前回、ユキと対峙することになった吾代。

そんな中、ついに早坂は本性を現し、望月さえをも裏切ろうと画策しますー!

彼の目的が分かった今、ネウロは彼にどう立ち向かうのかー?!

感想です☆





鎧の兄弟~第42話 「下【ぶか】」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

弥子(やこ)は思った。
今回の事件には、ネウロが求める謎がない。
むしろ自分たちが謎の中に組み込まれようとしている・・。

腹も膨れずこうして危険にさらされて、今ネウロは何を考えているのだろうー


銃器を手にした早坂(はやさか)に、望月(もちづき)は焦って叫んだ。
何をしているか分かっているのかー?!
麻薬に比べ、銃器ははるかに足がつきやすいものなのだ。

だが早坂は、望月の方こそ分かっていないと笑う。
だからこそ、高値の需要があるのだーと。

そして彼は望月に銃口を向け、黙らせた。
まずは自分の計画をちゃんと説明しよう・・。
彼は弥子たちに、語りだす。

情報を扱っている人間がこういう取引に手を出す一番のメリットは、警察の動向を事前に知れることだ。
今回の大型取引は、残念ながら警察に目をつけられていた。
だが自分たちとしては、何とかマークを外してから荷揚げをしないといけない。
だから情報を操ることにしたのだ・・。

その時入手したのが、自分たちと同規模の麻薬取引を他の組織が行おうとしているという情報だった。
そこで彼らは一方では受け取る側のふりをし、取引日を自分たちと同じ日に設定させた。
全ては、警察の目をそちらに向けるためだー。

双方のボスの声や喋り方に合言葉・・
情報は全て入手済みだ。なりすますのは簡単だったよー
早坂はそう言って、笑うのだった。


一方外では、吾代とユキが激しくやり合っていた。
相変わらず何を操っているのか見えないユキの攻撃に、吾代は血を流すばかりだ。

ネウロが何か言っていたな・・。
彼は痛みを我慢しながら、考えるー

ー警戒すべきは、手と内側と後ろと下だ。

そんなので分かるか!
思わず突っ込む吾代に、ユキは更に攻撃の手を緩めない。

自分たちの上司と部下の信頼関係は、お前たちの比ではない。
そのことをこの状況で、身をもって思い知りなー!!


中では、早坂がまだ話を続けていた。
彼らの計画には、1つ問題があったのだという。

話を聞いていたネウロが、ああ、と声をあげる。
このやり方だと、当日受け取る側はもう1つの取引があるので行けない。
つまり、当日の向こうの組織の取引が成立しなくなるのだ。

そこで受取人の罪を着せる替え玉として、自分たちに目をつけたのか・・。
彼の呟きに、早坂はそうだ、と応える。
探偵桂木弥子(かつらぎやこ)には、その能力への評価がある。
そのくせ、世間は彼らのことを良く知らないー

だから世間から見れば、自分たちと弥子たちは同じ人種ー情報を集め操る力のある人間だ。
そこで、自分たちは1つの設定を用意したのだ・・

望月信用総合調査が入手した情報では、探偵桂木弥子が高い知名度と情報収集能力を間違った方向に使い、麻薬取引に手を出しているー!!と。

自分たちは事の真偽を独自に調査するために、広告塔になってほしいという名目で彼女への接近を試みた。
そして彼女と付き合う内に、取引の実態が見えてきた。
・・それが早坂の筋書きだった。

証拠などは自分たちでいくらでもねつ造できる。
今頃部下が探偵事務所に仕込み、取引情報を警察にリークしているだろう・・
その間に、自分たちは取引を終える。

その後警察が捕まえてみれば、何とあの桂木弥子!!
事務所からは取引の証拠も出てくるので、弥子に言い逃れはできない。
また、事件の解決に寄与したことで、情報源である自分たちの信用はますます上がるー

