前回、新たな碁会所へ顔を出したヒカルたち。
彼らはそこでも団体戦を行い、力を磨いていきますー。

プロ試験本選も間近!
このままの勢いで、ヒカルはその日を迎えることができるのでしょうかー?!

感想です☆




本戦開始~第71局 「勝ってはならない」





※以下、ネタバレあり※









 





◎あらすじ◎

都の囲碁イベントー
今日はそこに、アキラはプロ棋士として出向いていた。
別の棋士が急に登壇できなくなったため、彼が代打に任命されたのだ。

アキラは運営の元に行くと、早速打ち合わせを行う。
今日の彼の仕事は、午前中にスポンサー相手に指導碁で4面打ち、午後は客相手の多面打ちだ。
午前中に打つ相手は都議会議員とその秘書らしい・・。

そこに触れると、主催者の男は少し声を潜めた。
都議は正直囲碁はそこまで上手くないが、負けてやってほしいー。
どうやら都議は気分屋らしく、負けるとへそを曲げるタイプのようだ。

会場を借りるのにも金がかかり、そういう部分を支えてくれている人だから・・。
目上の男性たちに頭を下げられ、アキラもこれにはうなづくしかなかった。

と、そこへ大きな声が飛び込んでくる。
どうやら議員が到着したようだ。

早速主催者たちが出迎えると、議員は本来登壇するはずだった棋士の姿を探した。
そして彼女が都合が悪くなって来れないと聞くと、あからさまに不機嫌になった。
アキラの存在にも興味を示さず、彼は大きなため息をつく・・。

主催者の男が、アキラに謝る。
だがアキラはそれを手で制した。
彼はそのことは気にならず、むしろ議員の囲碁に愛着のない態度の方が気になっていたのだ・・。

議員は他の客が床に落とした碁石を、遠慮なく踏みつけていく。
アキラがその姿を見ていると、議員の秘書の若い男がその碁石を拾った。
その瞬間、2人の芽が合うー。

秘書は、アキラに興味のある様子だった。
そんな中ーイベントは、始まりを迎えるのだった。


イベントは議員の挨拶から始まり、早速客同士による対局が開始された。
議員と秘書たちも別席に通され、アキラと対峙して座る。

老年の秘書たちは、それぞれプロ棋士相手に5子6子置いた。
議員は若い方の秘書に、何個置き石するかと尋ねる。
そして彼が3子だと答えると、自分もそうしようーと石を置いた。

アキラはその自信に不安を感じながらも、そのまま礼をして指導碁を始める。
4人か・・。
彼は気を取り直し、盤面に向かう。
そして1面ずつ、順番に石を置いていくのだった。


同刻ー
ヒカルは今日も碁会所に出向いていた。

皆が順番を待つなか、すっかりヒカルを気に入った河合(かわい)は毎日顔を出してくれた。
彼らがヒカルと客の対局を見守っていると、店主がヒカルに声をかけた。
目算は苦手かい?

彼は今までのヒカルの対局を見て、目算が得意ではないことを見抜いていた。
だから次は持碁にしてごらんー。
店主はヒカルに、わざと引き分けになるよう計算して碁を打つよう提案した。

置き碁には互先のように5目半というコミがないから、引き分けになることがある。
そこで中盤までに形を作り、後半からヨセで計算をしていくのだが、これが難しいのだー。
店主はヒカルのために、分かりやすく説明してくれる。

相手の打つ手によって状況は変わるから、常に計算は怠れない。しかもちょうど引き分けにするためには、1手もミスは許されない。
それから・・店主はヒカルに向かって笑みを浮かべる。
当然打つ速さが遅くなってはいけない。そして帳尻を合わせるようなバレる打ち方をしてもダメだ。

それは、なかなか難しい挑戦だった。
だが店主はヒカルの力を信じ、やってみなーと優しい目を向ける。
ヒカルもまた、面白そうだー!と新たな課題に闘志を燃やす。

1面持碁にできるようになったら、次は2面できるようにするんだ。
店主の無茶ぶりに、客たちは笑う。
けれどもヒカルだけは、2面の次は3面、その次は4面だーと胸を弾ませるのだった。


一方ーアキラの方も、順調に対局は進んでいた。
10手ほど進んだところで、アキラは相手の大体の強さを見抜いた。

老年の秘書2人の力は、普通。置き石も妥当な数だ。
逆に議員の実力は大したことがない。緩めに打って、差がつかないようにしなければ・・。
そう考えながら、アキラは若い秘書の方を見やる。

