前回、国家錬金術師の苦悩ゆえに禁忌に手を出した綴命の錬金術師、ショウ・タッカー。
エドたちは彼の娘と犬を救えなかったことに、自分たちの無力さを痛感します・・。

そんな中、タッカーの前に現れた謎の男によって、彼と娘たちは殺されてしまいます。
男は一体何者なのかー?!

感想です☆





第6話~ 「破壊の右手」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

エドは夢を見ていた。
母親に、錬成したおもちゃを見せに行く夢。

夢の中の母親はまだ元気で、彼が作ったものに驚き満面の笑みで喜んでくれる。
誇らしい気持ちで胸を張るエド。
そんな彼に、母親は言った。

でも・・お母さんはちゃんと作ってくれなかったのね・・。

その言葉と共に、どろっと溶けていく母親ー。
エドは思わず飛び起きるのだった。

今の光景が夢だと知り、目を見開くエド。
彼は汗びっしょりで呼吸を荒くする。その腕と足が、雨のせいか鈍く痛んだ。

痛い・・。
彼はぎゅっと体を抑え、こっちが現実だ・・と息を吐くのだった。


その朝、エドとアルはマスタングの元へ向かった。
出てきたのは彼に付いている女性ーホークアイ中尉だった。

朝早くからどうしたのだ?
そう問われた2人は、ニーナたちとタッカーはどうなるのか・・と尋ねる。

するとその問いに、ホークアイの瞳がきゅっと鋭くなった。
彼女は2人に告げる。
タッカーは資格をはく奪された後裁判にかけられる予定だったけど、昨日2人共死んだーと。

それを聞いたエドたちは信じられない思いで、誰に殺されたのか、と問う。
だがホークアイも今から現場に向かうので、詳しいことは分からない、と答える。
それなら自分たちも連れていってくれー
エドがそう頼むと、ホークアイは駄目だ、と厳しい口調で言った。

見ない方がいいー。
彼女の声の強さに遺体の損傷を感じ取った2人は、それ以上追うことを諦めるのだった・・。

ータッカー邸。
そこには、中央に彼を引き取るべく出向いてきていた軍の者ーヒューズ中佐とアームストロング大佐もいた。
彼らは引き取るはずのタッカーが遺体になっていることに息をつき、マスタングを見やる。
マスタングもまた頭を抱え、自分たちの落ち度だ・・と失態を詫びた。

彼らは遺体の状況を確認し、彼の体がまるで内側からバラバラにされたかのような状態であることを知る。
ということは・・3人は顔を見合わせ、うなづき合う。

間違いない、奴の仕業だー。


リオールー。
今日も人々はデモをし、貧しい生活を憂い、軍との戦いに向かっていた。

人間同士で争う姿を見ながら、黒ずくめの女と男は息をつく。
ごらんなさい、グラトニー。人間はどうしようもなく愚かだわ。

女がそう言うと、男ーグラトニーもうなづく。
するとそこに、死んだはずのコーネルがやってくる。
ああ、全くだ。こうも上手く行くと、その愚かささえも清々しくなるな。

その姿に気付いた女は、にっと笑う。
彼女が手をわずらわせて悪かったと謝ると、コーネルはこれが終わったらさっさと受け持ちの街に戻らせてもらうからなーと返す。

彼は本物のコーネルが作戦を失敗したため呼ばれた、替え玉だった。
彼のおかげで、結果として予定より早く計画が進んで助かったーと女は満足そうに微笑む。
コーネルもまた、街の様子を眺めながらうなづく。

少し情報操作をして教団の者を煽れば、すぐに街は荒れ果てた。
まったく人間というものは単純なものだー。
彼はそう語り、笑う。

流血は流血を、憎悪は憎悪を呼び、膨れ上がった強大なエネルギーはこの地に根を下ろし血の紋を刻む・・。
何度繰り返しても学ぶことを知らない。人間は愚かで悲しい生き物だわー。
女は傷つき苦しむ人々を見下ろし、呆れたように息をつく。

