前回、秀英との熱い戦いを繰り広げたヒカル。
偶然居合わせた海王中顧問の尹は、その成長した姿に驚きます。

そんな中、ヒカルが失着と思われる手を打ちます。
が、皆が顔をしかめる中、佐為だけは余裕の笑みで・・。

果たして勝負の結果はいかに?!
感想です☆





本戦開始~第76局 「オレの名は」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

ヒカルが失着したー。
秀英(スヨン)は、少し息をつきながら次の手を打つ。

さっきの手は読み違いか?だとしたら残念だ。
やっぱりお前はこの程度だったんだ・・。

秀英は、このまま勝ちきろうーと決意し、盤面に向かう。
周囲の見物客たちも、このまま秀英が勝つだろうーと考える。

だが・・佐為(さい)だけは違った。
彼はヒカルの意図を見抜き、それに誰も気づいていないことを誇りに思っていた。
今ここにいる誰よりも、ヒカルは上を行っているー。

それから数手打ったところだった。
秀英はあることに気付き、ぎくりと背をこわばらせる。
これは・・悪手だったはずのさきの一手が、ここに来て絶好の位置にいるー?!

彼が動揺する反面、ヒカルの石を置く勢いは増した。
その流れを見て、和谷(わや)と伊角(いすみ)もようやく気付く。
ヒカルのあの悪手に見えた一手は、左上の攻防を睨んでの手だったのかー!!

尹(ユン)もまた、ヒカルの手に感心していた。
部分的に白が損なワカレは承知で、そこに置いたのか・・。
彼はごくりと喉を鳴らす。
そのおかげで、今は進藤(しんどう)君の白が若干優勢になっているー!!

次第に他の客もそのことに気付き、ざわつき出す。
あの時点で、ここまで読んでいたのかー?!
皆がヒカルの底力に驚くなか、秀英は焦りながらも戦いを粘る。

形勢はまだ微妙だ。ここから攻めれば・・!
だがヒカルも決して退かず、秀英の石を狙いに行く。
その裏を掻いてくる戦法に、秀英の気持ちはますます乱れていく・・。

それでも、2人の戦いは互角だった。
秀英もまだまだ競り負けていないし、ヒカルの後半の攻めも見事だった。
どっちが勝つんだー?!
周囲の客は目を離せず、ただひたすら盤面を見守る・・。

その結果ー
勝負は、ヒカルの1目半勝ちだった。

客は皆大興奮で、素晴らしい勝負だったと2人を称える。
互いの気合がぶつかり、どっちも退かなかった。その結果、ここまでの接戦となったのだーと。

そんな中、店主は秀英の目に涙が浮かぶのに気づいた。
彼が声をかけると、秀英はたまらず嗚咽を上げた。

負けたーーー!!

彼は涙も声も抑えることができず、人目も気にせず泣いた。
こんなに悔しい対局、ここのところずっとなかった。
投げやりな碁ばかり打って、初めてクラスを落ちたことでクサってふてくされて・・。

そんな時に、挑発されて勝負に乗った。
本気になった自分に、こいつも本気でぶつかってきた。そして・・互角に渡り合った・・。

秀英は拳をぐっと握り、悔しさを噛みしめた。
互角だった!負けなんて認めない!!
自分はまた日本に来て・・またこいつと勝負してやる!!今度はプロになって!!

そう決意した秀英は、ヒカルに名前を尋ねた。
対局中にした約束だー。
ヒカルはそれに気づき、にっと笑みを浮かべる。

進藤ヒカル。俺の名前はー進藤ヒカル!!

ーそのやり取りを、店主はほほえましく眺めていた。
彼は秀英が涙を流すくらい悔しくなる対局をできたことに、安堵していたのだ。

今まで調子よく上に上がってきた秀英には、クラス落ちがショックだった。だからその惨めさから目をそらし、悔しさと向き合うことからも逃げていた。
でももう大丈夫・・。
店主は、これで韓国に胸を張って返せる・・と客に語る。
秀英はまだまだ伸びるだろうー。

その時、ヒカルに尹が声をかけた。
佐為に耳打ちされ、ヒカルは彼が海王中囲碁部の顧問だと気づく。
尹は微笑みながら、今までヒカルの対局は3回見てきた・・と話し始めた。

1度目はヒカルが小学生のときの団体戦。誰もが感嘆する囲碁を打っていた。
その言葉に、ヒカルたちは佐為が打ったときだ、と顔を見合わせる。

2度目は去年の団体戦。あの場では、正直期待を裏切られた思いだった・・。
尹がそう話すのを聞き、佐為は笑う。
・・でも今、あなたのヒカルへの評価は変わったのでしょう?

