前回、ついに囲碁ができる生徒を見つけたヒカル。
けれどもその生徒ー三谷は、整地をごまかして小金を稼ぐという賭け碁をしている少年でした・・。

三谷がインチキをしていることを許せない佐為。
彼らは三谷を、囲碁部に勧誘するのでしょうかー?

感想です☆




前哨戦~第20局 「3人目のメンバー」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

翌日、ヒカルは早速学校で三谷(みたに)に声をかけた。
彼は囲碁部に入ってくれ、と三谷に頼み込む。だが三谷は即座にそれを断った。

・・囲碁部じゃ金にならないからか?
ヒカルが尋ねると、三谷はうなづく。そこでヒカルは、気になっていたことを切り出す。
お前さ・・、地を数えるときずるしただろー。

その指摘に三谷は足を止め、目はいいんだな、と笑った。
何かお金がいる訳があるのか?
ヒカルに訊かれた彼は、別に。親がおこづかいくれないから・・と答える。

だったら囲碁部で遊べばいいじゃないか!囲碁部は楽しいよ!!
ヒカルはあの手この手で誘い、とにかく1回見学だけでもーと、三谷を無理やり理科室に引っ張っていく。
そして筒井(つつい)に、三谷を紹介するのだった。

驚く筒井の前に、ヒカルは早速三谷を座らせる。
まずは一局打ってみてよ!
彼の強引さの前に三谷は観念し、筒井にさっさとやろうーと持ち掛ける。
筒井もそれに応じ、2人は対局を始めた・・。

その様子を眺めていたヒカルは、三谷の打ち筋に思わずにんまりする。
これならいける・・!
彼は早速、団体戦のことを三谷に切り出す。

3人で1チームで、2人勝てば1勝できるっていうシステムなんだ。
ヒカルは意気揚々と説明するが、三谷は興味無さそうにふーん・・と受け流す。

それから彼は筒井が考え込んでいるのに気づき、長考するタイプ?と尋ねた。
筒井は慌てて石を置く。すると三谷は間髪入れず、次の石を置いた。

その打ち方を見ながら、佐為は複雑な気持ちを抱えていた。
この子の腕は、なかなかに良い!意外と素直ないい手を打つ!
だからこそこの囲碁部でヒカルと打てばお互いに伸びていくものを、なぜ彼はあのような行為を・・。
佐為は昨日のことを思い返し、また彼自身の暗い過去にも思いを馳せる。

未だに心を締め付ける、1000年前の苦渋。
佐為は憎い相手の顔と、三谷の顔をだぶらせる。
彼らは賢しいごまかしをしてまで、一体何を得ようとしているのか。一局を汚してまで、得る価値のあるものなどこの世にありはしないのに・・。

一方対局は、中盤まで進んでいた。
筒井は盤面を眺め、どう進めるか・・と考える。

だが三谷が先を急かしたので、彼は考えがまとまらないまま慌てて一手打った。
そのまま筒井はせわしなく思考を巡らせる。
三谷がこう来たら、こう打ち返す。そうしたら・・

その間に、三谷は次の石を置いた。
筒井はシミュレーションを終えると、自身の一手を置く。
するとそこでー三谷が口を開いた。

お前の負け。

その言葉に、意味が分からず筒井は顔を上げる。
三谷は碁石を掴んだままの右手をひらひらさせ、自分がまだ打っていないのに筒井が先に石を置いたーと指摘する。
彼が打ったと思った音は、碁盤の横に石を当てた音だったのだ。

2手打ったからお前の負けだよ。
三谷はそう言うと、さっさと片付けて帰る準備を始める。
あまりの結末に皆は呆然としたが、それでもヒカルは三谷を引き留めようとした。

だが三谷は今日もあの碁会所に行くらしい。
ここよりは楽しいぜー。
彼はそれだけ言うと、理科室を出て行ってしまう・・。

・・と、ああいった奴なんだけどさ、どう思う?
バツの悪いヒカルは、苦笑しながら筒井とあかりに三谷の印象を尋ねた。

筒井はさっきの三谷のやり口から、彼はもしかして・・と不安げな表情を見せる。
そこでヒカルも仕方なく、昨日碁会所で見た一見を打ち明ける。
ずるをしていた・・そのことを知った筒井の顔は、一気に険しくなっていく・・。

雲行きの怪しさを感じたヒカルは、でも強いから絶対いいメンバーになるよ!と三谷をフォローする。
だが筒井はそんな彼に、大会でもずるをしたらどうする・・?と尋ねた。

碁会所で大人相手にそんなことができるなら、大会で中学生相手になんて、三谷にとっては更に簡単なことだろう。
相手も自分たちも気付かないかもしれない。でも・・そんな奴と、チームを組める?
そう問われたヒカルは、思ってもみなかった可能性に思わず言葉を失うー。

けれども、何としても団体戦には出たいー!
その気持ちが強いヒカルは、ずるをやめさせるよ!!と筒井に誓う。
それを聞いた佐為も、やめさせましょうーとうなづいた。

あのような真似をさせてはいけない。今すぐに追って、彼をやめさせましょう!
佐為にそう言われたヒカルは、昨日の碁会所へ向かうことにするー。


その頃、三谷は碁会所に着いていた。
彼がやってきたのに気づいた店主は、ちょうど一局終わるからここに座るといいーと自分が座っていた席を譲る。
その向かいには初めて見る顔の客がいて、三谷を見て子供も来るのかーと嬉しそうに笑った。