だから、我々の思うツボなのだろうー?
コーネルがそう言って笑うと、グラトニーが人がいっぱい死ぬ?と女に訊いた。

ええ、死ぬわー。
女は答えると、コーネルに目をやり、いつまでその恰好でいるの?エンヴィーと問いかける。

するとコーネルはにやっと笑い、ノリだよーと歯を見せた。
その姿が次第に、1人の少年の姿に変わっていくー

でもやっぱり、若くてかわいい方がいいよね。
そうして変身を解いた彼は、2人に並ぶ。

その時ー背後から叫び声がしたので、3人は振り返った。
そこには教団の人間がいた。

どうやらエンヴィーが変身を解くところを、見られたらしい。
本物の教主様はどこへ行った・・?!
うろたえ問いただす男に、3人は面倒そうに顔を見合わせた。

グラトニーが食べていい?と女に訊く。
そこで女は笑いながら、うなづく。
するとグラトニーは一目散に、教団の男にかぶりつくのだったー。

その咀嚼音を聞きながら、エンヴィーはふと耳にした情報を女に話した。
なんでも綴命の錬金術師であるショウ・タッカーが殺されたらしい。
しかも殺したのは、また例の奴のようだー。
・・それを聞いた女は、ぴくっと眉を動かす。

・・タッカーが住んでいたのは、イーストシティだ。
そこには焔の錬金術師がいる・・。
彼女がそう呟くと、今は鋼の錬金術師もいるらしいよ、とエンヴィーが付け足す。

2人は大事な人柱だ。死なせるわけにはいかないー
彼らは目配せし合い、この街を出ることを決意するのだった。


傷の男(スカ―)?
中央に戻ると、マスタングはヒューズとアームストロングから、犯人と目される男の話を聞いた。

男は素性が分からないから、そう呼ばれているらしい。
武器も目的も不明で、神出鬼没。
情報は、額に大きな傷があるということくらいしかないのだー。

彼は、今年になってから国家錬金術師を10人は殺していた。
軍隊格闘の達人だった准将までやられたと聞いたマスタングは、驚いて目を見張る。

それぐらいヤバい奴が街をうろついているということだー。
ヒューズは真面目な顔で、マスタングに大人しくしているように話す。
この辺で有名な国家錬金術師といったら、タッカーとマスタングくらいなのだから・・。

それを聞いたマスタングは、はっと息を呑む。
彼は、エドとアルもまだこの街に滞在していることに思い至ったのだ。

マズい・・。
マスタングはすぐに部下たちに、エドたちが宿にいるのかを確認しに行くように告げる。
するとそこにホークアイがやってきて、2人が大通りの方へ歩いていったのを見たと語る。

こんな時にー!!
マスタングは唇を噛み、急いで2人を探しに行くよう周囲に声をかけるのだった。


その頃ー
エドとアルは、街の中で石段に座りこんでいた。

2人共気分が晴れず、雨の中座り尽くす。
彼らは錬金術について、改めてそれが何なのかを考えていた・・。

錬金術とは、物質の内に存在する法則と流れを知り、分解し、再構築すること。
この世界も法則に従って流れ、循環している。
人が死ぬのも、その流れの内。流れを受け入れろー。

それは、彼らが錬金術の師匠にくどいくらい言われた言葉だった。
だがその意味を2人は母を失ったときも理解していなかったし、そして今も心から理解してはいなかった。
どうにもならないことをどうにかできないか、と、2人は考えてしまうー

俺は馬鹿だ。あの時から、少しも成長していない・・。
エドの言葉に、アルもうなづく。

自分には肉体が無いから、今降る雨が肌を打つ感覚も分からない。
それはやっぱり寂しいし、辛い。
だからそれが世に逆らうどうしようもないことだとしても、自分はやっぱり元の体に、人間に戻りたい・・。

ーそのまま、2人は暫し押し黙った。
とそこに、マスタングの使いの者が現れる。
彼はエドたちを見つけると、エドの名を大きな声で呼んだ。

・・その名を、耳をそばだてて聞く者がいた。
エドワード・エルリック?
顔に大きな傷のあるその男は、名前を呼ばれた人物の顔を凝視するー。

使いの男は、エドたちにすぐに本部に戻るよう告げた。
彼は、この付近に連続殺人犯がいることを伝えようとする。
だがその時ー彼らは恐ろしいまでの殺意を感じ、背筋を震わせた。

気が付くと、使いの男の後ろに、見慣れぬ男が立っていた。
彼はエドを見つめると、呟く・・。
エドワード・エルリックー鋼の錬金術師!!

