今回から、26巻です!

前回、ホムンクルスたちとの最後の戦いを始めたエドたち。
それぞれがそれぞれの思いを胸に抱え、目の前の相手に挑みます。

日蝕が進むなか、このまま彼らはホムンクルスの計画を阻止することができるのでしょうかー?!

感想です☆




第104話~ 「世界の中心」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ホムンクルスの攻撃によって、メイは怪我を負い倒れた。
それを見たエドは、アルにメイの加勢に行くように指示する。

セリムは任せとけ。あいつは俺1人で十分だ!!
エドの叫びに、セリムは眉をひくつかせる。
彼は影を伸ばして、エドに差し向けた。

だがエドはその攻撃を、次々に鋼鉄化した腕で弾いた。
どうした!随分ぬるい攻撃じゃねぇか!!

やっぱりセリムは、人柱の自分を殺せないようだ。
だったらその前に自分が・・エドは踏み込む。
だがその時だった。

倒す?やってみてくださいよ。
セリムがひゅっと、エドの懐に滑り込んだのだ。

君は小柄だから、自分より大きい者とばかり戦ってきた。つまり自分より小さい者と戦った経験が少ない!!
そう言って、セリムはエドの真下から、影を伸ばすー。

けれどもエドはその攻撃を受けつつも、逆に戦闘用オートメイルでセリムに刃を向けた。
確かに俺は大きいのとばかり戦ってきた。だからこそ、チビの攻撃パターンはよく分かるんだよ!!
エドはそのままセリムを掴み、切りかかる。
そしてーその脳天に、頭突きした。

セリムの眼から、火花が散る・・。
そして彼の顔面は、脆く崩れていくのだった・・。

一方、メイは血まみれの姿になりながら、必死に錬成陣を描こうとしていた。
それを見たホムンクルスは、意外としぶといな・・と舌打ちすると、拳銃を錬成して彼女に向けた。

その銃撃の間に、アルが割り込む。
彼の身体が銃弾を弾くのを見たメイは驚くが、アルは彼女に体力を温存していて、と声をかける。

それから彼とイズミは、ホムンクルスに攻撃を仕掛けた。
だがホムンクルスはその攻撃を難なくかわすと、遊んでいる暇はなくなった・・と2人を睨む。

すると彼の身体から伸びた黒い腕が、アルとイズミの身体を絡め取った。
後は・・ホムンクルスは、今度はエドとマスタングに視線をやる。

その瞬間、2人の身体にも黒い腕が巻き付いた。
どうやら時間が来たようだ。働いてもらうぞ、人柱諸君ー!!
彼はそう言いながら、4人を錬成陣の中心へと連れていく・・。

同刻、街は太陽の姿が見えなくなり、日に翳っていた。
外の景色が暗くなっていくのを、捕らえられた上層部の軍人は見ていた。
彼は悲鳴をあげ、早く錬成陣の中心に行くんだ!!とブリッグズ軍に向かって指示する。

ここではダメだ。私を中心へ連れていけ!!
そう言ってガタガタ震える彼を、ブリッグズ兵は驚いて見守る。
早くしろ!呑み込まれるー!!

ーその時、太陽は完全に影に隠れて見えなくなった。
ホムンクルスはその時を待ち、歓声を上げる。
時は来た!!

瞬間ーアメストリス全土に、鈍い衝撃が走った。
地震のような揺れが一瞬起き、人々は不安げに周囲を見回す。
すると間髪入れず、再びドクン、という衝撃が走った。

・・それはまるで、心臓の鼓動のようだった。
エドたちを抱えながら、ホムンクルスは計画の発動を告げる。

お前たちは、地球を1つの生命体と考えたことがあるか?いや、生命体というよりシステムというべきか・・。
お前たち人間1人1人の情報量など取るに足りない、膨大な宇宙の情報を記憶するシステム。その扉を開けたら、一体どれほどの力を手に入れられるか考えたことがあるか?