三谷君は強いよ。
店主はそう言いながら、勝負を終わらせようと締めに入る。
2人の打つのを眺めながら、三谷は客側の棋力を計った。
・・手つきもヘボいし、大したことないな・・。

実際勝負は、店主の勝ちだった。
客の男から1万円受け取ってホクホク顔の店主は、ちょっと酒くさいけど相手してあげてよ、と三谷に頼み込む。
三谷はうなづいて、客の向かいに座った。

石は何個置くくらいがいい?
三谷が尋ねると、男は互先でいいよ、と手を振った。
賭け金は500円くらいでいいかなー?
そう提案され、今度は三谷が返す。
・・同じでいいよ、さっきと。

それを聞いた店主と男は、怪訝な表情を見せる。
店主が注意するが、男の方は三谷が1万持っているなら構わないぜーと笑う。
三谷もギリギリ持っている分があったので、それで話はまとまった。

男がニギって、早速2人の対局が始まるー。

一方三谷を追ってきたヒカルたちは、碁会所への道を走っていた。
その道中、ヒカルは具体的にどうやって三谷のずるをやめさせるのかを佐為に尋ねる。

すると佐為は、次に三谷が整地のずるをしたら、即刻その腕を掴んでやめさせるのだーと答えた。
ヒカルはそんなことしたら相手にもバレてしまうじゃないか・・と不安になるが、佐為はいずれバレることだから断固今やめさせるべきだ、という姿勢を崩さない。

ーそうして2人はようやく碁会所にたどり着いた。
息せききって入ってきたヒカルを見て、三谷と店主は眉を上げる。

対局は今始まったばかり・・。
ヒカルは横につき、その流れを注意深く見守るのだった。




















三谷との攻防。


今回は三谷を囲碁部に勧誘したいヒカルが、彼のずるを止めさせようと奔走する話でした。

うーん、三谷。なかなか手ごわい子ですね。
ずるをしていることに対して、全く罪の意識がないんだなぁ。これはいけませんね。
一番厄介なタイプだと思います。
果たしてどうやったら、彼を改心させることができるのか・・。

まずは三谷がしていることがどれほど恥ずかしいことかを教え、罪の意識を芽生えさせることからですね。

彼はあの碁会所にいることで、賭け碁に慣れてしまった。だから段々感覚が麻痺して、勝ちたいという欲求がお金への欲望にすり代わり、安易なずるに手を染めさせてしまったのでしょう。
金額も1人からもらう分は、少額・・。それらのことが、三谷から正しい心を奪ったのだと思われます。

なのでまずは三谷に、囲碁の本当の楽しさを知ってほしいですね。
正々堂々とぶつかり、その上で決着がつく。そういう苛酷な戦いの中にある、勝ったときの喜びや強い者と戦えたことの達成感などを味わってほしいです。

子どもだからこそ、三谷も本気で大人を出し抜いてやろうなどとは考えていないでしょう。
彼がちゃんと反省し、囲碁に真剣に向き合うようになれることを祈りたいです。


それに・・筒井も言及していましたが、このままだととてもじゃないけど信用して大会に出すことなどできないですよね。
本当に大会の場でずるをし、それがバレたらどうなるか・・。
いや、バレないとしてもそれで勝って、本当に楽しいのか・・?ということです。

皆そんなことのために、大会に向けて頑張ってきた訳ではありません。
でもそれをつぶす可能性のある者が1人でもいることで、実際に全てがダメになってしまう可能性だって十分にあり得るのです。

筒井の感覚の方が、普通だと思います。1度でも人の信頼を裏切った者が信用を取り戻すことは、それほど難しいことなのです・・。

ヒカルは三谷の気持ちも分かるからかずるを指摘するのは気が進まないようですが、諸々を考えると今びしっと指摘して、この問題は早期に解決した方が双方のためでしょう。
それにヒカルがいる場でずるを指摘される方が、三谷も傷は浅いと思います。もし大人と対局中にバレたら、脅されたり暴力を振るわれる可能性だって0ではないのですから・・。

なんだか、店主の目つきもちょっと怪しい気がするんですよね。
たぶん彼、三谷がずるしていることに薄々気付きながら、止められないでいるんじゃないかと思います・・。
自分の碁会所で問題なんて起こしたくないでしょうからね。

なのでいずれは大問題に発展するかもしれないこの状況・・。
ヒカルたちが上手く止められるといいですね。
そして三谷が囲碁部に入部すること、楽しみにしたいと思います!






さて、次回は三谷が客と1万賭けて対局をする話ですね。

何だかきな臭い展開ですよね・・。酔っ払いのようだし、もしかしたらずるで返されたり因縁つけられたりとかするんじゃないか、と心配。
そんなことになったら、三谷の覚悟ではとてもじゃないけど太刀打ちできないですよね。
大丈夫かな・・心配です。。

ヒカルたちも、三谷がこれ以上ずるをしないよう、止めることができるのでしょうかー。

次回も楽しみです☆