前回、犯人と目される美容師ー百舌への接触に成功した弥子たち。

果たして2人は囮作戦を成功させ、謎を暴くことができるのでしょうか?!

感想です☆





髪とハサミとキリトリ線~第46話 「守【かみ】」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ここが死体遺棄現場か・・。
ネウロは弥子(やこ)たちの元に行く前に、女性たちの死体が発見された公園に足を向けていた。

彼は一瞥して、この謎は複雑ではなさそうだ・・と判断する。
後2つ3つ情報が揃えば、この謎もすぐに解けるのだが・・。
そう思っていると、彼は声をかけられた。

そこには、笹塚(ささづか)がいた。
彼もまた、弥子たちを心配して現場に出向いていたのだ。

この公園は、夜間は立ち入り禁止なのに・・。
そう言ってため息をつく笹塚に、ネウロは話す。
しかしこの公園は、昼間は使用頻度の高い場所だ。だから犯人はここに死体を捨てたのだーと。

それから、彼は笹塚に質問した。
犯人は3回の犯行で全てここに死体を捨て、しかも捨てられたのは死体の一部のみで間違いないか?
その問いに、笹塚はうなづく。

ここで見つかったのは、遺体の首から上だけだー
それを聞くと、ネウロはこれで情報は揃った、と笑みを浮かべる。
彼が廃材に触れているのを見た笹塚は、自分も確かめてみる。

するとそこには、何かべったりとしたものがついていた。
鑑識に回してみたらどうでしょうー?
そう言いながら、ネウロは闇の中に姿を消す・・

今夜中に、先生は犯人のトリックを暴かれることでしょう。
その時はあなたに手柄を渡しますよ・・

彼の不気味な退場に、笹塚は一人取り残されるのだった・・。


一方弥子は、百舌(もず)の部屋に通されていた。
彼はエレベーターでの非礼を詫び、良い髪を見ると夢中になってしまうのだ、と笑う。

弥子は笑みを返しながらも、警戒を崩さなかった。
明るく笑っているが、彼は逃げる隙は見せてくれない。
こうやって何人もの女性を誘い入れてきたのだろう・・。

あかねも恐怖を感じ、震えている。
それを見た弥子は、どうやって百舌を捕えるかを考えた。

彼を犯人と断定するのは簡単だ。
自分たちが囮になって、このまま散髪台に座ればいい。
百舌が本当に噛み切り美容師なら、彼の正体と死体遺棄のアリバイトリックを身をもって知ることができるー

だがそれは、余りに危険な策だ。
だから自分たちが今取るべきは、ネウロが来るまで時間を稼ぐことだ。
彼が来れば、自分たちは何もしなくてもアリバイトリックは破れるだろうー。

あかねを守るためにも、頑張らないと!!
ー弥子はそう、決意を固める。

そこで彼女は百舌の部屋を見学したり、話題をそらそうと話を振ってみる。
だが美しい髪を前にした百舌には聞かず、彼はすぐにでも弥子を散髪台に座らせようとしてくる。

何か距離を取る方法はないだろうか・・。
困っていると、ふと百舌が小腹がすいたと、買い物に行くと言い出した。

チャンスだ。買い物に行っている間に、この部屋を出ようー!
ほっとした弥子に、百舌は椅子に座って楽にして待つように言う。
そうして彼は彼女をテレビの前の椅子に座らせたー

その瞬間、彼女の手首に手錠がかけられる。
え・・あれ?いつのまに?!

驚く弥子に、百舌は話す。
自分にとって、隙をつくのは難しいことではない・・と。

髪を触る仕事だから、当然警戒を見せる客もいる。
だから一流の美容師ともなれば、警戒心なんてすぐに見抜けるのだ。
そして、その警戒を解く方法も心得ている・・

彼はそう言うと、弥子の髪に手を伸ばした。
自分から声をかけてきたくせに、君は会ったときから警戒していたね。
俺が噛み切り美容師じゃないかってー

その言葉に、弥子の背筋が寒気だつ。
ヤバい、こいつは私より全然上手だ!!

彼は弥子の体を押さえつけ、髪を切る準備に入る。
それを見たあかねが、百舌に攻撃を仕掛けた。

だが彼は逆に、生きている髪を触れるなんて夢みたいだ、と興奮する。
そして彼はワックスを取り出すと、あかねが動けないようにスタイリングしてしまった。

これは海外から取り寄せたハードワックスで、髪にはあまり良くないんだ・・。
だからすぐに落としてあげるねー
そう話す百舌の手に、大きなハサミが握られる。

その先端が、弥子の首に向けられた。
その前に、髪以外の余計なパーツも切り落としておかないとね・・。


その時、ネウロが後ろから声をかけた。
なるほど・・。
彼は舌なめずりをして、もう謎は舌の上だ、と笑うー

突然の侵入者に、百舌は焦った声をあげる。
ネウロは彼に、自分は名探偵桂木弥子8かつらぎやこ)の助手だ、と名乗った。

そこで、ようやく百舌は目の前の女性が弥子だと気づく。
彼がテレビで見た弥子とは、髪の輝きがまるで違ったからだ・・。

そんな百舌に、ネウロはアリバイトリックの解明をしてみせる。
そのアリバイは、前科のある自分に警察の疑いが向かないようにするためのもので、遺体の一部を捨てたのもそこに理由があった。

