前回、筒井が三谷のずるを警戒するなか、ついに団体戦のメンバーが決まり、喜ぶヒカル。
彼らは信頼関係のないまま、大会に出場することになるのでしょうか。

一方、打倒ヒカルのために海王中囲碁部に在籍し続けるアキラ。
けれども顧問の尹は、ヒカルと同じ三将ではなく、大将にアキラを据えるのでしたー。

波乱の団体戦、一体どうなってしまうのでしょうかー?!

感想です☆




前哨戦~第24局 「海王の三将」




※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

日本棋院会館。
タクシーを降りた塔矢(とうや)に、声をかける者があった。

その人物は、プロ棋士の桑原(くわばら)本因坊だった。
彼は挨拶がてら、来月の碁聖戦の相手が自分に決まったことを塔矢に告げる。
塔矢も既に知っていて、緒方(おがた)を力碁でねじ伏せたそうですな・・と感心する。

次は先生から、5つ目のタイトルを頂きたいものだー。
塔矢がそう口にすると、桑原は笑った。
最近の若いものは不甲斐ない。タイトルを取っても、すぐ別の者に奪われる。新入段者もここのところぱっとしないし、院生のレベルも下がってるんじゃないだろうか・・。

彼は囲碁の未来を案じながら、ふとアキラはどうしてるのか、と塔矢に尋ねた。
プロ試験はまだ受けないのか?
そう訊かれた塔矢は、先日のアキラとのやり取りを思い返す・・。

それは、塔矢が学校からアキラが囲碁の団体戦に出ると聞いたことから始まった。
囲碁部に入ることは許可したものの、アマの大会に出るとはどういうつもりだ・・。
アキラの実力を考えたら、普通の大会に出ることは配慮に欠ける行為だ。塔矢はそれを憂慮し、息子に訳を尋ねたのだった。

その問いに対し、アキラは今の自分には周りを思いやる余裕などない・・と正直に答えた。
彼は、自分の目的は進藤(しんどう)ヒカルただ1人。大会に出るのも、彼と戦いたいがためだ、と理由を明かす。

アキラは今まで、父親を目標にずっと囲碁に向かってきた。そして彼はその自信と自負を、努力によって培ってきた。
そうして真っすぐ歩いていけば、いつか神の一手に近づけるのだと信じて疑わなかったのだ・・。

だがそこに、大きな壁が立ちはだかった。
だから今はヒカルを追うことだけしか自分の頭にはないー。

そう語るアキラの真剣な眼差しに、塔矢は初めて知る息子の表情を見た思いだった。
恐れながらも立ち向かっていく。それこそが、人を成長させるー。

彼はそのことが、どこか嬉しくもあった。その表情は、今までのアキラにはなかったものだからだ。
震えながら追い、怯えながらも挑もうとする今のお前こそが、神の一手に近づいていく・・。

その時のことを思い出しながら、塔矢は息子は今は中学の囲碁部にいる・・と微笑する。
桑原は意外な答えに困惑するが、塔矢は何と思われても気にしなかった。
それよりも・・彼は2回会ったことのあるヒカルの顔を脳裏に浮かべる。

アキラをより高みへと導いていく、進藤とは一体ー。


そして月日が経ち、ついに囲碁部の大会の日がやってきた。
冬の大会を思い出し、佐為(さい)が興奮した声をあげる中、ヒカルは今日は自分が全部打つのだ、とつれない。

彼が筒井(つつい)と手合わせをしていると、遅れて三谷(みたに)がやってきた。
三谷は2人の対局を一瞥すると、筒井(つつい)の打つ手を注意する。
その余計なアドバイスに、筒井はうるさいなぁ!と声を荒げた。

彼の苛立った様子に、ヒカルも三谷も顔を見合わせる。
と、そこへあかりが応援にやってきた。
彼女が差し入れを持ってきたのだと見せると、筒井は自分が控室を案内する、とその場から逃げるように立ち上がった。

