前回、不戦敗を続けるヒカル。
周りの人間は彼の状況を心配しますが、ヒカルは打ちたい気持ちはあっても、佐為のことを思いその手を引っ込めてしまいます・・。

ヒカルはこのままプロ棋士を辞めてしまうのでしょうか?!
不戦敗が続き、決断の時が迫られています・・。

感想です☆




中国棋院~第137局 「最後の大会」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎ 

葉瀬中。
放課後、ヒカルは金子(かねこ)から声をかけられた。

足を止めると、金子はヒカルに三谷(みたに)と対局してくれないか、と言う。
先日、三谷は最後の大会に出ることを決意した。だが囲碁部には、彼の練習に適う相手がいないのだ。
そこで手合いをサボっているヒカルなら暇だろうーと金子は考えたのだ。

その直截な言い方に苦笑しながら、ヒカルは金子の頼みを断ろうとする。
だがその前に三谷が気付き、2人の間に割って入った。
くだらないこと頼むなよ!こんな奴に来られたら、迷惑だ!!

それを聞いた金子は息をつき、やっぱりいいや・・とヒカルにさっきの頼みは取り消してくれ、と笑った。
皆一生懸命だからと思って頼んだけど、やっぱり自分たちで頑張るよー。

そう言って金子は三谷たちと共に理科室へと向かっていく・・。
ヒカルも背を向けたが、その背中にあかりは呼びかけた。
大会は来週の日曜日だから!応援くらい来てよー!!

ーその後あかりたちは、いつものように理科室で練習を重ねた。
皆大会が近くなり、真剣な表情で対局に取り組んでいる。
その様子を眺めながらあかりは、昔はヒカルもこうだったーと考えた。

もう打たないと聞いてから、あかりはずっとヒカルのことが心配でならなかった。
あんなに囲碁が好きだったのに、今のヒカルはどうしてしまったのだろう。もうあの頃の自分のことなんか、ヒカルは忘れてしまったのだろうかー・・。

と、その時あかりの不安に気づいたのか、金子が彼女の肩をぽんと叩いた。
笑みを浮かべながら、金子はあかりに話す。
今度の大会は、自分たち3年にとっては最後の大会だ。気合を入れて行こうー!
その言葉に、あかりたちは皆うなづくのだった。


翌週日曜日。
ヒカルは海王中の前で、入るべきかどうするかウロウロと迷っていた。

あかりに言われて見に来た彼は、見るだけだから・・と自分に言い聞かせ、ようやく中に入る決意をする。
自分は打たないんだから、見るだけだからいいよなー。
彼は1人言い訳しながら、校舎の中へと入るー。

会場では、もう1回戦が始まっていた。
ヒカルは静かにあかりたちの姿を探し、見付けるとそっと近づく。
金子が大将で、あかりが副将らしい。

あかりは手が止まり、何か考えこんでいる様子だった。
ヒカルは盤面を覗き込み、簡単な死活だ・・と読み取る。
焦らなければ、行ける。ゆっくり考えろー。

結果、あかりは無事手を思いつき、危機は脱することができた。
ヒカルはほっと息をつくと、今度は三谷たち男子のチームを見に行く。

三谷たち3人も、真剣に対局に取り組んでいた。
ヒカルの姿になどまるで気付かないその背中を見ていたヒカルは、ふっと2年前の大会のことを思い出す。

筒井(つつい)と三谷と参加した大会。
厳しい戦いながらも、3人で声を掛け合いそれぞれの勝利を祝ったりしたー。
そんな過去を思い返したヒカルは、はっと目を見開く。

・・駄目だ!
彼は首を振り、自分を律するため言い聞かせた。
思っちゃ駄目だ。打ちたいって思っちゃ駄目だー!!

その時、海王中囲碁部の顧問である尹(ユン)がヒカルの姿に気が付いた。
呼びかけられたヒカルはびくっとし、慌てて会場を飛び出すー。

そして学校の外まで走り抜けると、ヒカルは息を荒くして立ち尽くした。
彼は・・やっぱり大会を見に来たことを、後悔していた。

俺が打ちたいって思ったりしたら、もし俺がまた碁を打ったら、佐為(さい)は2度と戻ってこない。そんな気がする・・。
彼は囲碁への思いを、必死に断ち切ろうと胸を押さえるのだったー。


同刻ー
無事に飛行機が到着し、伊角(いすみ)は日本の地を踏んだ。
手続きを終えた彼は、売店に立ち寄り週刊囲碁を購入する。

家までの電車の中で、彼は買った新聞に目を通した。
プロ試験予選は、来週から始まる。プロの皆はどうしているだろうか・・。
彼は手合いの結果が載っているページに目をやり、えっと思わず声を出した。

新聞によれば、ヒカルが不戦敗となっているのだー。
越智(おち)や和谷(わや)の活躍見ながら、伊角は首をひねる。
進藤(しんどう)・・どういうことだ?




