そう語りながら、彼はにいっと笑みを浮かべる。
その扉をー人柱諸君を使い、今ここで開く!!!

その時ーその背後に、グリードが姿を見せた。
へえ、中心はそこかい。
彼はホムンクルスに鋼鉄の腕を伸ばす。
親父殿、世界の中心を俺によこしな!俺は・・世界を手に入れるーーー!!!

彼の腕は、そのままホムンクルスの頭を握りつぶした。
やった・・!
エドたちは叫んだ。だがそれも・・束の間だった。

・・来ると思っていたよ、我が息子グリード。
ホムンクルスは頭をぐにゃっとゆがめながら、そう笑ったのだ。

彼は自分の息子だからこそ、グリードがどう出るのかを理解していた。だから彼が自分と同じものを欲し、ここに来ることを見込んでいたのだ・・!

だから彼がいるのはー中心ではなかった。
グリードを見事だましたホムンクルスは、真の中心へと移動する。

ホーエンハイムはそれに気づき抵抗しようとしたが、既に遅かった。
ホムンクルスは錬成陣の真ん中で、力を発動する。
すると5人の人柱の身体に、巨大な眼が生まれたー。

その眼は真っ暗な闇を生み出し、近くにいた者たちを皆呑み込んでいく。
ホークアイ、キメラたち、スカー、ブラッドレイ・・
闇はどんどん増幅し、次第に中央の街をも呑み込む・・。

その中、5人の人柱の身体に生まれた扉は、互いに反発し合い、膨大なエネルギーをぶつけ合っていた。
メイやグリードは弾かれ、手を出すこともできない・・。
その光景を眺めながら、ホムンクルスは歓喜に大声をあげた。

そうだ!扉同士反発し合え!戦え!!
彼は素晴らしいエネルギーが生み出されるのを、自身の身体をもって感じていた。
この力を使い、この惑星の扉を開けるーーー!!

その眼が、ぐにゃりと笑み崩れる。
瞬間、地下に敷かれた錬成陣が発動したー。

アメストリスの街々には、無数の黒い腕が現れた。
その腕に怯えるなか、人々の身体にも異変が起きる。
次々に彼らは息苦しさを覚え、その場に倒れ始めたのだ・・。

各地で悲鳴が上がり、生き物が倒れる音が響き渡る。
それは中央だけではなく、ウインリイたちのいるリゼンブールも例外ではなかった。

ウインリイとピナコは、身体が動かなくなり、床に崩おれた。
彼らには、何が起きたのかは大体分かっていた。
ついに始まってしまったのか・・。
ピナコは胸を押さえながら、呟く。

ウインリイもまた口を押さえながら、薄れゆく意識のなか腕を伸ばした。
エド・・
その手は力なく、床に落ちる・・。

そうしてーやがて黒い腕は、アメストリス全土を包み込んだ。
それと同時に、錬成陣の中心に、巨大な扉が開かれるー。

その扉を、ホムンクルスがこじ開けた。
彼は雄たけびをあげ、太陽のない闇の世界に足を踏み出し、天に向かって声をあげる。

神よ!我が魂に応えよ!!来い!!
そう叫びながら、彼は天にその腕を伸ばす。

その先には、影に隠され姿の見えない太陽があった。
その太陽の中に、やがて扉が生まれる。
そして扉が開くと、そこから巨大な眼がホムンクルスを見つめた。

そこから無数の腕が伸び、ホムンクルスの身体を絡め取る。
ホムンクルスはその腕を受け入れ、むしろ取り込もうとした。

そうだ、来い。もう貴様に縛られ続ける私ではない。地に引きずりおろし、我が身の一部としてくれようー!!

