前回、囲碁のイベントに出向いたヒカルと佐為。
彼らはそこで偽物の碁盤を高額で売りつけようと目論む棋士と業者に出会います。

秀策の名を汚され、彼らを許すことのできない佐為。
彼は悪事を暴くため、棋士と対局でぶつかりますー!

感想です☆




新初段シリーズ~第104局 「倉田六段」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

囲碁のイベント。
その会場のメインブースでは、倉田(くらた)による囲碁の教室が開かれていた。

時間となったので、彼は拍手喝さいの中舞台を去る。
その後客からのサインの声に、倉田は応えた。

タイトルを取ってくださいねー。
そう応援された彼は、名人位なんていいなぁ、と夢想して鼻を膨らませる。
そして差し出された扇子に、「もうすぐ名人」とサインと共に書き添えてしまうのだった。

と、そこへイベントの責任者から、次は指導碁の時間だ、と倉田は呼ばれる。
客に挨拶して倉田が去ろうとすると、彼の耳に1人の男性のため息が聞こえた。

いいなぁ、私も御器曽(ごきそ)先生の指導碁じゃなくて倉田先生しておけばよかった・・。
ーそうため息をつく男の姿に、周りの客が心配して何があったのかと尋ねる。
倉田も気になり見ると、男性は御器曽との指導碁でハメ手を食わされ散々な目に遭った・・と明かした。

それは酷い!と客が口々に慰めるなか、倉田は御器曽が株に失敗して苦しんでいるらしいという噂があったことを思い出す。
だがそれは客には何も関係のないことだ。
男性はため息をつき、今は自分の碁を引き継いで少年が御器曽相手に打ってるが、勝てるかどうか・・とうつむく。

劣勢の場面からー?
倉田はそれを聞き、さすがにプロ棋士相手に劣勢からひっくり返すのは無理だろう、と思わず笑ってしまう。
だがそこに、男性を探しに来た1人の客が息を切らしながら走ってきた。

その客は男性を捕まえると、さっきの子どもが劣勢の局面をひっくり返したことを伝える。
男性が驚く横で、倉田も驚き目を丸くする。
そして興味をもった彼は、自分も指導碁があるのも忘れて御器曽のいるブースへと駆けていくのだった。


ー指導碁のブース。
御器曽は盤面を見つめたまま、青ざめて動かなかった。

終わりだ、もうここまでだ・・。
ヒカルも盤面を見、それから悠然と構える佐為(さい)を見て感嘆の息をつく。
佐為はすごい。自分には思いつきもしないしない手を打ってくる。
自分も色々手は考えたが、それでも逆転は無理だっただろうー。

御器曽にとっても、この結果はまったくの予想外だったようだ。
彼は震えながら、こんなことがあるはずがない・・と口にする。
と、そこへ大柄の男がぬっと現れて盤面を覗いた。
どれどれ?

その人物を見て、御器曽ははっと目を見張る。
倉田君・・!
彼は倉田の目に触れないように、慌てて石を片付けようとする。

倉田はそれを見て残念そうな声をあげるが、御器曽はみっともない囲碁だから・・と苦笑いしてさっさと石をしまう。
そして席を立ってどこかへ行こうとするので、その背中にヒカルは叫んだ。
約束忘れるなよ!!

するとヒカルに気付いた倉田は、今度は彼に焦点を移した。
御器曽先生に勝ったの?劣勢からひっくり返したんだって?
倉田は色々と尋ねてくるが、あまり突っ込まれたくないヒカルもまた、急いで片付けを始める。

その時ー倉田はあれ?と目を見開いた。
君、どこかで見たことあるな・・。
彼はそう言って、ヒカルの顔を穴が開くほど見つめる。
そして、もしかしてプロ・・?と首を傾げながら尋ねる。

ヒカルはうなづき、今年からプロになることを告げる。
どうやら倉田は週刊碁で新初段シリーズの記事を見たらしい。
ようやく合点のいった彼は、御器曽となぜ対局することになったのかを改めて問うた。

そこでヒカルは偽物を扱うブースのことを倉田に相談する。
それを聞いた倉田は、ヒカルを誘ってそのブースへと向かう・・。

彼はヒカルに聞き、件の碁盤を確認した。
店主が慌てるなか、倉田はこの碁盤を本カヤと言って売ってるの?と店主に問う。
有名棋士に問い詰められた店主はたまらず、値札を下げてごまかそうとする。

だが倉田が味方に回ったことで、今回は責任者も黙ってはいなかった。
ブースでは、既に客に売った商品もある。
購入した客の控えを見せるよう強く迫られて、店主は困り果てる。

更にヒカルは倉田に、秀策(しゅうさく)の署名入りと偽った碁盤も見せる。
倉田は商品を眺めるが、さすがに秀策の字の鑑定まではできないらしい。
だがヒカルが絶対に偽物だ!と強く主張するので、倉田と責任者はうなづき合い、その碁盤も店頭から下げるように店主に命じた。

どうやら、これで一件落着のようだ。
ほっとするヒカルに、倉田は御器曽に勝ったくらいじゃ自慢にならないからね、と釘を刺した。
自分に勝てたらスゴいことだけどねー。

それを聞いたヒカルと佐為は、顔を見合わせる。
そういえばこの人は誰なのだろう・・。
ヒカルは率直に、倉田に名前を尋ねる。

プロになるのに、自分のことを知らないー?!
倉田はヒカルの問いに驚き、丸い目をうんと丸くした。
いずれは名人か棋聖か本因坊になる俺を?!
その自信満々の紹介に、倉田さんはそんなに強いの・・?とヒカルもまた驚く。