CMの件も、弥子に近づく名目だったと知れれば、世間の称賛も集まる。
全て自分たちにとっていい方向に向かうー
これが早坂と望月の計画だった。

だが早坂は、更に望月をも裏切った。
彼は望月の口に銃口を突っ込みながら、語る。
ーボス、部下はね、自分より無力な上司にはついていかないんだ。

自分の底という情報は、決して部下には見せてはならない。
それを教えてくれたのは、誰でもなく望月だったはずだー
早坂は、彼と出会った頃のことを思い出す・・

それは、裏切り者の仲間を処分したときのことだった。
海に浮かぶ死体を眺めながら、望月は言ったものだった。

かつては数百の人間の上に立った男だが、彼は部下の情報を把握できず、自分の底もさらけ出した。
その末路が、これだー

彼はうなづく早坂に、その顔では駄目だ、と教えた。
とりあえず笑いなさい。情報を扱う人間は、どんな大事な人であろうと素の顔を見せては駄目だ。
笑顔の鎧をまとうんだよ、早坂ー。
その言葉に、早坂は笑みを作って応えるー

この会社をここまで大きくしたのは、あなたが笑顔を教えた私だ。これからはこの会社の舵は、私が取る。
記念すべき1つ目の議題は、あなたたちの処理についてだー
早坂はそう言って、3人を見やるー


その頃、吾代は攻撃を仕掛けたユキの手を抑え込んでいた。
動きを封じられ、ユキは目を見開く。
その顔に向かって、吾代は笑った。

お前は兄貴に命令されたから、自分を殺すことはできない。
だったら謎解きなんかせず、1回喰らってしまえば済むことだー

彼はそう言って、肩を見やる。
そこには、ガラス製の針が引っかかっていた。
なるほど、ゲリラがトラップとかに釣り針を使うのと同じか・・
吾代はうなづく。

どうやらユキのコートは、ポケットが内側や外側につながっているようだ。
針を裾に隠して、相手の前方に伸ばしてから引き切る。
そのために丈の長いコートを着ているというわけだ。

だがそれを聞いたユキは、からくりが分かったところでどうする、と一笑した。
吾代も、両手がふさがっている状態だ。
殴ろうと離れた瞬間に、自分が針を飛ばせば同じことだー

そう語るユキを掴む、吾代の腕の力が強くなる。
自分には隠すものがない。凶器は目の前にあるのだー!!
彼はそう言って、ユキに思い切り頭突きを食らわすのだった。


一方早坂は、望月を使って銃器の試し撃ちをしてみようと目論んでいた。
恐怖に身を強張らせる望月に、彼は三行半を突きつける。
警察OBのコネだけが武器のあなたは、もう必要ない。
自分に後釜を託した後に、行方不明になったことにしようー。

そして、彼は弥子たちにも向き直る。
君たちは取引を失敗した代償に、蜂の巣になって海に沈んでもらう。
事務所から取引の証拠が出れば、全て辻褄は合うのだー

その言葉と共に、早坂の部下たちが一斉に弥子たちを囲む。
まさに私こそが理想の上司なのだー
早坂がそう語る中、部下たちは2人に銃を向ける。

だが・・その部下たちの体は、一瞬で宙を飛んだ。
ネウロの拳が目に見えないほどの速さで男たち一人一人を捕え、ぶっ飛ばしていくー

その様子に、早坂の笑みが崩れかけた。
弥子も望月も、呆気に取られてネウロを見やる。
彼は息をつくと、口を開いた。

理想の上司一つ語るのに、随分と御託を並べてくれたものだ・・。

彼の言葉に、早坂はたじろぐ。
そんな彼を追い詰めるように、ネウロは言葉を紡いだ。

人材の引き抜き1つできない男が偉そうに語るな。
従う価値のある主人の元なら、黙っていても奴隷は仕事をこなしてくれるのだ・・。

ネウロは早坂を馬鹿にしたように見つめる。
さあ、どうする?
貴様の忠実な部下は何の仕事もできなかったが、貴様一人でまだ何かできるのか?

