前回、ついに錬丹術の書からアメストリス国土に敷かれた錬成陣を発見したアルたち。
一方瀕死のエドは自身の生命エネルギーを使って、何とか一命をとりとめます。

しかしそんな中、ついに動き出したプライドは、キンブリーに接触します。
スロウスの掘るトンネルも完成間近・・
いよいよ彼らの計画は、始動してしまうのでしょうかー?!

感想です☆





第78話~ 「七つの罪」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

エドたちが行方不明になってから、10日ほどが経ったー。
その報せはブリッグズ要塞にとどまらず、ファルマンによってマスタングの元部下たちにも知らされた。
もちろんマスタングにも、ファルマンは常に情報屋を通じて連絡を取っていた。

そんな中、スロウスの掘るトンネルがついに開通するー。


ーリオール。
戦乱を乗り越えた町では、ロゼたちが炊き出しを行っていた。
人々は列を作り、彼らの作ったスープをありがたく受け取る。

そこに、1人のふらふらした男性が近づいてきた。
彼ーホーエンハイムは今にも死にそうな体で、自分にも1杯分けてくれ・・とロゼに頼み込む・・。

ロゼはスープを注ぎ、ホーエンハイムはそれをうまそうに飲み干した。
そして満面の笑みで、ロゼたち炊き出し班に礼を言う。

その見慣れない顔に、店を営む男がどこから来たのかを尋ねた。
ホーエンハイムはどこでもない、と答え、あちこちを回っていることを話す。
でも何でこんな何もないところに・・?
ロゼと店主は、そう顔を見合わせた。

リオールは、先の暴動で何もない町になってしまっていた・・。
だがホーエンハイムは、何もないということはないさ、と温かいご飯があることに感謝する。
そして立ち上がると、もう1つ世話になってもいいか?と2人に頼んだ。

彼は暴動の原因になった、レト教の本部の教会を探していたのだ。
それなら・・とロゼは町の奥にある大きな建物を指さす。

そこには以前エドが錬成した奇妙な銅像もあった。
ホーエンハイムは、センスがイマイチだな・・と言いながらも、2人に案内され教会へと向かう。

教会は今は使われておらず、家具なども全て持ち出されて廃墟状態だった。
ホーエンハイムは地下に入る通路を聞くと、階段を降りていく・・。

だが地下通路は途中まで行くと、水が湧いて進めなくなっていた。
ロゼによれば、その水はしかも毒性があるのだという・・。
それを聞いたホーエンハイムは、普通の人間はこの先には進めないようになっているのか・・とうなづく。

それから彼はひょい、と水の中に足を踏み入れようとした。
ロゼと店主は慌てて止めるが、その瞬間ホーエンハイムの足元には木でできた橋が作られていくー。

そのままホーエンハイムは、すたすたと1人奥へと進んで行ってしまった。
ロゼと店主は唖然としながらも、彼も錬金術師なのか・・と納得するのだった。

ーホーエンハイムが歩いていくと、その地下はトンネルのように奥までずっと続いていた。
立派なもの作りやがって・・。
彼は息をつき足元を確認しながら、どんどん先へと入っていく。

その時ーホーエンハイムは異様な気を感じて、顔をしかめた。
・・いきなり当たりか。
彼がそう口にしたのも束の間、そこにプライドが姿を現すー。

そのままプライドは、ホーエンハイムを追って蠢いた。
ホーエンハイムは錬金術でその追撃をかわしながら、逃げようとする。
だが足止めはほとんど意味がなく、彼の業はどんどん破られていく。

そこでホーエンハイムは、今度はプライドを閉じ込めてみることにした。
だがそれすらも、プライドは乗り越えてやってくる。
どうするか・・
首を傾げたホーエンハイムは、ふと足を滑らせて転んでしまった。
彼はトンネルにつながる小さな穴の中に落ちてしまう。

それをチャンスとばかりに、プライドが迫ってきた。
だが穴の前に来るとーなぜか彼は動きを止めた。
ホーエンハイムとプライドはそのままにらみ合い、先にプライドが口を開いた・・。