気まずい空気が残るなか、ヒカルはそれなら・・と三谷に対局を持ちかける。
だが三谷も首を振ると、ぷらぷらとどこかへ行ってしまう。
あまりにも2人の関係が悪いので、ヒカルと佐為はため息をつき合った。
こんな状態で、大丈夫なのだろうか・・。

と、ヒカルの姿に気付いた他校の生徒たちが、噂を始めた。
前回の大会でのことを知っている彼らは、どうやら今回のヒカルの活躍にも注目しているらしい・・。
皆の視線が一気に集まったので、ヒカルは思わず身をすくめる。

だが気にしても仕方ない。全力を出すのみだ。
彼はとりあえず1回戦を突破して、打倒海王だ!と目標を掲げる。

海王とは2回戦当たることになっている。ヒカルは対局を想像し、満面の笑みを浮かべた。
あー、海王戦が楽しみだ!海王の三将って、どんな奴だろうなー・・

そう口にしたとき、ヒカルは横から声をかけられた。
僕だよ。
そう言って、1人の少年が近づいてくる。
海王の三将は僕だ、進藤。

そこにいるのがアキラだと気づいたヒカルは、驚いて立ち上がった。
塔矢!何でお前がここに・・?!
彼には、アキラが囲碁部にいるなどとは想像もしなかったのだ。

筒井によれば、アキラのようにプロを目指す者は囲碁部には入らないはずだ。
それなのに、なぜ・・。しかも大将ではなく、三将?
戸惑ってばかりのヒカルに、アキラはずいと歩み寄った。

僕と打たないと言ったことを、覚えていないのか?
彼の言葉に、ヒカルははっとする。

君は囲碁部に入って大会に出ると言った。だから僕も囲碁部に入った。
その瞳に宿る闘志に、ヒカルはアキラが見ている先を感じ取る。
アキラは・・佐為を追ってここまで来たんだー・・!!

やっとここまで来た・・。
一方のアキラは、これまでの苦難の日々を思い出し、感慨にふけるー。

ーあの日、選手が発表された後、アキラは尹(ユン)の元へ駆けこんだ。
僕を三将にしてくださるのではなかったのですか?!

そう問われた尹は、実力順に戦うべきだ、と自分は考えている、と答えた。
海王囲碁部は特に、他校の模範としてもそうあるべきだー。

確かに進藤ヒカルに敵うのは、アキラしかいないだろう。
だがここはあくまで中学の部活だ。私は教師としての筋を曲げない。大将は、君だー。

尹はそう語り、譲らなかった。
アキラは愕然と、肩を落とす・・。
ここが、部活だから・・?

彼は暫く考えこみ、そしてその拳をぎゅっと握りしめた。
・・だったら、自分は大会が終わったら囲碁部を辞めます!!
アキラはヒカルへの思いを、必死に尹に訴えた。
この大会、1度きりでいいんだ・・!!

その何もかもを捨ててでもヒカルに向かう瞳に、尹は圧倒される。
・・分かった。
結局尹が折れる形で、海王の三将はアキラに決まったのだった・・。

ーそんな事情があるからこそ、アキラはヒカルから一歩も退くつもりはなかった。
ヒカルとアキラ・・
2人は互いに見合い、ライバルとして向かい合うのだったー。




















団体戦、スタート!


今回はいよいよ団体戦が始まり、ヒカルとアキラが再会する話でした。

ついに始まった団体戦!
でも葉瀬中は筒井と三谷の関係性が相変わらずで・・不安ばかり。

ヒカルが自分で打つのなら、筒井と三谷が2勝しないと勝てないのに、三谷はともかく筒井があれだけ荒れているのは心配ですね。
集中を乱されて負けてしまう・・なんてことにならないといいのですが。

筒井の気持ちも分かるから、辛いところです。
真剣に囲碁に向き合っているからこそ、どこか囲碁を軽く見ている三谷に苛立つし、ずるによって試合を汚されやしないかと不安になるのですよね。
当然の考えだと思います。

三谷がもうちょっと歩み寄る姿勢を見せればいいのになぁ。本当に生意気な後輩だw
海王囲碁部の真剣さ、強さを目にして、彼の囲碁観が変わるといいですね。。
相手は岸本ですもんね。きっと三谷を圧倒してくれると、期待しています。
(葉瀬中には勝ってほしいけれど、岸本には勝ってほしいという矛盾・・)

でもその前には、まずは1勝!
3人の力がどのくらい他校の囲碁部に通じるのか。三谷の実力も知りたいし、早く対局を見たいですね。
ヒカルの棋力もどのくらい上がっているのか・・楽しみです!




