前回、フクとの対局に勝ち、プロ入りを決めた和谷。
残るプロ枠は後1つー
ヒカルと越智の対局の結果が待たれます。

そしてついに明らかとなる勝敗。
ヒカルは勝ってプロへの道を歩むことができるのでしょうか?!

感想です☆





激戦~第96局 「やっと!」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

どっちだー?!
伊角(いすみ)はヒカルと越智(おち)の対局の結果が聞こえてくるのを待った。

だが、しばらく待っても誰も休憩室にやってこなかった。
・・もしプレーオフがあるとすれば、誰か自分を探しに来そうなものじゃないか?
伊角の頬を、嫌な汗が流れる・・。

その時、受験生の1人が部屋に入ってきた。
彼は伊角に気付いてはっと目を見張ると、その目を気まずそうに逸らす。
・・それが答えだった・・。


ー昼から降り始めた雨は、夜には本降りになった。
越智邸では、帰ってからずっとふさぎ込んでいる越智に、祖父がため息をついていた。

いつまで仏頂面している気だ。今日進藤(しんどう)という子に負けたのは悔しいだろうが、トップ合格であることには変わりないのだ。
進藤君にはプロの世界で雪辱すれば良かろう。

そう祖父が諭していると、チャイムが鳴った。
恐らくアキラだろう・・。
越智はうつむいたまま、出なくていいよ・・と呟く。

だがそういう訳にもいかない。
祖父は仕方なく、自らモニター越しにアキラと対峙する。

訪ねてきたのは、やはりアキラだった。
彼はヒカルと越智の対局の結果は、既に記者によって聞いていた。
今日の対局を是非並べて見せてほしいー
アキラはそう願い出る。

だが越智は、負けた碁など見せたくない、と祖父に話した。
祖父もその気持ちを受け、アキラには悪いが引き取ってほしいと頭を下げる。

アキラはショックを受けたが、ここは粘っても仕方がない・・と引き取ることにした。
祖父がモニターを切ると、越智は涙で腫れた目をこすりながら、盤面に今日の一局を並べていく・・。

ヒカルと越智の対局は、1目半差でヒカルの勝ちだった。
終わったと聞きつけてやってきた監督官たちも、接戦ぶりに思わず息を呑んだほどだった。

これは大きな1目半だ。進藤君のこれでもか、という強さが出たな・・。
そう感心しながら、監督官はうつむく越智を見やる。
これは越智君が進藤君に勝つことが目標だと言ったのもうなづけるー。

越智はその時のこと思い出し、盤面に並ぶ石を思わず崩す。
祝勝会など、とんでもない。
プロになれて嬉しいはずなのに、越智の心は悔しさで壊れそうなほど痛むのだった。

一方ーアキラも帰宅する道すがら、いよいよヒカルがプロの世界に来たことの重みを噛みしめていた。
進藤が来る。もうすぐ僕の前に現れる。君が何者かという謎の答えを持ってー!

彼はいつになく闘志をみなぎらせて前を見据えた。
僕は自分の目で、確かめよう。
進藤、プロの世界に来い!僕はそこにいるー!!


数日後、ヒカルの母親は中学校を訪れていた。
彼女は担任と面談し、ヒカルがプロ棋士の視覚を得たことを相談する。
担任も今日ヒカルから報告を受けた、と興奮気味に話した。

だがー2人共プロ棋士がどういうものなのか、全く分かっていなかった。
学校をどのくらい休むことになるのか。お金はどのくらいもらえるのか。
母親はその他にも学校を休むようになったら友達と上手くやっていけるのか、進学はどうすればいいのか、と頭を悩ませる。

幸い和谷(わや)が一学年上なので、母親は和谷の両親に連絡を取って色々と教えてもらおうと考えていた。
プロになるのは来年の春からだから、それまでに備えておこうー。
2人はそう話し合い、ヒカルには内緒で面談を終えるのだった。

一方ーヒカルはプロ試験が終わり、なんだか気の抜けたような気持ちになっていた。
そこで彼はふと思い出し、放課後こっそり囲碁部を覗いてみようと思い立つ。

以前あかりにもう来ないように言われたので、彼は窓の方に回りこっそり理科室に近づいた。
すると部活の準備をしているあかりの姿が目に入った。
筒井(つつい)の作った囲碁部は、今も続いているー
ヒカルはほっと温かい気持ちになって、姿が見えないよう隠れながら理科室の窓の下に座り込む。

理科室には、次々に部員たちが訪れていた。
部員の1人がヒカルの噂を聞きつけ、本当にプロになったのか?とあかりに尋ねる。
学校で会った時にその話をヒカルから聞いたあかりは、嬉しそうにうなづいた。

皆プロ棋士がどれくらいスゴいものなのか分からないながらも、感嘆の声をあげる。
と、そこへ金子(かねこ)がやってきて、部員たちは秋の大会に向けて早速練習を始めた。

春の大会は三谷(みたに)が出なかったので女子だけしか参加できなかったらしいが、今回は男子も大会参加を狙っているらしい。
皆でワイワイと盛り上がるその声を聞いていたヒカルは、ふと寂しさを感じて植え込みから立ち上がった・・。

もう自分は出たくても、アマの大会には出られない。
でもーやっとプロの世界に行けるんだ!!
ヒカルは未練断ち切るように前をきっと見据える。

アキラは1年前から、そこにいる。
でも自分だって、やっと同じ世界に行くんだ!アキラのいる世界にー!!
彼は鼻息荒く、来年の春へ向けて歩み出すのだった。




















3人目はヒカル!

今回はヒカルのプロ入りが決まり、新しい世界が開けていく話でした。

ついに決まりましたね!
ヒカル、おめでとう!!
最終戦の越智を破り、見事プロ入りを果たしました!!