その額に傷があるのに気づいた使いの男は、すぐに銃を抜こうとした。
だがスカ―の方が早く、彼は伸ばした手で使いの男の顔を砕いてしまう。
その一瞬の強力な攻撃に、エドは目を見張り後ずさった。

なんなんだ、こいつはー!!
エドの中に、ヤバいという焦りが渦巻いた。
彼の心は必死に逃げろと叫んでいるのに、あまりのことに足がすくんで動かない。

その間にも、スカーは真っすぐに腕を伸ばしてくる。
エドは恐怖を感じ、思わず目を閉じた。
駄目だ、死ぬ・・!!

その時ーちょうど時計が、9時の鐘を鳴らした。
その音に我に返ったエドは、すぐにアルに逃げよう、と声をかける。

だがスカーもそれを見逃さず、2人の後を追った。
彼らは路地に逃げ込むと、錬金術で壁を作ってスカーの追跡をかわそうとする。

けれどもスカーは、その壁を難なく壊した。
彼はそのまま周りの壁も破壊し、逆にエドたちの行く道を塞いでしまうー。

その業を見たエドは、呆気に取られて息を呑んだ。
あんた、何者だ。なぜ俺たちを狙う・・。
彼はスカーに、そう尋ねる。
するとスカーは、低い声で答えた。
創る者がいれば、壊す者もいるということだー。

その答えに、エドとアルは顔を見合わせた。
2人は戦うしかないーと腹をくくり、それぞれ武器を錬成する。
その覚悟を秘めた瞳に、スカーは思わず笑みを漏らした。

いい度胸だー。
彼らはそのまま、組み合った。

エドとアルは、交互にスカーに向かっていく。
だがスカーはその攻撃を軽々かわすと、遅い、と一喝した。
そのまま彼は、まずはアルの体を砕きにいくー。

アルの腹部が、スカーの手によって破壊される。
それを見たエドは絶叫し、アルを助けに向かった。

しかしスカーはそんな彼の前に飛び出ると、再び遅い!と叫んだ。
彼らは組合い、スカーはエドの腕を破壊しようと力をこめる・・。

けれどもエドの腕は、破壊されなかった。
スカーは謎の感触を腕に感じ、その違和感に首を傾げる。
それはさっきアルに攻撃したときにも、感じた違和感だった・・。

そこで彼は、2人の体を眺める。
なるほど、オートメイルか。どうりで人体破壊では壊せぬはずだ・・。

彼はアルの鎧の体の中には、中身がないことにも気づいていた。
変わった奴らだ。おかげで余計な時間を喰ってしまった・・。
合点したスカーは、再び腕に力をこめる。
それに対し、エドもまた錬金術で対抗しようと両手のひらを合わせたー

それを見たアルは、危険だ、とエドを止めようとする。
だがこのまま逃げたら、アルを置いていくことになってしまうー
エドは退かず、強化した右腕でスカーに向かって拳を振り上げた。

それを見たスカーは、腕を鳴らし、まずはエドの攻撃を体で受け止めた。
そしてエドの体をそのまま抑え込むと、彼は右腕を掴んだ。
まずはこのうっとうしい右腕を、破壊させてもらうー!

その言葉と共に、エドの腕に破壊の力が加えられた。
エドはなす術なくその攻撃を受け、その右腕は粉々に砕けていくのだった・・。




















スカー(傷の男)。


今回はタッカーたちを殺した男が、エドたちの元にも現れ死闘を繰り広げた回でした。
まさかエドたちがあそこまで苦戦するとは!!
一体スカーとは、どんな男なのでしょうか。そして彼の目的はー?!