そして・・やはり強いのはこの人だ。甘い手を打てば、付け込まれる。
アキラがそう警戒するなか、秘書のほうもアキラの動向を窺っていた。

今年プロになったばかりの子どもか・・。
彼はアキラが主催者に、議員に負けるように頼まれていることを見抜いていた。そして彼がそれに不満を感じていることも。
秘書はアキラの胸中を思い、にやついた。

子どもとはいえ、一応プロなら上手く負けてくれよー。
そうして彼自身もまた、アキラを負かしてやろうーと静かな野望を抱くのだった。




















プロとしての仕事。

今回はヒカルが特訓に励むなか、アキラがイベントでスポンサーたちと囲碁を打つ回でした。

プロになると、こういう仕事もあるのですね。
アキラはまだソツなくこなしそうですが、ヒカルのほうがプロになったときのことを考えると心配だ・・w
ただ囲碁を打っていればいいという訳ではないので、なかなかプロも大変ですね。

もちろん囲碁を好きなお客さんと打ったりできるのは楽しいでしょう。
でも面倒くさいのが、今回のようなスポンサー相手の仕事ですよね。
何事もお金が絡むのでしょうがないとはいえ、アキラはまだ中学生・・。世の中の理を身をもって知るにはまだ早いと思うのに、大変ですね・・。

しかもしょっぱなから、こんな面倒くさいおじさんが相手とは、不運としか言いようがありません。
でも、くれぐれも怒らせないように頼みますよ、アキラ。
イベントがぐちゃぐちゃになるのも嫌ですが、こんなことでアキラの評判に傷がつくのも嫌なので。

理不尽を呑み込めとは若い子に言いたくないですが、そうやって切り抜けたほうが楽な場合があることも確かです。
辛い状況ではありますが、ここは大人の対応でさっさと終わらせるのが吉!
アキラの負けず嫌いの心が動かないことを祈りたいと思います。。


それにしても、プロになると4面打ちなんかも当たり前なんですね。
もちろん接待する側ですから長考なんて駄目でしょうし、頭の回転が試されますねぇ。勉強にはなるけど、イベント参加も大変なものです。

アキラの思考を見られるのは面白くてありがたいですが、対局だって忙しいのだろうからここで体力を消耗しちゃわないといいな、と思います。
まぁこの程度で動じるアキラではないだろうから、心配は無用な気もしますが・・。それに彼がこのままで終わる訳ない気もします。

このイベント、何か起きてしまうのかー?!
気になりますねw





さて、一方のヒカル。
連日碁会所に通うことで、大人とのやり取りにはだいぶ慣れたようですね。
生意気だけど、そこがかわいいと思ってくれるのが老人の温かさですよね(^^)

そして慣れてきたヒカルに提案されたのが、対局を持碁にするという方法。
なるほど、あえて持碁にするためには常に自分と相手の目の数を気にしなければなりませんからね。これはかなり勉強になる方法だといえるでしょう。

尚且つ相手に悟られないようにペースを崩してもいけないし、無理な手でわざと目を操作してもいかない・・。
そうなると、かなり難易度高いですよね。でもこれができるようになれば、飛躍的に勝負の勘が鋭くなるように思われます。
今まで何となくで打っていたものが、自分の有利不利が明らかになることで戦略的に戦えるようになりますからね。

しかも2面打ち、3面打ちもできるようになったら、どれだけ思考力が磨かれるかー。
うん、これかなり有効な特訓方法だと思います!プロ試験の前に、このことに気付けて良かった!!

ますますヒカルの成長が期待されますね!きっと佐為も皆に押されて成長していくヒカルの姿は嬉しいはず・・。
このまま一気にプロ試験本選まで突っ走り、最高の状態で試験を迎えてほしいと思います!
頑張れ、ヒカル!








さて、次回はアキラの4面打ちの続きですね。

スポンサーを勝たせなければいけないという、不本意な対局。
中にはアキラを負かしてやろうと目論む者もいます・・。

そんな中で、アキラはどのように彼らに対応するのかー?
これもアキラのプロとしての仕事。彼のやり方をじっくり見させてもらおうと思います。

果たしてどんな対局が見られるのでしょうかー?

次回も楽しみです☆