前回、テラの本当の目的を知ったネウロ。
人の命を何とも思わず攻撃を仕掛ける彼に、魔力を根こそぎ奪われてしまいます。

余りに強敵のテラー
ネウロが彼に勝つ術は、果たしてあるのでしょうかー?!

感想です☆




共闘~第149話 「捨【すてる】」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

魔界樹からはがれきの破片が、パラパラと零れ落ちる・・。
ネウロは埋め立てられた人たちを背に、肩で大きく息をした。

そんな姿を眺めながら、テラは悠然と語る。
いくら新しい血族でも、サシで魔人と正面から戦えば勝ち目は薄い。
でも血族が知恵を絞れば、魔人1人絶滅するのは容易い。
現に、ネウロは今データにもなかったほど衰弱している・・。

彼はビルを登り、瓦礫を蹴り落としていった。
ー君は強いよ、ネウロ。だけどその強さには欠点がある。

人間は100億近くいるのに、今ネウロが守っているのはたった100人ほど。
「この誰かがいつか謎を作るかもしれない。」
そんな理由で、そんな少人数を救わなければならないなんて・・。

ボクならその100人は切り捨てる。あの方なら・・尚更さ。
テラはそう告げると、にっと笑ったー


ーテラとシックスが出会ったのは、彼が土地の買い付けで来日していたときだった。
ジェニュインによって連れられてきた彼を見て、テラは圧倒された。
ジェニュインはテラの経歴を、簡単にシックスに説明した。

テラが不動産ビジネス業界において、有名なこと。
彼が買った土地からは必ず資源が発掘され、一方では大災害などの天変地異まで予測して売り抜いていること。
人間を超えた土地への洞察力ー間違いなく我が血族に間違いない・・。
ジェニュインの言葉に、シックスはうなづいた。

・・素晴らしい。
彼は一言そう言うと、テラが持っていた資料を奪い一瞥する。

君には素晴らしい征服の手口があるー。
そう言われたテラは戸惑う。シックスはそんな彼に、丁寧に説明した。

自分では気づいていないだろうが、テラには土地に住んでいた人間のことを考える脳がない。
いかなる手段を使ってでも欲しい土地を奪い取り、土地の資源を吸い取ったら埋め立てる・・。
素晴らしい、まるで君の先祖である征服者ーそのものじゃないか。

ーシックスは、テラの一族のことも全て知っていた。
同時に、彼の過去・現在。そして彼の中に潜む不安もー。

シックスはそれも、見事に言い当てた。
順風満帆な土地のビジネスを営む一方で、テラがその土地の支配者への疑問を抱いていること。

大地の価値も見抜けない、無能な人間たち。果たして彼らは、この土地の支配者たる資格があるのかー?
自分と彼らは、同じ地上を生きなければならないのか?

その答え、私が用意したよー。
シックスはそう言うと、ジェニュインにあるものを運ばせた。

それはー人間の顔から剥ぎ取った皮でできた箱だった。
彼はそれを見せると、テラに一言告げる。
答えは1つー捨てなさい。

その箱になった人間は、テラの会社の部下全員と友人全員、そして恋人全員だった。
彼らは皆人間だ。君は彼らと同じでいてはならない。
シックスは圧倒されるテラに、一歩ずつ近づいていく。

我々の祖先がそうしたように、もっと上から彼らを征服し滅ぼす者だ。
新しい血族が支配する世界のために、人間との全てを捨てなさい。
私のために、君の全てを捨てなさいー。
ーその言葉に、テラの顔には次第に笑みが広がる・・。

そうしてーテラは、シックスに跪いた。
征服しよう。私と共に、地上の全てをー。
彼はシックスに自分が選ばれたことを誇り、シックスからの箱のプレゼントをネウロに自慢して聞かせる。

それを聞いていたネウロは、あることに思い至った。
箱・・。

テラは語り続ける。
シックスと会って、本物の顔が誰なのか理解できたこと。
この世でもっとも欠点のない支配者は、シックスであり新しい血族なのだということ。

ネウロ、君の欠点は捨てられないことさ。
彼は人々を背にかばうネウロに、そう言い下す。
謎なんてあやふやなもののために、少数の人間の命も捨てられない。
そのため、全ての力を使い尽くしてしまった。

シックスのためなら、ボクは全てを捨てられる。
恥も捨てて、道化だって演じようー。

そう言うと、テラは痛みに耐えながら体内から多くのミサイルを取り出した。
苦痛に歪むその顔に、汗が流れる。
それでも尚、テラの顔は美しかった・・。

体も全て失ってもいい。残った顔で、シックスの世界を見届けようー。

彼はネウロと人間の苦しみにもだえる醜い顔を見ないために、埋め立てることにする。
未だ力の消耗に体を震わせるネウロに、テラは別れを告げた。
さよなら・・。


・・こんにちは。
その瞬間、ネウロの手がテラの頬を張り飛ばした。
不意を突かれたテラは、崩れたビルの上を滑っていく。

なっ・・いつのまに・・。
そう驚く彼に、ネウロはテラの話が長すぎた、と答えた。
テラがずっと話しかけていたのは、ネウロの形をした木偶人形だった。
彼はすり替えている隙に、反撃のチャンスを窺っていたのだ。

ー今の話で、色々な情報が分かってきたぞ。
ネウロがそう告げるなか、テラは自分の頬に触れた。
彼の頬は、ネウロのかぎ爪で抉られていた。
その大きな傷に、テラは驚愕する。

顔に傷が・・。

その言葉に、ネウロは笑みを浮かべた。
案の定回復しないな。大事な顔には、強化細胞も怖くて埋め込めなかったらしい。
つまりそれが、貴様の素顔ということだー。

テラのこの顔が素顔なら、彼の作った会社だって割り出すことができるだろう。
そうなれば、必然的に彼とシックスの足跡も見えてくる。
攻められるのは、我が輩の最も嫌いなこと。ここらで攻める準備をさせてもらおうー
ネウロはそう言うと、テラに指を突きつける。

貴様から・・シックスの情報を搾り取るー!!