早速見ていきましょう!




まずは彼の目的ですが、軍としては掴んでいないとのこと。
しかし国家錬金術師ばかり狙っているのを見ると、やっぱり国の体制に不満があるのかなーと思われます。

彼自身も、錬金術師を破壊するのを目的にしていると明言していますしね。
何か錬金術師との因縁があるのでしょう。
顔の大きな傷も、もしかしたら錬金術師によってつけられたのかもしれないですね。

今まで悪どそうな錬金術師は出てきていませんが、国家に属しているとなると戦争などでは第一線で戦ったり、国民を押さえるために政府の汚い仕事を引き受けている錬金術師がいてもおかしくはありません。
その中にはもちろん、力を持ったばかりに傲り、人々に容赦ない対応をした者だって残念ながらいるのでしょう。

そういう錬金術師との因縁が、スカーにもあるのかな・・と今回の彼を見て感じました。
ただだからといって、国家錬金術師を全て倒してもいいーとは決してならないですけどね。
けれども、デリケートな問題であることは確かだと思います。。

彼のやり方に関しては、彼の事情を知ってから判断したいですね。
殺人を犯している以上許されることはないですが、その犯罪の前に別の犯罪があったとしたら話は別ですから。

スカーの口から、殺人の目的が語られることはあるのかな?
とりあえず、展開を待ちたいです!





さて、後は彼の使う業について。
前回も書きましたが、特殊な戦い方ですよね。
一見エド同様の錬金術に見えるのですが、一体どうなっているのでしょう。

ただエドと同じで手の平だけで業を出しているように見えますが、彼の場合は何かを錬成して戦っている訳ではないのですよね。
むしろ物を破壊して、攻撃に変えているように見えます。
これも謎・・。

何か錬金術以外の業を持っているのでしょうか。
それこそ黒ずくめの敵たちのような存在なのかも?人外というか・・。

そういえば肌も黒っぽく描写されているし、この国の人間ではないのかもしれないですね。
ますます謎が深まるばかりですが、気になってきたのも確か。。

早く彼の正体が知りたいものです。
とりあえずエドたち大ピンチなので、マスタングの到着が待たれるところ・・。

焔の錬金術師の力量もまだしっかりと見てはいないし、スカーと彼の戦いも見て見たいですね。
今のところやられてばかりの錬金術師ですが、果たしてスカーに打ち勝つ術はあるのか・・。

見守りたいと思います!





最後に、黒づくめの3人について。

彼ら、なんて呼ぶのが妥当なんだ・・。
とりあえず黒づくめと呼ぶけど、コナンとかぶるw


今までもそうだろうとは予想していましたが、今回を見てはっきり確信しました。
彼ら、人間ではないですね。

3人共見た目がかなり違うので同じ能力持ちかは怪しいですが、全員が変身能力を持っていたとしたら厄介ですね。
どこに紛れ込んでいるか分かりませんから、軍に忍び込まれることも今後起きそうです・・。
実際リオールの人たちは、全く気付いていないようでしたからね。。

そしてもう1つ気になるのは、人柱という単語。
どうやらエドとマスタングがその人柱に当たるようですが、これってどういうことなのでしょう。
何か彼らが街を制圧しようとしている件と、関係があるのでしょうか。

これに関しても情報不足なのでまだ何ともいえないですが、錬金術師にとっては敵が複数いて生きにくい世の中ですね。
この物語が、どこへ向かうのかー。
新たな登場人物たちの動きにも、引き続き注目して行こうと思います。








さて、次回はスカーとの戦い続編ですね!

体を破壊されたエドとアル。
どちらももうまともに戦うことができず、絶体絶命ですね。

頼みの綱は軍の皆とマスタング。
彼らはエドたちがやられてしまう前に、2人の元に駆けつけることができるのでしょうかー。

スカーの目的も引き続き気になります!
この戦い、どんな結末を迎えるのかー

次回も楽しみです☆