その叫びと共に、眩い光が彼を包んだ。
そうして・・太陽の中に開かれた扉は、次第に閉ざされていく・・。


ー世界は、静寂に包まれた。
どれくらい経っただろうか。錬成に呑み込まれなかったエドたちやメイ、グリードは、むせこんで起き上がった。

一体何があったのか・・。
彼らは辺りを見回し、いやに静かなことに違和感を覚える。

エドがはっと気づき、皆賢者の石になってしまったのかー?!と叫ぶ。
すると彼の背後で、そうだーとホムンクルスの声が答えた。

神を我が内に捉え続けるためには、莫大なエネルギーが必要なのだ。この国の人間には、そのためのエネルギーになってもらった。
彼はそう言うと、皆の前に立ちはだかった。
その姿に、エドたちは眼を見張るー。

今や、神も人も全て私の中だ。
その勝ち誇った声に、ホーエンハイムはやりやがったな・・と眉をひそめる。

ああ、成功だ・・。
彼らの前に立つホムンクルスは、もう真っ黒な姿ではなかった。
彼は若いころのホーエンハイムのような見た目に生まれ変わっていたのだー。

協力、感謝するよ、諸君。
ホムンクルスはそう言うと、人柱たちに役目の終わりを告げるのだったー。




















計画の発動。


今回はホムンクルスの計画が発動し、彼が神の身体を手に入れてしまった回でした。

ついに計画が成功してしまいました。
本当にアメストリスの人々の魂は、賢者の石と化してしまったのでしょうか。
これをどうにか元に戻す術は、もう残されていないのでしょうかー?!

あまりにショックな展開ですが、ホーエンハイムたちが逆転の錬成陣を仕込んでいたことを私たちは知っています。
きっとまだ打つ手はあるはず!そう信じたいですね!

では、見て行きましょう。


今回はブラッドレイやセリムとの戦いはお預け。
ほぼ計画の発動に終始した回でした。

ホムンクルスがやりたかったことは、やっぱり神という存在になることでした。
彼の中ではもはや人間など眼中になく、より完全な存在を目指したというわけですね。

まぁホムンクルスたちは長年人間を見てきて、嫌気がさしているようだったもんなぁ。
憧れるところもあるけど、好きになれない部分も多いーそんな対象なのでしょうね。

そしてそんな好きになれない相手だからこそ、自分たちがどこか憧れてしまうのが許せなかったというのもあると思います。
家族という概念を持つところとか、仲間と協力し合うことで成長していくところとか、ホムンクルスたちには欲してもできなかったことですからね。
それがたまらなく憎くもあり羨ましくもあったからこそ、ホムンクルスは更に上を目指したのかなー
そう感じました。


で、ついに計画が発動。
ここで、個人的にはようやくホムンクルスが何をしたいのかが分かってすっきりとしました。

今まで真理の扉って1つなのかと思っていたのですが、これ違ったんですね。
錬成のとき、そして宇宙の扉を開けたときに、ようやく分かりました。
生命エネルギー体は皆それぞれ1つずつ、真理の扉を持っているのだ、と。

つまりエドたちが今まで開けてきたのは自身の中の真理の扉で、その心理の扉の内を見ることで、情報を得、錬成ができるようになっていたのです。
なるほど・・だからアルが向かった真理の扉の前には、人間のアルがいたのか・・。

ということは、元の身体を取り戻すためには、自身と対話し納得させる必要があるということですね。
それの一番分かりやすいものが等価交換である・・と。
うん、難しいけれど、何となく自分との対話と考えると、突破口も見えてくるような気がします。

そう考えると、マスタングが視力を奪われたのは、彼の身体がそうしたことなのかなぁ・・。
それともそこにセリムが介入したから、不具合のようなものが起きた?
ここに関しては前回も言いましたが納得していないので、ちゃんとした説明が欲しいなーと思います。


で、ホムンクルスが言うには、地球もまた1つの生命エネルギーなのだそうです。
だから地球にも真理の扉が存在する。
その扉を開きその中の膨大な情報を得ることができれば、自分は神に等しい存在となれるー
それがホムンクルスの企みという訳です。

そしてその扉を開くためには、莫大な量の人間の真理の扉を集め、開く必要がある。
だからそれを集約するための人柱が必要だし、人々の命が必要ということですね。
ここはようやく理解できて、本当にすっきりしました。