囲碁を打ちたい思い。

今回はヒカルが囲碁部の大会を覗きながら、自身の囲碁への思いを必死に断ち切ろうとする話でした。

囲碁部の大会。
小池以外は引退前の最後の大会ということで、まずは6人で参加できたことに感動しました。

三谷・・最後の最後で参加してくれて本当に良かった!
正直今の彼らでは、打倒海王中は無理でしょう。
でもずっと出たいと願っていた大会に、夏目と小池が出ることができただけでもう大満足です。本当に嬉しい!!

女子チームも最後の大会。
あかりが奮闘している様子が、なんだかかわいくて切なくて笑顔になっちゃいました。

彼女もヒカルと佐為によって、運命が変わった子の1人ですからね。
ヒカル同様囲碁なんて何も知らなかったのに、ヒカルや筒井、三谷の楽しそうな様子を見て囲碁を知って・・。そう考えると、何とも感慨深いものです。

佐為は消えても、こういうところに彼がい痕跡は残っているんですよね・・。
そのことにヒカルにも早く気付いてほしいなぁ・・と改めて思いました。

結果がどうなったのかは分かりませんが、きっと6人で出た大会は忘れられない記憶となるでしょう。
皆高校に行っても囲碁を続けてくれるといいですね(^^)
囲碁を続けている限り、どこかでつながっているー。
その輪が、いつまでも続いてほしいものです。。





さて、そして今回大会を見に行ったヒカル。
やっぱり囲碁を打ちたいという気持ちはあるのですね・・。見ていて辛かったです。

佐為が戻ってこないのは自分のせいだと責め、自分のやりたいことも押し殺す毎日・・。
今ヒカルは、どんな思いで毎日を生きているのでしょうね。
抜け殻のようになり、自暴自棄になり・・。そんなのヒカルじゃないですよ。早く笑顔を取り戻してほしい・・。

佐為のことは何度も言っていますが、どこかで気持ちにケリをつけなければいけません。
ヒカルはまだ希望を残していますが、佐為が戻ってくることはもうあり得ないのですから・・。

けれどそのきっかけをどう作るかが難しいですね。
アキラも和谷もあかりも駄目だった・・。となると、誰がヒカルを救いあげることができるのでしょうか。

やっぱりヒカルが1人でどうにか這い上がるしかないのかなぁ。
常に1人で葛藤するというのも、可哀想な気がするんですが・・。


で、今回伊角が中国から帰国した訳ですが、彼とヒカルが今後接触することはあるのでしょうかー?
2人には、去年のプロ試験での苦い思い出があります。しかもそのままプロ試験は終わり、伊角は院生を辞めてしまいました。
あの問題については、片が付いていないと言うこともできます。

でもだからといって、伊角がヒカルを奮い立たせることができるかーというと、それも何か想像できないんですよねぇ(^^;)
新聞で不戦敗を知った伊角が気になって接触することはありそうですが、伊角が佐為のことで落ち込んでいるヒカルを助けること・・できるかなぁ?

でも今巻で伊角について取り上げたのも、ヒカルのためなんじゃないかなぁ・・とも思ったりするんですよね。
となると意外にも、伊角がヒカルが囲碁を再び始めるきっかけになったりするのでしょうか。
本当ぴんと来ないけど・・。

ただ今は藁にもすがりたい気分。
誰であってもいい!今のヒカルを助けてくれる人の登場を願っています!!

佐為のことを誰にも言えず、ヒカルは2か月以上も1人で苦しんできました。
どうか彼を支えてくれる存在が現れますように・・。
もうヒカルは十分苦しみましたよ。

そして彼の好きな囲碁の世界に戻れますように、と今は願わずにはいられません。
佐為だってそれを一番望んでいるはず。
伊角の帰国が何かヒカルに影響を与えるのかーまずは見守りたいと思います。










さて、次回は伊角がヒカルのことで動く回でしょうか。

プロ試験予選が迫るなか、ヒカルが不戦敗を続けていることを知った伊角。
去年のプロ試験の因縁の相手といえるヒカル。
伊角はその因縁と向き合うためにも、ヒカルと接触するのでしょうかー?


ヒカルの精神状態本当に心配だし、ここで2人の時が前に進みだすといいな、と切に願っています。
次回も楽しみです☆