その姿・・ヴァン・ホーエンハイムか?
そう問われたホーエンハイムは、プライドがこれ以上進んでこれないことに気付いた。
そうか、ここまでがお前の入れ物らしいな・・。

どうやらプライドは、ここを出ると死ぬらしい。
恐らくフラスコにいたときのように、一定ラインを越えることができないのだろう・・。
このトンネル内と、中央の中心部でしか動けないー違うか?
そう言い当てられたプライドは、ギリギリ・・と歯を食いしばる。

その姿を見たホーエンハイムは、怒っているのか?と訊いた。
だがプライドは、自分には怒りの感情などない・・と話した。

色欲、怠惰、強欲、暴食、嫉妬、憤怒・・
いらない感情は全て父上の中に置いてきたー
そう告げた上で彼はホーエンハイムに、自分はプライドだ、と名乗る。

人には7つの罪がある。あいつが最初に切り離したのが、プライドという訳かー。
ホーエンハイムは納得し、フラスコの中にいたときの姿に似せて切り離すとはな・・と1人笑う。
名は体を表す、という奴かー
彼はその眼を、きゅっと細めた。

その姿こそが傲慢で自尊心の強いあいつーお前の父親の本質か。

父親を侮辱されたことに、プライドは再び歯をギリギリと鳴らした。
彼はホーエンハイムを睨み、父上のところに来てもらおうかーと迫る。

だがホーエンハイムはそれを断り、呼ばれなくてもその内行くさーと答える。
それから彼はプライドに、伝言を伝えた。
その内、奴隷23号が会いに行く。せいぜい中央でふんぞり返って待っていろー。

ーそれだけ言うと、ホーエンハイムは元の道を戻っていった。
プライドは手が届かず、苛立ちながらもその姿を見送った・・。

その一部始終は、お父様にも届いていた。
彼は中央で、1人呟く。
ああ、待っているぞ、ホーエンハイム・・!

ーその後、ホーエンハイムは彼を心配して待っていたロゼたちの元へと戻った。
奥は危ないから近づかないように・・。
彼がそう告げると、ロゼは奥で何をしてきたのだ?と尋ねた。

ホーエンハイムは笑みを浮かべ、一言答える。
宣戦布告さー。


ーブリッグズ要塞。
外で門番をしていた軍人たちは、異変を感じていた。
吹雪で遠くがよく見えないが、何かが近づいてくる音がするのだ・・。

やがて視界が開けてくるとー彼らは目を見張った。
そこには、無数の軍隊が迫ってきていたのだ。
驚く彼らに、ドラクマから開戦宣言があったことが中から伝えられた。

バッカニアとマイルズも出てきて、外の様子を確認する。
ブリッグズ軍ではなく、ドラクマを使って流血の惨事を起こす気か・・。
彼らは舌打ちし、しかしなぜ・・と疑問を感じる。

ドラクマは、ブリッグズが難攻不落の地だということを誰より知っているはずだ。それがなぜ、急に攻めてきたのか・・。
そう疑問を口にするバッカニアを横目に、マイルズはある可能性を感じていた・・。

そしてー彼のその予感は、当たっていた。
ドラクマ。
そこにはーキンブリーの姿があった。

彼は、今のブリッグズにはその北壁であるオリヴィエがいないことをドラクマに明かし、攻め入るよう唆していたのだ。
興奮するドラクマのトップに、キンブリーは涼し気な顔で、要塞の中には彼の息のかかった中央軍も多数いることを教える。

それを聞いたドラクマのトップは、今こそブリッグズを攻略してみせるーと闘志をめらめらと燃やす。
キンブリーもうなづき、宣戦布告のときだーと一歩前に出た。
派手に花火をあげようじゃないですかー。
そう語る彼の背後で、大砲に弾が装填されていく・・

ーその頃、アルはメイに錬丹術の使い方を習っていた。
龍脈の流れを読むのだー。
メイは簡単そうに言うが、全く理解できずアルは苦心する。

彼らは北方のイシュヴァール人たちが身を潜めるスラムに、束の間滞在させてもらっていた。
スカーが礼を言うと、イシュヴァールの仲間たちはむしろ医者を紹介してくれてありがとうーとほほ笑む。

