前回、ヒカルがプロと知りながら対局を挑んできた周平。
彼と対局する中で秀策の墓が東京にもあると知ったヒカルは、早く帰るために集中して目の前の囲碁にぶつかります。

その気迫とぶれない打ち筋に脅威する一行・・。
真価を発揮したヒカルに、彼らはどんな判断を下すのでしょうかー?!

感想です☆




さよなら~第128局 「最後の手がかり」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

ヒカルはスピードを緩めることなく、着実に周平(しゅうへい)を追い詰めていった。
どこに置かれても、次の手が打てるように彼は頭をフルに回転させる。
その気迫の前に、周平は劣勢に唇を噛みしめる・・。

そしてついに、ヒカルはもう取り戻されないところまで流れを進めた。
周平は半ば呆然として盤面を見つめ、頭を下げる。
負けました・・。

よし!
ヒカルは心の中でガッツポーズを決めると、くるっと後ろを振り返った。
佐為(さい)!どうだった?!

だがそこにいたのは観客の1人で、彼はヒカルの視線に驚く。
バツが悪くなり、ヒカルはすぐに顔を背けた。
・・そうだ、佐為は東京にいるんだった・・。

そこでヒカルは秀策(しゅうさく)の墓の場所を聞き出すと、すぐに帰ろうと立ち上がる。
すると周平も立ち上がり、思いがけない提案をヒカルたちにした。
駅まで車で送るというのだー。

どういう風の吹き回しかは分からないが、2人はその申し出をありがたく受けた。
周平は車を運転しながら、ヒカルに笑みを向けた。
進藤(しんどう)君、今日は完敗じゃぁ。夏の国際アマ大会のときに上京するから、その時はまた手合わせしてくれんねー。

そう約束して、彼らは別れた。
ずいぶん急いだ様子で駅に駆け込んでいくヒカルたちを見送りながら、周平は1人呟く。
あれでまだ中3とは、将来が楽しみじゃ。いずれ囲碁界はあいつを中心に回り始めるじゃろお・・。


ー東京。
駅に着くと、ヒカルは河合(かわい)が呆れるのにも構わず、そのまま秀策の墓のある巣鴨へと向かった。

もうすっかり夕暮れになっていたが、2人は本妙寺という寺を訪れる。
そして墓地へ真っすぐ進んだヒカルは、必死になって佐為の姿を探した。

だが・・どれだけ探しても、ここにも佐為の姿はなかった。
力尽き石の上に座り込んだヒカルに、気が済んだか?と河合が声をかける。

彼には訳が分からなかったものの、ヒカルが何かを必死に探していることだけは理解できていた。
一体何を探してるんだ?囲碁関係のものなら、普通棋院にあるんじゃないのか?
そう訊かれても、ヒカルは首を振るだけで黙りこくる。

棋院はもう探したんだ。じいちゃんの蔵にもいなかったんだ・・。
そこで彼は家へ帰ることにした。
結局何も言わず1人で歩いていくヒカルに河合は怒りながらも、普段とは違う様子に心配もするのだった・・。

ー家へ着くと、すぐに母親が出てきた。
急に外泊したことを注意する母だったが、ヒカルはそれには構わず一目散に自室へと急ぐ。
だが・・やっぱり部屋にも佐為はいなかった。

ヒカルは誰もいない部屋を眺め、急に疲れがどっと出てきたように感じて座り込む。
思えば周平との対局も、彼が強くてなかなかキツいものだった。
更に1日中移動していたこともあって、ヒカルの身体はずん・・と重く鉛のようだ。

そんな中でも、ヒカルは佐為がどこかにいないかと頭だけは巡らせた。
河合は、囲碁のことならやっぱり棋院にあるのでは?と言っていた。
棋院・・もう一度行ってみようか・・。

彼はそう考えると、ふらふらと立ち上がる。
そして心配する母親を振り払い、1人棋院へと足を向けるのだったー。


すっかり夜になったので、棋院には職員以外人の姿はなかった。
一通りの部屋を回ってみたが、佐為はいない・・。
ヒカルは重い身体を引きずりながら、どうして佐為は急にいなくなったのだろう・・と歩き回る。

佐為がいなくなったー。
その事実を、ヒカルは受け止めきれずにいた。

思えば佐為は自分が消えるかもと口にしたこともあったのに、自分はその可能性を考えたこともなかった。
だって佐為が消えるなんて思わないじゃないか・・。
彼は取り返しのつかないことをしたのではないかという思いに駆られ、激しく鳴る胸を押さえる。