ーその通り、尹はヒカルの今日の対局に驚いた、と口にした。
盤上で繰り広げられた石の運びは素晴らしかった。
尹が自分を褒めたたえるのを聞き、ヒカルもまた感動する。
この人・・自分をほめている!!佐為じゃなくて、俺を!!

尹は、1回目に見た対局を特に評価していた。
だが今日の1局は、それに優らずとも劣らない出来だったーとも評した。
そしてその次に放った言葉に、佐為は思わず目を見開いた・・。

今なら思うよ。幻とも思えたあの1局は、確かに君が打ったものだったとー。

・・え?
佐為は、自分の打った対局がヒカルの対局だと評価されたことに驚き、固まる・・。
それに気づくことのない尹は、ヒカルに手を差し出した。

私もまた心に刻もう、進藤ヒカルの名をー。
ヒカルの顔は、その言葉にぱっと晴れる。
彼は佐為の表情が曇っていくのに、気付かないのだった・・。


その後碁会所を出ると、ヒカルたちは別れた。
次に会うのは、いよいよプロ試験本選の会場だ。彼らは互いの健闘を祈りながら、帰路につく。

その帰り道、ヒカルは今日の対局を振り返り上機嫌だった。
特に尹に認められたことに、ヒカルははしゃいだ。

あの先生が今見てるのは、俺なんだ。あの人の頭の中には、もう佐為はいない!
そうヒカルが話すのを聞き、佐為は頬を引きつらせる。
ーいない?

アキラの中の佐為だって、いつか俺が消してみせるさ!
ー消す?

佐為は、何か妙な胸騒ぎがするのを押さえられずにいた。
その正体が何か分からず、彼は不安に表情をこわばらせる・・。

だがヒカルの元気な姿を見ているうちに、その胸騒ぎは次第に落ち着いていった。
・・気のせいですよね。
彼は胸の中のわだかまりから目を逸らすように、そのことを忘れようとするのだったー。




















進藤ヒカルとして。

今回はヒカルが秀英との対局に勝ち、周りにその実力を認められた話でした。

いやー、熱い戦いでしたね!
どちらも最後まで譲らず、結果も見えない戦い・・素晴らしいです。
本気でぶつかり合うと、こんなに手ごたえのある対局ができるのですね。

結果的にはヒカルが勝ちましたが、力はほぼ互角でしょう。
秀英もスランプから抜け出せたようだし、次に戦うときには互いに更に強くなっているはず・・。
プロとして2人がまた相まみえるときが楽しみですね。


それにしても、ヒカルの一手はすごかったですね。
皆にあっと言わせる手を打てるなんて、ヒカルにはやっぱり天性の才能があるのだと思います。
そしてその才能がここ最近人目につくようになっているのは、何よりヒカルの努力の結果でしょう。

プロ試験予選で自分の弱点を知り、その克服に努めた1か月。
様々な立場の人と打つことで、ヒカルの感性は更に研ぎ澄まされました。

その結果が、今回の対局でしょう。
力が互角の者と、これだけ渡り合える・・。
もうこれは、プロ試験本選が始まっても大丈夫なのではないでしょうかー。

いよいよ来週からプロ試験本選とのことなので、ヒカルの躍進が期待されますね!
その一方で、和谷と伊角の表情に若干の焦りがあるのは気になりましたが・・。


恐らく2人は今回の秀英との対局で、改めてヒカルの実力を目の当たりにしたのでしょう。
そしてその彼と本戦ではぶつかることになるー
そこに恐れを感じたのではないでしょうか。

そりゃそうですよね。予選で上手く行かなかった仲間を思い特訓に付き合ってきた訳ですが、その結果ライバルの成長を助けることになってしまったのですから。

もちろんそれを悔やむような2人ではないでしょう。
でもプロ試験本選が始まり、互いの成績に差が出始めたら・・?
綺麗ごとばかりでは済まないのではないでしょうか。

特に伊角は院生でいられるのは今年で最後だし、和谷だって4度目の挑戦です。
それが本戦1回目のヒカルに負けるとあったら、きっと今みたいな関係でいられなくなる可能性もあると思います。