頭部だけの死体は、死亡推定時刻が非常に推定しづらい。
従って犯人を絞り込む焦点は、死体を捨てた時刻のアリバイに置かざるを得なかったはずだー
ネウロはそう語る。

だからトイレで死体が見つかった時刻にアリバイがあれば、警察は百舌に容疑をかけにくくなる。
そこで百舌は、夜に公園に忍び込んで、死体をセットしたのだー。

公園のトイレには、上半分に隙間があった。
そしてその隙間からすぐ外には数本の樹木と、廃材のトタン板がある。

その樹木の枝を輪に結んで、死体を乗せる。
次にその枝を地面に向けてしならせ、トタンの板に挟み込み、一定の時間ではがれるような接着剤で張り付ける。

そうすれば時間が来ればストッパーになっていた2枚のトタン板ははがれ、しなった枝が死体ごと弾き出される。
そして死体は、トイレの中へー
これで、アリバイ作りと死体隠しを同時に行うことができるのだ。

恐らくトタン板を貼り付けていた接着剤は、百舌の所持する整髪料の1つのはずだー
ネウロはそう言って、部屋の整髪料を1つ取る。

凹凸のある板の間にしっかりと塗り込めば、整髪料でもかなりの接着力を発揮する。
そして時間が経てば、その粘性は弱まるー
百舌ならその特性を熟知していてもおかしくはない。

ちょうど彼が店にいる時間に接着力が無くなるように設定し、後は死体が発見されるのを店で待つだけ・・。
だが今、そのアリバイも崩れた。
警察は強硬な捜査を行えるようになりますよー

ネウロにそう言われた百舌は、暫く黙った。
やがて・・彼は笑いだす。

ーだから何だって?その前にお前らを始末すればいいんだろ?

そう話す百舌の顔は、パーツの位置が変わり、まるでハサミのような形相になっていた。
彼は主導権はまだ自分にあると主張し、大型のハサミを弥子の首に当てる。

後で一緒にショーウインドウに並べてやるよ!!
彼はそう叫び、勝利の笑い声をあげるのだった。




















囮作戦の失敗。

今回は百舌の部屋でピンチになった弥子たちを、ネウロが助ける話でした。


ネウロに指示された囮作戦ですが、これは失敗でしたね。
さすがに百舌の部屋に入ったのは、迂闊だったと思います。

何もない相手でも、異性の部屋に入るのは危険ですよね。
弥子は女子高生なので、もうちょっと危機感を覚えたほうが良かったかな。

まぁ捜査が目的なので仕方ない面もありましたが、百舌のアリバイを解くための考え方も危険だったと思います。
ネウロ頼みだと、いつ来るか分からないというリスクがあるので、容疑者の部屋で時間をやり過ごそうとしても限界があるはず。

現に弥子はあっさりピンチに陥っているし、考えが甘かったと言わざるを得ませんね。
初めての囮作戦だしネウロの助けなしだったからしょうがないけど、次回ネウロにこっぴどくなじられるんだろうなぁ。

気の毒です・・(^^;)




一方ネウロは、大分調子が戻ったようですね。
やっぱり謎の匂いは、力を呼び戻すのでしょうね。

今回の謎ももうネウロの舌の上だし、存分に味わってほしいものです。
せめて早坂に撃たれた傷は、回復するといいなぁ。


後は人的には、ネウロと笹塚という組み合わせが意外で面白かったです。
退場の仕方とか、笑ったw
この作品のシュールな笑い、大好きです!!






さて、後は百舌について。

アリバイトリックはあっさり見破られましたね。
聞いてしまえば、意外と単純なトリックでした。


ただ彼の顔が切り取り線で分離して、ハサミになったのには感心しました!
こういう表現、どうやって思いつくんだろう・・すごすぎる。

彼の執着は髪にあるようですが、その根本にある気持ちはどんな感情なのか・・。
次回、百舌の口からそれは明らかになるでしょう。

常軌を逸した変態なので、ネウロにはキツいお仕置きを受けてほしいですね。
あかねちゃんの反撃も、期待したいところ。


弥子とあかねちゃん2人での捜査はまだまだ未熟で不完全なものでしたが、犯人を捕まえたいという強い思いは感じられた今回の事件・・

百舌には相応の報いを受けて反省してもらいたいと思います!









さて、次回でこの事件は終了でしょうか。

弥子は囮作戦の失敗を巻き返して、面目躍如となるのか?
そして百舌が事件を起こした理由とは?!

ネウロの腹を満たす謎が解き明かされることに期待したいですね。

次回も楽しみです☆