前回、始まったアマチュア囲碁カップ。
来日した選手たちは、会場でsaiの姿を探します・・。

一方手伝いで会場入りした和谷も、日本人の選手がsaiではないかと気になって覗きに行きます。
彼はそこで、中国の選手もsaiを探していることに気付いて・・?!

一行は、sai=ヒカルの情報にたどり着くのでしょうか?!

感想です☆





神の幻影~第33局 「akira」






※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

アメリカと日本の選手の対局は、日本側が勝利を収めた。
対局後話をしたがる素振りのアメリカ人選手を目にした日本人選手は、saiのことですか・・?と尋ねる。

saiー
その単語に、彼に注目していた周りの選手も一斉に振り返った。
まさかあなたがsaiー?!
そう叫ぶアメリカ人選手に、日本人選手は苦笑しながら首を振る。

彼は今日会場に入ったときにも、他の選手からsaiではないかと尋ねられたことを明かす。
彼自身はインターネット囲碁をしないので、saiの情報を知らなかった。それでも来日した選手たちが皆気にするsaiが何者なのかーそれには興味をひかれたのだった。

そこで他の選手たちも集まり、口々にsaiについて知っていることを語り始める。
その誰もがsaiに負けていることを知ると、皆にわかにどよめきだった・・。

そしてその騒ぎは、会場で指導碁を打っていた和谷(わや)の元にも届いていた。
まだ対局中の選手もいるので、師匠たち監督官が慌てて騒ぎの元へ駆けつける。
すると同じように様子を見に来た緒方(おがた)が、皆に声をかけた。
どうしたんですか?

彼は会場の様子を見学しに来たらしく、監督官たちに挨拶をし、後でアキラも顔を出すだろう・・と話した。
それよりーこの騒ぎは何ですか?
そう緒方が尋ねると、監督官たちは困ったように、インターネットの強い棋士のことで盛り上がっているらしい・・と明かした。

それを聞いた師匠は、そういえば和谷も何か言っていたな・・と思い出す。
緒方も興味をひかれ、中国の選手李(リ)から話を聞く。
李が負けたー
それを知った緒方は、じゃあ相手はプロなのではないか?と推測する。

だが李は、saiはプロではないだろうーと答える。
なぜなら、saiはよく現れるし、対局する相手をまったく選ばないからだ。プロはそんなことをしないだろうー。
彼がそう言うと、韓国選手の金(キム)が話に混ざった。

金自体はsaiを知らないものの、韓国の棋士たちの間でも、saiの実力は話題になっているという。
その中には韓国のプロ棋士もいるが、彼も同様にsaiには負けたそうで、韓国の棋士たちの間ではsaiは日本のトップ棋士だろうとの見方が強い・・。

李と金の間では、プロかどうかで意見が分かれた。
だが皆、根底にある思いは一緒だった。
プロでないというなら、saiとは一体何者なのかー?!

その時、話を聞いていた和谷がたまらず、そこに加わった。
彼はsaiはプロではないだろうーと根拠を話そうとするが、師匠はそれよりsaiの実力についてどう思う?と和谷に尋ねた。

そこで和谷は、自身が感じたことを伝える。
彼は秀策の棋譜が好きで、よく並べたりしていた。saiの打ち筋は、秀策のものに似ている・・。
そう言ってから、和谷はでも・・と続けた。

自分はsaiの対局をよく見るが、どんどん強くなっていると感じる。
まるで秀策が現代の定石を学んだみたいに、打ち方がどんどん変わってきているんだー。
彼の言葉に、皆目を見開く。

ー緒方が、息をついた。
sai・・それは神か?化け物か?
その時ーその人だかりに、声をかける者があった。

どうかしたんですか?

それはアキラだった。
彼もまた、会場の妙な雰囲気が気になり、近づいてきたのだ。

そこでアキラは、その場に和谷もいることに気付く。
緒方がアキラに、インターネット囲碁をやったことはあるか?と訊いた。
インターネット囲碁の世界にすごく強い棋士がいるらしい・・。
緒方がそう話すと、アキラはああ、と和谷を見やった。

以前彼が言っていた人物のことか・・。
ーすると和谷が師匠に、saiは子供なんじゃないかと思う、と告げた。
その言葉に、皆は再び驚く。
だが和谷は落ち着いて、そう思う根拠を皆に伝えた。

まず、saiは7月の末に現れ、そこから1か月昼も問わずにログインしていること。
そして自分と対局した際に、「強いだろ」と自分を煽るようなメッセージを送ってきたことー。
それを聞いた選手たちは、saiとメッセージを交わしたことがあるのか?!と一気に和谷に群がった。