その視線の先には、けが人や病人の手当てにあたるマルコーの姿があった。
ウインリィやヨキは子供たちの遊び相手になり、ジェルソは薪割りにいそしむ。
そんな中ーザンパノは食料の調達に行く、と一行から離れて1人で行動していた。

彼は町の方に出ると、誰にも見られていないのを確認してから電話ボックスに入った。
そして声を潜めながら、彼は中央へと連絡を入れたー。

・・ああ、そうだ。スカーとドクター・マルコーと思しき男が、北のアムベックにあるスラムに潜伏中だ。

彼は自身の身の安全を確保してもらうのと引き換えに、スカーたちの情報を売ったのだ。
大総統室ー
そこでザンパノの報告を聞いたエンヴィーは、ブラッドレイの代わりに彼の要望を承諾した。

よく教えてくれた!楽しくなってきたよー!!
彼はそう笑い、早速スカーとマルコーを捕まえる手立てを講じるのだった・・。




















宣戦布告。


今回はホーエンハイムがお父様たちに宣戦布告するなか、ブリッグズに隣国ドラクマが攻め入ってくる話でした。
本当に、着々と計画実行の日が近づいている雰囲気が伝わってきますね。
次巻で、いよいよその日は来るのかな・・。

ついにブリッグズにも、血の紋が刻まれようとしています。
ブリッグズ軍の強さを思えばドラクマに負けるようなことはないと思われますが、今のブリッグズ軍にとってはドラクマも中央軍も敵・・。
でも中央軍にまで手を出せば、今度は中央との戦い必至ー
なかなか難しい状況です。。

恐らく一枚岩を利用するーというのは、そういうことなのでしょう。
前回エンヴィーが参戦するのでは・・と予想しましたが、どうやらその読みは外れそう(^^;)
彼の最優先事項は、あくまでマルコーを捕らえることのようですね。
マルコー・・そんなに利用価値がある人物なのか・・。

バッカニアたちにも策はあるようですが、一体どうするのでしょうね。
要塞を乗っ取った中央軍を捕らえ、自分たちだけで要塞を守る?
でもそれをしたら、ブラッドレイが黙ってないし・・。

マイルズとしても、ここでキンブリーを仕留めたいでしょう。
でもそれをやったら中央が・・って、何をやっても中央が介入してくる理由を作ってしまうのですよね。
これがホムンクルス側の狙いなのかも。かといってドラクマを侵攻させる訳にもいかないし、悩ましいところです。

敵をあおったキンブリーは許せないですが、彼は未だ賢者の石を1つ持っています。
それを利用されたら、さすがのブリッグズ軍も勝つことは無理でしょう。
だからエドやアルがいない今の状況で、彼と戦うことも避けてほしいですね・・。

うーん、そう考えるとブリッグズ軍が優勢という訳でもないのが辛いところ。
オリヴィエが鍛え上げた軍なので色々頭も回るメンバーでしょう。きっと何とかしてくれるとは思うので・・見守るしかないですね。

これ以上戦乱で犠牲が出ませんように・・。
祈っています!!






さて、今回はホーエンハイム側の話でもありました。
どうやらホーエンハイムは戦乱が起きた場所を巡っているようですね。
今回訪れたのは、懐かしのリオールでした。

ロゼは、戦乱を生き抜いたのですね!
炊き出しで人々を励ます彼女の笑顔を見て、前を向くことができるようになったのだと嬉しくなりました。
でも生活は厳しそうですね・・。本来なら、そうなるはずじゃなかったのになぁ。。

彼らもホムンクルスによる犠牲者なのですよね。
そう思うと、本当ホムンクルス許せないです・・。


で、レト教の地下からスロウスの掘ったトンネルへと入ったホーエンハイム。
彼はそこで、プライドと対峙します。
ここも初対面だったようですね。プライドは基本、指示役で今まで動くことはなかったのでしょう。

まぁ今まではラストがいましたからね。わざわざプライドが出向く必要がなかったのだと思います。
でも彼女がやられ、計画が近づいてきた・・。
だから今、司令塔として少しずつその姿を見せ始めたのではないでしょうか。