で、その計画を発動したホムンクルス。
彼の目論見どおり人々の魂は奪われ、ついに彼は地球の扉を開いてしまいます。

ここ、グリードの企みを事前に察知していたことと言い、ホムンクルスのほうが何枚も上手でしたね。
計画を読んでいたホーエンハイムを拘束していたのも、彼だけが脅威だったからでしょう。

そう考えると、ホムンクルスの計画の全容を見抜けなかったエドたちにはやっぱり止める手立てはなかったんだろうなぁ・・。
少し残念だけど、ここまで壮大な計画を逆に理解できていたらすごすぎるから、まぁ仕方ないのでしょう。

話は戻り、そうして地球の扉を開け、その中にいる真理を引きずりだしたホムンクルス。
ここの彼のセリフには、フラスコの中の小人であった彼の怨嗟が現れていて、とても興味深かったです。
やっぱりこれだけの計画を実行したにもかかわらず、彼の根底でくすぶる思いはそこなのだなぁ・・と。

ホムンクルスもブラッドレイ同様、自由になりたかったのですよね。
閉じ込められた存在として生まれた彼は、いつも自由に憧れそれを手に入れようともがいてきたのでしょう。

だから奴隷であったホーエンハイムを利用したのだと思います。
同じ不自由な思いを抱える者として、何か同調を感じるものがあったのではないでしょうか。

そう考えるとホムンクルスも哀れな生き物なのですが・・だからといって、こんなことが許されるはずはありません。
そして何よりも私が気になっているのは、本当に彼は神を吸収したのかということ。

前回も書きましたが、神を手に入れ自分がその存在に成り代わるって、本来認められることではありませんよね。
なので計画が成功したように見えて、後々激しいリバウンドをホムンクルスは受けるのではないか・・。
そんな予感がしてならないのです。

彼の見た目がエドそっくり(若いころのホーエンハイムともいえるけど)なのも、また不気味。
神ってそんな感じなの?そんな人間っぽいの?
・・なんだか違和感を感じてなりません。

その答えは次回以降で明らかとなるのでしょうが、真理は正しく残酷だ、というのが皆の共通理解です。
その通りであるなら、ホムンクルスもまた何らかの罰を受けて然るべきなのではないでしょうか。
少なくとも、一国の人民の命を犠牲にしただけで、神になれるとは私には到底思えないのですよね。

また神となったホムンクルスの力がどのようなものなのか、そこも純粋に興味があります。
人柱はもう用済みなので、彼はここから猛攻を仕掛けてくるでしょう。
まずはお手並み拝見・・といきたいですね。

そして何よりも気になっているのが、逆転の錬成陣とスカーたちイシュアヴァール人の計画のこと!
まだこれらが発動していないので、人間側にも勝機はあるといえます。

特にホーエンハイムはホムンクルスの計画を予想していたので、必ず彼の企みを打ち砕いてくれると信じています!
スカーの方も、きっと兄の研究の最終的な答えを見せてくれるのですよね?
あー、どんな逆転劇が見られるのか、本当に楽しみ!!


物語は絶望ムードですが、ウインリイや大事な仲間たちの命がこんなところで奪われるとは思えません!
きっとエドたちは神となったホムンクルスにも打ち勝ってくれるはずー!!
そう信じて、見守りたいと思います。








さて、次回はホムンクルスたちとの戦い、再びーといった回でしょうか。
もはや用済みとなった人柱。
ホムンクルスとセリムは、人間たちの命を容赦なく狙ってくるでしょう。

けれども人間側にも、まだまだ手はあります。
逆転の錬成陣、そしてイシュヴァール人たちによる計画ー
その効果によっては、まだまだ人間たちは戦えることでしょう!


いよいよ後はどちらかが倒れるまで戦うのみ!
どんな結末が待っているのか、最後までしっかり見守りたいと思います。

次回も楽しみです☆