と、その時ヒカルは職員の1人と出くわした。
夜に1人でうろうろしている彼を不思議に思ったのだろう。
何をしているのか?と職員は近づいてくる。

そこでヒカルは藁にもすがる思いで、幽霊の出るような場所はないか、と彼に尋ねてみた。
職員は戸惑いながらも考え、あっと大きな声をあげる。
あそこなら本当に出るかも・・。

その言葉を聞き逃さず、ヒカルは食いついた。
何でも棋院の奥には普段は人が入らない部屋があるという。そこなら幽霊が出る可能性もあるかもしれない、と職員はヒカルを案内する。

そこで彼についていったヒカルは、鍵で開けられたその部屋に足を踏み入れ、驚く。
何?ここ・・。
彼は目を見張り、部屋の中を眺めまわすのだった。




















再び東京へ。

今回はヒカルが佐為を探すために、東京へ戻ってきた話でした。

周平との対局は、ヒカルの圧勝でしたね。
佐為に向けて得意げな顔を見せるヒカルが切なかった・・。いつも側にいたことを改めて感じさせられましたね。。

ヒカルの才能は広島でもお墨付きとなりましたが、彼が成長したことがきっかけで佐為が消えたことを考えると、今は複雑な心境・・。
佐為も納得して消えていったのを私たちは知っていますが、ヒカルにそれを知る術はありませんからね。
何とも歯がゆい気分です。

今回もずっと佐為を探し続けたヒカル。
身体もキツいはずなのに、それでも動いちゃうほど佐為のことが気にかかるんですね。顔にも生気がなくて、心配です。。

河合も母親も厳しく言わないのは、ヒカルの様子がおかしいことが分かっているからでしょう。
最初は消えた佐為に怒る余裕もあったものの、今のヒカルにはその余裕すら残っていません。こんな憔悴しきった彼の姿は私たちも初めて見るので、とにかく精神状態が心配でなりません・・。

明日から普通に学校とか通えるのかな。対局だって控えているだろうけど、それは大丈夫なのかな・・。
どんどん不安は高まっていきますね。

ヒカルも次第に、佐為は本当に消えてしまったのではないか・・と思い始めています。
そしてそのことを考えて、胸がつぶれそうなヒカル・・。
こんな状態で、彼は佐為が消えた事実を乗り越えることができるのでしょうかー。

特に、彼にこの件での理解者がいないことが気にかかります。
ヒカルを通じて関わったことはあっても、周りの人たちは佐為の存在を知りません。
ヒカルにしか見えていなかった佐為のことを、ヒカルが他の誰かに打ち明け共感してもらうのは難しいことでしょう・・。

この状況でヒカルが1人で抱えるには、佐為が消えたことは重すぎると思います。
彼の心がつぶれてしまわないか、本当に心配です。見守るしかできませんが、どうか佐為のことは知らずともヒカルに寄り添ってくれる誰かがいてくれたら・・と願わずにはいられません。

でもそんな人物いるかなぁ。
アキラや和谷?あかりとか?うーん、イマイチぴんと来ないのが正直なところです・・(^^;)


そんな中、棋院で思わぬ部屋に通されたヒカル。
普段人が行かない場所にあるようですが、そこに幽霊に関わるような何があるんでしょうね?

予想してみるとするなら・・過去の棋士が使った囲碁用品とかでしょうか?
広島で訪れた記念館のように、歴代の棋士たちの使用した遺品が残されているのではーと考えてみました。
さて、どうでしょう?

何か佐為につながるヒントをヒカルは得られるでしょうか?
もはや手がかりもここまで・・。ヒカルの中で、何か佐為の件に決着がつくといいな、と思います。

辛いけれど、ヒカルはいずれこのことを乗り越えねばなりません。
頑張れ、ヒカル!いなくなっても、佐為はずっとヒカルのことを見守っているし、ヒカルの中で生き続けているはずですから。。








さて、次回はヒカルが棋院の部屋で佐為に関する手がかりを得る話でしょうかー。

というより、何かヒントがあることを願いますね。そろそろヒカルも、佐為が消えたことを認めなければならない時でしょう。
幸いGWで旅行などできましたが、彼には普段の生活もあるのですから・・。

最終的には自分でこの問題にケリをつけなければなりませんが、ヒカル1人にこんな大きい問題を抱えきれるのか心配です。
何度も言いますが、本当に彼の心がおかしくならないよう祈りたいと思います。。


棋院の奥には、何があるのかー?
次回も楽しみです☆