一方アキラと緒方は、思う所があって顔を見合わせた。
2人の脳裏には、同じ人物の姿が浮かんでいたのだ。
進藤(しんどう)ヒカル・・。

だがアキラはその考えを払うように、首を振った。
いや、違う。彼は見込み違いだったのだから・・。

その時、監督官の1人がノートパソコンを持ってきた。
すると緒方は、アキラがアクセスしてみるように勧めた。
saiがいるかもしれないから、君に見てほしいー。

そこでアキラは席につき、アカウントを作ってログインする。
リストを見ると、ちょうどsaiもログインしていた。
一行はアキラを囲むように丸くなり、皆その画面に注目するー。


一方インターネットカフェでは、ヒカルと佐為(さい)が今日も楽しそうに囲碁を打っていた。
ふとヒカルは、akiraという名前のアカウントがいることに気付く。
akira ・・まさか塔矢(とうや)じゃないよな?
そう思いながらも、ヒカルはその名前が気になってー対局を申し込んでみる。

その申し込みは、すぐにアキラの元へ届いた。
saiからの対局の申し込みがーーー!!
一行は固唾を飲んで、成り行きを見守るのだった。




















アマチュア囲碁カップでの一幕。


今回はアマチュア囲碁カップの会場で、saiの話題が上がる話でした。

いやー、saiすごい認知度ですね!世界の棋士たちは、インターネット囲碁で日々研鑽を積んでいるということの証なのかもしれませんが、これがきっかけで会場で選手たちの交わり合いが起きたのだと思うと、なんだか不思議な感じがします。

ヒカルが言っていましたが、佐為の姿は皆に見えなくても、インターネットの中には確実に佐為が存在しているのですもんね。
これってすごいことです。

そしてそんなsaiを求めて、世界中の棋士たちの思いが1つとなっているー
なんだかすごい瞬間に立ち会っているようで、ドキドキしますね!
アキラとsaiの対局ー楽しみです!!

ただ、アキラと緒方には、ヒカルの可能性がちらついていましたね・・。
これは前回書いたように、ちょっとまずい流れかも。

2人はヒカルに囲碁の可能性を見た者同士だし、アキラに関しては佐為と既に2戦しています。
顔は見えなくても、打ち筋には打ち手の個性が見えます。
アキラならーsaiとヒカルに関りがあることを見抜いてしまうのではないでしょうか。

そしてそうなったら・・恐らく皆のsaiへの探求は、もう止まらないでしょうね。
それは結果、佐為をインターネット囲碁から遠ざけてしまうことになるでしょう・・。

せっかく楽しん囲碁を打てる環境を見つけたのに、周りがそれを放っておかず、結果追いやられてしまうとしたら・・それは残念なことですね。
でも注目を浴びてしまったら、これから成長していくヒカルにとってはそれは負担となるし、良いことでもありません。

ヒカルと佐為という2人の人間が存在していることが皆に理解できる訳もないし、その注目は全てヒカルに向かってしまうことになります。
2人はそれをよしとしないでしょうから、そうなるとインターネット囲碁もここまでですね・・。
それは悲しいなぁ。。

佐為の実力があるからこそのこの展開ですが、これだけ情報が手に入る世の中では、佐為が囲碁を打つのも本当に一苦労ですね。
どうにか2人が納得できる良い方法があるといいのになー・・。

次回、アキラはsaiの正体に気付いてしまうのでしょうかー?!
そしてそのことは、ヒカルと佐為にどんな影響を与えるのかー
心して待ちたいと思います!



それにしても、和谷は良い着眼点を持っていますね。
今回の彼の話を聞いて、感心しました。

この子は、根拠はないけど、プロになる気がする!
きちんと物事を捉えられる能力があるな、と感じました。

秀策の囲碁に似ているというだけでは何が分かるというわけでもありませんが、そういう風に囲碁の腕を計れる和谷なら、今後もしヒカルと関わることがあれば、彼の中の佐為に気付くこともあるかもー?
そんな予感も感じさせません?
なんだか和谷、重要人物のように思えてきましたよw

性格的にもアキラのライバルというよりは、今後ヒカルがプロを目指すようになるとすれば、ヒカルと良いライバル関係になりそう。
今回彼がプロ入りできるかはまだ分かりませんが、俄然応援したくなってきました!

和谷にも、今後は注目していきたいですね!









さて、次回はアキラと佐為がインターネットを通じて対局をする話ですね。

以前2度佐為と対局をしたアキラ。
彼はsaiとヒカルの中の佐為が同一人物だと気づくのでしょうかー?

そして2人の対局を見て、和谷や選手たちは何を思うのかー
何にしても、対局はワクワクしますね!


次回も楽しみです☆