さて、続いてはアキラ。
今回、ついにヒカルの前に現れたアキラ。
彼は三将の座を、手に入れていました。

その条件は、大会を終えたら囲碁部を辞める、というもの。
やっぱりそう来ましたかー・・。
まぁ予想はしていたから驚かなかったけど、結局アキラは囲碁部に居場所を作れなかったなぁ・・とちょっと悲しい気持ちです。
ヒカルのように、仲間ができたら嬉しかったんだけどなぁ。

でもこれは囲碁部のメンバーのせいだけではなく、アキラ自身の考え方のせいによるところも大きかったですよね。
彼自身が囲碁部の皆に歩み寄ろうとしなかったから、引き起こされた結果だと思います。
だから仕方のないことだったのでしょう・・。
いずれは理由が何であっても、アキラは囲碁部を辞めていたでしょうから。

個人的には、尹の考え方の方が正しいと思います。
囲碁部は、あくまで部活動。だから部としての姿勢を定め、それに部員たちが従うー。
大きな部では、当たり前のことですよね。個人の感情を尊重しすぎると、収拾がつかなくなってしまいますから。

でもアキラは元々囲碁部に興味があった訳ではなく、囲碁部を利用してヒカルに近づきたかった。
この考えの違いが埋められない時点で、アキラが囲碁部に馴染める訳がなかったんですよね。
だから今回だって異議を唱え、無理やり三将にしてもらったー・・。

アキラからすれば結果オーライですが、やっぱり彼が囲碁部をかき乱したことは事実です。
これ以上部員たちを混乱させないためにも、ここでアキラが身を引くのが、一番良い方法なのでしょうね。
アキラの囲碁部での最後の活躍・・。
しっかり見届けようと思います。

もちろん、囲碁部の他の2人の選手の対局も気になります!
岸本、久野。
ぶつかるのであれば、三谷と筒井とどんな勝負を繰り広げてくれるのかー
楽しみに待っています!





最後に、プロ棋士たちについて。
今回、桑原本因坊が初登場しました!
結構な高齢の方だったんですね。

以前出てきた話によれば、今の囲碁界を率いているのは、塔矢、桑原、そして緒方ということでした。
桑原が今の時代を作り上げ、そこで塔矢が台頭し、緒方が後を追う・・そんな図式なのでしょうか。

今はまだ上が崩れませんが、いずれはその中にアキラも進んでいくのですね。
もしかしたら、ヒカルも・・?
うーん、それも楽しみ!

佐為も、彼らと対局してみたいときっと思うでしょうね。
平安時代、そして秀策の時代を経てきた佐為にとって、現代のプロ棋士たちの実力はどのように映るのでしょうかー。
それを思うと、やっぱりヒカルにはアキラを追って、是非プロになってほしいと思いますね。

ヒカルたちの対局もいいですが、たまには塔矢や緒方たちが打つ姿も見てみたいものです。
こうやって新しいキャラが続々出てくるということは、いずれそういう展開もあるのかな。
期待しておきたいと思います(^^)








さて、次回は団体戦1回戦ですね。
まずはここを勝たなければ、海王中との対戦もそもそもあり得なくなってしまいます。

囲碁部で練習を積んできたヒカル・・。
どのくらい実力がついたのか、期待大です!

また、三谷と筒井のことも気になりますね。
互いへの不信感が、勝負に影響しないといいのですが・・。


待ちに待った団体戦。
ヒカルたちは無事に勝ち上がることができるのでしょうかー?!

次回も楽しみです☆