今回の2人の表情には、そんな暗雲を思わせる危うさがありました・・。
まだ試験が始まってないので、杞憂で済めばいいんですけどね。。
せっかく出会い、一緒にプロに上がるかもしれない仲間です。関係が壊れるところは見たくないものです。

大丈夫、和谷だって伊角だってヒカルと共に碁会所で特訓してきたんです!
その努力は2人を裏切らないでしょうー。

どんな結果となるかは分かりませんが、全員最後まで全力で戦ってほしいと思います。
そして最後まで励まし合い、良い人間関係のまま試験を終えられますように・・。

そんなことを感じた話でした。






さて、一方の秀英。
ヒカルに負けて悔し涙を流す姿にはぐっと来ました。そして店主同様、この悔しさと向き合えれば彼はもう大丈夫だーと感じました。

今まではふてくされてばかりで、負けやクラス落ちしたという事実から目を背け続けていた秀英。
恐らく対局の時点で負けを恐れ、どこか逃げの姿勢で打っていたのでしょう。
だから負けが続いたのだと思います。

でも何のしがらみもないヒカルと全力で戦い、相手の全力にも応えた。
その結果負けたことで、彼は心からの悔しさを味わいました。
きっとそこには、真剣に勝負に臨むことの楽しさもあったのではないでしょうか。

全力で挑めば、たとえ負けても得るものはある。そしてその悔しさをバネに、次に向けて成長できるー。
今回そのことを学べたことで、もう秀英は1,2回の負けでつぶれることはないでしょう。

何よりヒカルとまた戦うためには、互いにプロになっていなければいけませんからね!
大きな目標ができた秀英、きっと彼もプロになってヒカルたちと共に新しい囲碁の波を作っていくのでしょうー。

本当にいつか再会できるのが楽しみですね。
やっぱり若い子の成長物語って、良いものです。
秀英、韓国に帰っても頑張れ!!





最後にー佐為について。
今回彼が自分のこれからについて、不安を感じる展開となりました・・。

これは見ている方からしても結構ショックで・・何というか、佐為との別れがちらっと見えたというか。
いつまでもヒカルと一緒にいる訳ではないんだよなーと改めて実感させられました。

もちろん佐為にも囲碁への未練があるので、そう簡単には成仏しないでしょう。
塔矢との対局だって果たしていないですからね。

でも徐々にヒカルが独り立ちしていくことで、佐為の出番がなくなっていくことは十分あり得るでしょうね・・。
今だって、ヒカル以外とはほとんど打てていない訳ですし。

彼がプロになったら、その機会はますます減る訳で・・。
そうなると、佐為が存在いる意義は自然薄れてしまいますよね。。

それに最近のヒカルは院生だったり研究会だったり碁会所だったりで特訓を重ね、佐為以外の人たちから学ぶ機会も増えています。
これもプロになればますます増える訳で。そうなってくると、佐為の不安は現実のものとなってしまいそうですよね・・。

今は2人ともそのことに気付いていませんが、いずれ佐為がヒカルの元にいる意味を考えねばならない時は必ず来ると思います。
今回の気付きは、その前兆といったところでしょうか。
佐為の気持ちを考えると胸が苦しくなりますが、ヒカルのことを思えば仕方のないことなのかも・・。

本当は2人が共存できる道があればいいのですが、こればかりは分かりませんね。
ヒカルの成長が第一ですし、しばらくは2人の関係を見守るしかないでしょう。

ただ願うは、佐為が納得できるような展開になりますようにーということでしょうか。
この世に未練を残したまま・・なんてことだけは避けたいものです。

うーん、ヒカルの成長は嬉しいばかりに複雑です。
でもまずはプロ試験本選に集中したいと思いますー。










さて、次回はプロ試験本選の始まりですね!

いよいよ本戦!予選では調子の悪かったヒカルですが、今回は活躍が期待されますね!
院生仲間たちとも総当たりするので、どんな対局を見せてくれるのかワクワクします。

そして戦いの結果、プロに上がる3名は誰となるのかー。
長い2か月が始まります!


次回も楽しみです☆