
その時こそ、彼は人間として新しい人生を歩むことができるのではないでしょうか。

時間はかかりましたが、彼にも仲間ができて、未来も見えてきましたね。
セイラもきっと、喜んでいることでしょう。

辛い過去を生きて来たメンバーたち皆に、幸せが訪れますように・・。
祈らずにはいられないですね。






最後に、今後の展開について。

残すはアストラへ戻ることのみですが、まだ解明されていない謎が残っていますね。
次回以降、シャルスがその謎を明かしていくのでしょうか。

特に大きいのは、世界の謎。
何が隠されているのか、そしてその全貌を知ったときに一行はどう動くのかー

これが最後の大きな問題ですね。


正直まだ世界の謎と皆の冒険がどう関係しているのか分からないので、ドキドキしますね。
でもきっと彼らは持ち前の明るさと前向きさで、その問題も乗り越えていくのでしょう。


後はアリエスとカナタの関係が、最終回までに進展するかも気になりますね。

個人的にはエマを安心させるために、ラストは結婚式で終わりかな~とかも予想してますが、果たしてどうなるか・・。


それと、アリエスをキャンプに送り込んだ奴らの正体も判明するといいですね。
前回予想した通りの犯人像でしたが、王と一緒に捕まることを期待したいですね。

ん?でもそうなると王位を継ぐ者がいないから、シャルスかアリエスが王になる可能性も出てくる?

・・まだまだ波乱がありそうですね。
ラストまで、息を抜けない予感で、楽しみです。










さて、次回はカナタの腕の処置と、シャルスの処遇についてでしょうか。

シャルスの心は救えましたが、余りにも大きな犠牲を出してしまいましたからね・・。
皆の心も穏やかではないでしょう。

カナタはきっとシャルスを守ろうとするでしょうが、皆の気持ちはどうなのか。
アリエスと話をする展開はありそうですね。


そして、残された謎ー世界の謎についても、ついに明らかとなるのでしょうか。

本当にラストまで、息つく暇もありませんね。
次回も楽しみです☆