そして今回、プライドについて新たな事実が分かりました。
彼はトンネルの中と中央の中心部でしか動けないようです。
理由はよく分かりませんが、行動に制限があるというのは今後戦う上で大切な情報となりそうですね。

恐らく最初に切り離したからなのかな・・。まだお父様も試行錯誤のなかだったから、そういうい不都合が生まれた、というのもあるかもしれません。
もしそうだったとしたら、始まりのホムンクルスという名もなんだか重いだけのような気もしますね・・。

ホーエンハイムが言うには、あえてその姿を残したようですが、その枷をプライドが負っていることを思うと何だか複雑です。
結局お父様も傲慢という感情からは逃れられていないように思えるし・・ここにはもっと複雑な色々な思いが絡んでいそうですね。
その辺、もしかしたらプライドの弱みとなるかも・・。

プライドは、自分に怒りの感情などない、と言っていましたが、その発言する姿自体から苛立ちが見受けられます。
きっと言葉とは裏腹に、彼も何がしかの閉塞感があり、それを言い当てられたから苛立ったのではないでしょうか。

まぁまだ真相は分かりませんが、ホムンクルスのトップとはいえ自由に動くことのできない枷を抱えているプライドには、付け入る隙もあるのかな・・と今回感じました。

そういえば、プライドの真の姿があれだということは、セリムの姿って何なのでしょうね。
仮の入れ物?
その辺よく分かりませんね・・。

恐らくラースが作られた後にセリムの見た目を用意したのだと思われるので、グリードやグラトニーに真の姿があるような感じと同じなのでしょうか。
ちょっと形状は特殊ですけどね・・。

ラースは元が人間だから、あのブラッドレイの姿からは変化しなそうですね。
となると、スロウスも変化する可能性があるのか・・。元が大男だから、ちょっと怖いかも(^^;)

計画実行の日が近づくにつれ、ホムンクルス側の事情も少しずつ見えてきましたね。
そしてホーエンハイムの動きの理由も・・。

最終決戦には、間違いなくホーエンハイムも参戦ですね。
エドとアルと、親子で戦うことになるのか。ちょっと胸熱ですね!

ホーエンハイムも悪い人ではないと分かったので、エドたちと和解してほしいなぁ。
そして戦いの後、一緒に暮らしていけたら・・と思います。
そんな日が来ることを願っています(^^)







最後に、ザンパノについて。
ラストに不穏な動きを見せた彼・・。
仲間になったと思っていたので、残念ですね・・。

ただこれは引っ掛けで、ホムンクルスをおびき出そうとしているのかも・・?とも感じました。
だってザンパノたち、エドたちに助けられたときはそんなに必死に生きようとしていませんでしたよね?
家族も疎遠だと言っていたから、人質に取られている可能性も少ないし・・。

そう考えると、これは逆にスカーたちが企んだ罠ではないかとも予想できないでしょうか。
中央での最終決戦の前に、1人でもホムンクルスを倒しておきたいー
彼らがそう考えてもおかしくないですよね。

そしておびき出すのだとしたら、候補に挙がるのはやっぱりエンヴィーかなと思うのです。
ブラッドレイやセリムはあり得ないし、スロウスもない。
グラトニーはアルやスカーが敬遠しそうだし、グリードはアルが選ぶわけがない。
そうなると、自然と残るのはエンヴィーだけなので。

なので北の地で、エンヴィーとの最終決戦の可能性も出てきましたね。
あ、でもそうなるとマスタングの復讐が達成されないのか・・。となると、違うかな。

ちょっと怪しくなってきましたが、でもザンパノが裏切ったと考えるのはまだ早計なのではないでしょうか。
というか、そう信じたい・・。キメラたちのあの叫びが、嘘だったとは思いたくない。
どんな展開となるのか、楽しみですね。






 
さて、次回はブリッグズとドラクマの戦いが繰り広げられる回でしょうか。
ブリッグズの底力が試されるときですね。
一体どんな戦いとなるのかー
ハラハラしつつも、少し期待してもいます。

そして動き出そうとしているホムンクルスたち。
スカーたちに、危機が迫ろうとしています!
錬丹術使いのメイが頼みの綱ですが、さてどうなるかー?!


各地で戦いの様相ですね!
次回も楽しみです☆