ーその挑戦状に、テラの悠然とした表情が崩れた。
攻める?攻めるだと?
彼は頬を抑えながら、怒りに震える。
その体、その状態でよくも言ったものだね・・。

この顔に傷をつけたんだ。埋まる以外の選択肢はないぞ、脳噛(のうがみ)ネウロー!!
その瞳は憎しみに燃えるー。

一方、ネウロは髪留めを1つ外すと、口の中でそれを砕いた。
それと同時に、彼の中に魔力が少し戻っていく・・。
ネウロもまたボロボロの姿で、怒りを込めた笑みを浮かべた。

貴様のもっとも大事な部分が顔なら、我が輩は腹だ。
我が輩もこの胃袋を守るためなら、何でもするぞー。

2人は互いににらみ合うと、最後の戦いを始めるのだった。




















テラの素顔。


今回は魔力を根こそぎ奪われたネウロが、最後の力を振り絞ってテラに向かう話でした。
どうでもいいけど、ラストのネウロ好み・・。
ボロボロになった彼、風格が出ててステキでしたw


さて、前半はテラが絶好調でしたね。
ここまでネウロから魔力を奪い取るとは・・。
しかも本人一切手を下さずに、です。

戦って互いに疲弊して・・なら分かりますが、テラは策を講じただけです。
頭が悪いのに、思い切りがよくためらわないー
彼だからこそ、できる芸当なのかもしれませんね。


そしてテラの言い分も、胸糞悪いけど理解はできます。
大体が、世の中がそうですもんね。
少ないほうは見捨てて、大多数を助ける・・。
そうやって成り立ってきているので、そこに関しては彼の理論も一理あると思います。

でもその切り捨てを人為的に行うのは、やっぱり間違っています。
能力が高い者が弱者を容赦なく切り捨てるー
そこが正当化されるのは、おかしいと思うのです。

本当のピンチのときには、少数を切り捨てなければならない時もあるかもしれません。
でもその事態を引き起こした張本人が、それを口にすべきではないでしょう。
その点で、テラもやっぱり新しい血族なのだーと今回彼の悪意を感じて思いました。

ネウロが間違っていると彼は言いますが、それも違います。
ネウロのように助ける人もいれば、助けない人もいるでしょう。
それは間違っているとかではなく、心情の違いです。

どちらが正しいというものではなく、それぞれが理念に基づき動いているだけのことです。
それを人を故意に傷つけようとする人間がとやかく言うのは、本当に気分悪いものですね。
この感情をテラに呼び起こさせたのがシックスだとすれば、2人の出会いはやっぱりあってはならないものだったのでしょうー。



さて、今回はそのシックスとの出会いについての回想もありました。
DRのときと同様、こうやって1人ずつ仲間をスカウトしていたんですね。
その間に、Xに逃げられちゃったというところでしょうか。

調べた情報から、テラの中に眠る征服への能力を見抜いたシックス。
彼は本当に話術が巧みですね。どうやって人の心を掴むかを、掌握しています。
それに加えてにじみ出る悪意のオーラ・・

宗教にハマる人と同じですよね。
今の生活に不満がある者は、こうやって惹かれていってしまうのでしょう・・。

テラもシックスに惹かれ、過去も仲間も全て捨ててしまいました。
あの箱はおぞましすぎて、見た瞬間冷っとしました。
アンドリューを思い出す・・。本当気分悪い。。

彼らにとって人間の顔など、何の意味ももたないもの。
テラは恐らく自分の顔にも誇りを持っていた。だからそれを利用したのでしょう。
つくづくシックスが狡猾で、嫌になりますね。

こうしてシックスに取り込まれたテラ。
彼が顔に固執するのも、ここが起因しているのでしょうね。


でもそれが、テラの欠点にもなったー
ここからのネウロの反撃は、実に見事でした。

箱からXを想起し、そこからヒントを得てテラの顔を狙う。
やっぱり読み通り、顔には強化細胞が施されていませんでしたね。
顔にこだわる余り、そこが彼の弱点となってしまったのです。

テラも怒りの感情を露わにしましたが、攻めるポイントを見つけたネウロはここから強くなるでしょう。
彼の容赦ない攻撃に、テラがどこまで耐えるのかー
正直楽しみですね。

今回の話で、テラもやっぱり制裁をきっちり受けるべき人物だということがはっきりしました。
人の命を軽く扱った彼には、それ相応の罰を受けてほしいものです。


次回で、戦いは決着かな?
ネウロとテラの戦いの結末を、楽しみに待ちたいと思います!!




・・それにしても、シックスが箱を作ってるのを見て、やっぱりXは彼の子供なのだな・・と再認識させられました。
シックスたちが変装を多用するから、Xも色んな人間に姿を変えるようになったんですかね。

今後もシックスとXの類似点は、色々と出てきそう。
最終的にXはどんな姿で現れるのか・・楽しみなような怖いような。

シックスⅡみたいになるのは嫌だなぁw(^^;)
その辺も、気にしていきたいですね。












さて、次回はいよいよ戦いの決着の時でしょうか。

テラの弱点を見つけ、いよいよ本気モードとなったネウロ。
対するテラも顔を傷つけられ、今までにない怒りを露わにしています・・。

果たしてこの戦いの結末はどうなるのかー


次回も楽しみです☆