倉田はうなづくと、でも上を倒すことはさほど難しくないんだ、と話した。
塔矢(とうや)名人や桑原(くわばら)本因坊は今がピークだ。いずれ、自分や緒方(おがた)に彼らは潰されていくだろう・・。
そう言いながら、倉田は上を見上げる。

でも・・自分にとって本当に怖い奴は、下から来るんだ!!
だから自分は塔矢よりもアキラの方が怖いー。下との戦いは死に物狂いだからな。
そう話す倉田が、自分と同じアキラをライバルと見ているのを知り、ヒカルはほう・・と感心する。

倉田は相当な自信家のようだが、御器曽のように悪い棋士ではないらしい。
ヒカルが佐為と笑い合うと、倉田がそうだ、と声をあげた。

彼は近くにいた係に、扇子を1つ用意してほしいと頼む。
そして自分を知らないなんて珍しい奴だ!とヒカルに署名入りの扇子をプレゼントしてくれた。
だがもらっても嬉しくないので、ヒカルはいらないと断る。

その態度もまた、倉田にとっては予想外のものだったらしい。
彼が目をぱちくりさせるので、ヒカルは扇子を受け取ると倉田の署名の横に自分の名を書き連ねた。
俺だって、サインくらいできるんだからな!

それを見た倉田は、何てことするんだー!と大騒ぎする。
結局2人の署名が入った扇子はどちらもいらないので、責任者にもらってもらうことになった。
本当に変わってるよなー。
そうため息をつかれたヒカルは、どっちが!と倉田の顔を見て苦笑する。

ーこの一件により、倉田の頭にはヒカルのことが鮮明に刻まれたらしい。
また会おうー。
そう言って別れる倉田を見送りながら、ヒカルたちは長い1日だったーと笑い合う。

彼らのモヤモヤした気持ちも、今日の騒ぎでどこかへ消えてしまっていた。
2人は並んで、会場を後にするのだった・・。




















倉田六段との出会い。

今回は佐為が御器曽との対局に勝利するなか、ヒカルが倉田六段と知り合う話でした。

倉田六段!
ずっと名前は出てきてて見てみたいと思ってたんですー!
かなり才能がありそうな描写だったのでどんな人かと思っていましたが、なかなかの変わり者でしたねw

でもあけすけで、性格は良さそう。人を味方につけるタイプですね。ファンが多そう。
囲碁界では浮きそうなタイプですがwこれから上がってくる若い棋士たちからの支持は高いタイプではないでしょうか。
ヒカルとも仲良くなれそうなタイプで、安心しました(^^)

今回もヒカルの話をしっかりと聞いてくれて、偽物の件にも毅然と対応してくれたし、変わっているけど頼りがいはありそう。
囲碁に関する思いも熱く、こういうタイプが次の時代を作っていくんだなーとしみじみ感じました。
あ、でも一緒に時代を作るであろう緒方との相性は良くなさそうですけど笑

是非彼の対局も見てみたいですね。
年齢的には若獅子戦には出られないと確か言っていたので、ヒカルと対局するのはまだ先かなー。アキラの方が早いかも。

ヒカルたちがその背を追う人物として、これからも注目していきたいですね、倉田六段!
今回その姿が見られて本当に良かったです(^^)





で、本題の御器曽との対局ですが、こちらは佐為が完璧にのしてくれました。

あれだけ嫌味な態度を取っていた御器曽の鼻を明かせたということで、見ているこっちも気分良かったです。
それにしても劣勢から逆転させるなんて、本当佐為はすごい。
ヒカルも今回の対局を間近で見れたことで、また刺激をたくさん受けたのではないでしょうか。

御器曽の件も倉田が入ってくれたことで、無事解決となりそうで良かったです。
ヒカルがプロになることも彼はいずれ知るでしょうし、もう目立って悪さを働くことはできなくなるでしょう。
お金が欲しいなら、堂々と囲碁でタイトル戦などまで進めばいいのですよね。こすい真似してるから、上に上がれないのだーと彼にはよく反省してほしいものです。

色んなことがすかっと終わって、すっきりした回でした!
思いっきり打ったことで佐為の顔もどこか晴れやかだし、良い対局を見せてもらったことでヒカルの気持ちもまた前を向いたのではないかと思います。

またこうやって佐為が打てる機会があるといいですね。
プロになってしばらくはヒカルも慣れないことが多いでしょうから大変化とは思いますが、2人で話し合って引き続き策を検討してもらえれば・・と思います。

閑話休題的な話でしたが、重要な出会いもあったりとワクワクする回でもありました。
次からはいよいよプロ編かなー?
楽しみに待ちたいと思います!









さて、次回はヒカルが正式にプロになる話でしょうか。
それとも越智の新初段シリーズかな?

新年度から新たな道を進むヒカルたち。
環境が変わる中で、彼らにどんな出会いや試練があるのか待ち遠しいですね。

今まで色んな苦境を乗り越えてきた彼らなら、きっとプロの世界でもいい結果が出せるはず!
これからも応援していきたいと思います。

次回も楽しみです☆