今年度は院生から3人出るという結果になりましたね。
っていうか、皆年齢が若すぎて驚いた・・。
越智、中1なんですね。やっぱりこういう勝負の世界ってスポーツと一緒で早咲きが多いんだなぁ。

1目半差というのは、本当に僅差の良い戦いでしたね。
2人共相手の読みをよく考えて攻め、決して防御に回らない力強い戦いだったと思います。
諦めないことが大事なんだな・・と強く思わされた戦いでもありました。

監督官の言うように、ヒカルのここぞという時の強さが色濃く出た感じになりましたね。
佐為と常日頃対局している成果が思う存分出たというか・・。とにかく佐為との出会いから見ている読者からしたら、誇り高い素晴らしい勝負でした。

ただ・・越智は気の毒でしたけどね。結局ヒカルとアキラの戦いに巻き込まれたような形になったので(^^;)
祖父の言うように、プロになってから雪辱戦を果たせるといいですね。

なんだか損な役回りではありましたが、今回のプロ入り最年少にして最多勝利で試験を突破していますからね。その実力は本物でしょう。
彼のプロ囲碁界での活躍、期待していますよ!



さて・・そして今回忘れてはいけないのが、伊角。
もう可哀想すぎて見てられない(><)

本当に人の結果次第でチャンスが左右されるのって、キツいですね。
結局そのチャンスは巡ってこず・・。ああ、辛すぎる。

でも院生ではなくなっても、伊角には囲碁を辞めてほしくないですね。
今度は外来として、また試験に参加してほしいです。

皆の手前とか進路とか色々障壁はあるでしょうが、彼だって実力は本物です。必ずいつかプロ入りして、日本のプロ囲碁界をヒカルたちと共に率いてくれると信じています。

その他の皆も、本当に2か月間お疲れ様でした!
色々な思いはあるでしょうが、ここまで戦い抜いたことがまずは凄いと本気で思います。
その経験を自信に、次のステップへ進んでほしいですね。

長かったプロ試験編も終わり!
次回からはプロ入りする前の準備段階の話へと移行していくのでしょうか。
ヒカル、和谷、越智の3人の活躍、これからもしっかりと追っていきましょう!




で、今回は久しぶりに葉瀬中囲碁部の様子が描かれました。

女子チームは、団体戦も経験したのですね。ますます楽しそうに活動している姿が見られて、何よりでした(^^)

対する男子チームは、三谷が参加してくれれば次は団体戦出れるようで・・。三谷もなかなか頑固ですねw
でも練習には参加しているようなので、ちゃんと囲碁部員として活動していることにほっとしました。
和気あいあいとしていて、素敵な部になりましたよね。

こんな光景を見せられたら、ヒカルもそりゃぁ寂しくなりますよね。
プロ試験が終わって燃え尽きた感もあるでしょうし、今回は尚更でしょう。

プロになったから、もう2度とアマの大会に出ることができないというのも、当然のことですが改めて考えるとちょっと切ないものがあります。
特にヒカルは囲碁の経験が浅いから、アマの大会なんてほとんど参加できませんでしたもんね。
それでもう終わり・・というのは、物足りなさもあるんだろうなぁ。

でもここはヒカルが前を向いたように、半年後に迫るプロ入りに目線を向けなければなりませんね。
たった半年しかないのだから、感傷に浸っている場合ではありません。
新初段シリーズに若獅子戦。備えなければいけない対局もたくさんあります。

新初段シリーズではないでしょうが、若獅子戦ではアキラとぶつかる可能性も十分にあります。
やっと同じ土俵に立ち、戦える機会を手に入れたのです。ヒカルにはここで気を抜かず、一気にプロとしての最初の歩みを駆け抜けてほしいと思います。
だから囲碁部のことは・・もうあかりたちに任せましょう!w

囲碁を続けていれば、どこかでつながることはあるのですからねー。


それにしても今回の母親と先生の面談を見てて思ったけど、ヒカルも進学とかどうするのでしょうね。
和谷は高校へは進まないようですが、ヒカルもそれに倣うのかなー。
越智は勝手に中高一貫の私立に行ってるイメージw

プロに全力で打ち込むためでしょうからその進路も全然いいと思うのですが、母親の心配ももっともですよね。
普通の子と違う進路を選ぶということは、それだけ世界を狭めてしまうことにはなる訳で・・。
特殊な世界に進む子は、誰でもぶつかる壁なのかもしれませんね。

スポーツ選手だってプロを目指すとなれば遊ぶ暇などないだろうし、学校でゆっくり勉強している時間もないでしょう。
そういう何かを引き換えにして、皆プロという高みの世界で戦い続けるーそれってすごいことだよなぁと何だか改めて思わされました。

そういう意味でも、今回葉瀬中囲碁部とヒカルの間の壁が描かれたのでしょうね。
プロ入りは嬉しいことだけど、一般社会とは離れていくことでもある・・と。

それでもヒカルの前に輝ける未来が待っていることも確かです。
本当この作品、ただ嬉しいだけでなく、プロの世界に入るということがどういうことなのかが描かれていて、すごいよなぁ・・。

不安と期待半々ですが、純粋にプロ囲碁界を覗けるのは楽しみ!
ヒカルと共に、新しい世界を覗いていきましょうー。










さて、次回は春のプロ入りに向けてヒカルたちが研鑽を積んでいく話でしょうか。

それとも閑話休題、他のキャラの話かな?
アキラの連勝の方も気になりますよね。

無事プロ入りを決めてからの半年ーここがプロになるまでの最後の猶予です。
ヒカルたちには悔いないよう、思いっきり休むもよし勉強するもよし、有意義な時間を過ごしてほしいものです。

新たな未来に向けて走り出すヒカルたちの姿、これからも見守っていきましょう!

次回も楽しみです☆