そう言われた早坂は、黙れと怒鳴りながら銃を連射する。
お前らぐらい、自分1人でも片付けられるわ!!

ーその弾は、ネウロの体を次々に撃ちぬいた。
弥子は思わず叫ぶが、彼はその弾を見て・・笑った。

まだ気づかないのか?だます相手を間違えたことに・・。
倒れる気配のないその姿に、早坂の背が震えるー

そんな彼に、ネウロは指を突きつけた。
貴様らの計略に付き合ってやるのもこれまで。その最後の一発も撃つがいい・・。
それを外した瞬間から、我が輩は貴様らを好き放題に支配するー

その言葉に、早坂は唇を噛むのだった。




















上司と部下。

今回は早坂の計画が明らかとなるなか、ネウロが反撃のターンに出る回でした。

いよいよここからがネウロの本領発揮!!
謎が喰えなかったのが気がかりですが、その分怒りも凄そうです・・。

そもそも人間に出し抜かれたことで、プライドも傷つけられていますからね。
早坂・・無事でいられるのかな。少し心配です(^^;)



それにしても、前回少し予想しましたが、やっぱり早坂は権力を得て間違った道に進んでしまったタイプでしたね。

ユキのために汚い仕事を引き受けているのだったらお涙頂戴だったのですが、そういう訳ではなさそう。
むしろ兄弟という大事な絆をおろそかにしてしまうほど、金と権力に取りつかれてしまっているようですね。


ただユキとの思い出を見るに、元から悪い人というわけではなさそうなので、改心の余地はあるかなとも感じます。
ユキ自身もそれを望んでいるようですしね・・。

ここは弥子たちにこてんぱんにのされて、一から出直すくらいがちょうどいいのかも。
一度得たものを失うのは辛い体験でしょうが、2人は兄弟で支え合えるので、きっと立ち直れることでしょう。

一人じゃないというのは、それだけで強みですよね。


早坂がユキのことを思い出し、兄弟仲が復活することを祈ってます。
次回、クライマックスでしょうか。
どんな結末になるのか、楽しみです!!




さて、そして今回心配なのがやっぱりネウロ。

もろに早坂の銃弾を受けていたので、大丈夫そうに見えて大丈夫ではないでしょう。

前回デイビッドの銃弾を弾いた傷も、治りが悪かったですもんね。
平静を装ってはいるものの、ダメージは深刻なのではないでしょうか。


ここは次回辺り大きめの謎を食べないと、本格的にネウロの魔力の危機がやってきそうですね。
弥子もまだ気づいていませんが、よく周りを見ている子なのでいずれは気づくでしょう。

やっぱりX再び・・?それとも春川が立ちはだかるのかな?

ネウロを満腹にさせる謎の登場が待たれますね。
彼が弱ってるのはあまり見たくないです・・。

これからも飄々としたままでいてほしいー
そう思います。






さて、後はユキの攻撃のからくりについて。

蓋を開けてみれば、単純なトリックでしたね。
でも吾代には見抜かれたものの、その殺傷能力はここでやられるにはもったいないですね。

彼も改心すれば、今後弥子たちの強い味方になってくれそうな気もします・・。
ネウロが本来欲しがっていた情報収集能力は、彼ら確かに持っていますからね。


ユキも早坂もなかなか個性的なキャラなので、使い切りではないと思われます。
今後様々な面で弥子たちをサポートしてくれるのではないでしょうか。

吾代には敵いませんでしたが、強さはお墨付き!
一度徹底的にぶつかり合ったので、吾代との関係も良くなりそうな感じもしますね。

今後のユキと早坂の活躍ー
こちらも、楽しみに期待していきたいと思います。










さて、次回は早坂兄弟編の終わりでしょうか。

鎧の兄弟ー
互いにまとった鎧を、脱ぎ捨てるときが来たようです。


ユキと早坂は改心し、再び絆の強い兄弟に戻れるのかー

次回も楽しみです☆