前回、それぞれの舞台で着実に勝利を積み上げていくヒカルとアキラ。
けれども2ヶ月のブランクがあるヒカルは未だ低段者との手合いしかできず、焦燥と苛立ちを募らせます・・。

そんな中、いよいよ実現濃厚となった日中韓Jr.杯。
韓国からは秀英も出ると聞いたヒカルは、自身も出場を狙うのでしょうかー?!

感想です☆




最強初段~第151局 「オレだって!」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

和谷(わや)の家。
勉強会のために集まったヒカルは、和谷と伊角(いすみ)に早速古瀬村(こせむら)に聞いた日中韓Jr.団体戦のことを話した。

和谷は既に耳にしているようだったが、伊角の驚きは大きかった。
18歳以下が出場資格で、各国チーム出場者は3人。予選は4月から行われるらしい・・。
4月なら自分も間に合う!と意気込んだ伊角だったが、彼は自分が18歳以上であることに気付いて肩を落とす。

そんな中ヒカルは2人に、秀英(スヨン)のことを覚えているか?と彼が韓国代表として出場の可能性があることを明かした。
韓国や中国では日本とシステムが違うため、低段者でもどんどん高段者とぶつかる機会があるのだという。
かなり将来を期待されている棋士らしい・・とヒカルは悔しさを滲ませる。

日本にはアキラだけじゃない。自分だっているー!
彼は気持ちを奮い立たせ、何としてもに中間Jr.団体戦の出場権を獲得しよう、と決意する。
本因坊戦1次予選だって、次に勝てば2次予選に進める。そうなれば高段者と戦うこともできる。
いつまでもアキラの背中を見てる気はないー!!

その思いを2人にぶつけると、和谷も真剣な顔になりうなづいた。
お前だけじゃない、俺だってこのままでいるつもりはない!!

彼は現状勝ったり負けたりで、成績が伸び悩んでいた。
だが森下(もりした)は、自分はまだまだ伸びると信じ続けている。
だから代表3名に、自分も残るぞー!!
和谷もまた、仲間たちの元でそう強く誓ったのだった。


数日後、棋院。
ヒカルは本因坊戦1次予選決戦に臨んだ。

相手もここまで勝ち上がっただけに強く、ヒカルは苦戦を強いられる。
だが彼は佐為(さい)の姿勢を忘れず、最後まで諦めないーと気持ちを奮い立たせた。
そして冷静に相手との差を埋めるように、手堅く地を広げていくー。

その揺るぎない姿勢に、次第に相手の棋士の胸には動揺が広がった。
マズい、進藤(しんどう)のヨセの手順には一分の誤りもない。なんという正確さだ。
・・もしや、私の方が足りないのでは?!

そのまま2人の勝負は終局した。
結果はヒカルの1目半勝ち。
ヨセでひっくり返されたことに、相手の棋士はショックを隠しきれずうつむくのだった・・。

ーその後碁会所で、ヒカルとアキラは今回の対局を検討した。
相変わらずアキラはヒカルの手を容赦なく駄目出しし、その言い方にかちんと来たヒカルが吼える。
客たちは遠巻きに2人を見やりながら、いつものやり取りに呆れ顔を見せる。

ヒカルはむくれながら、いつか公式戦で勝って見返してやるーと息巻く。
と、その時彼は日中韓Jr.団体戦ー北斗杯のことを思い出し、そうだ!と立ち上がる。
北斗杯の予選でなら、アキラとまたぶつかれるじゃないか!!

だが興奮するヒカルに対し、アキラは自分は予選には出ない・・と目を伏せた。
彼は既に、出場選手の1人に内定していたのだー。

そのことを知ったヒカルは、ショックを受けた。
どうしてアキラだけ・・。
ズルい!!思わず大きな声で責めた彼を、客の1人が諫めた。

実績のある棋士なら、シードになることも当然だろうー。
その言葉に、ヒカルは再びショックを受ける。
これがリーグ入りしている棋士と、初段の差か・・。
彼はため息をつき、碁石を片付けだした。

・・でも、力の差じゃない。
ヒカルがそう呟いたのを、アキラは聞き逃さなかった。
彼はしばらくここには来ないとアキラに告げ、4か月後の選抜戦を必ず勝ち抜いてアキラと同じ日本チームの一員になってやるーと決意する。

アキラと自分を同等とする発言に、身の程を知れ、と怒る客もいた。
だがヒカルはその声は聞かず、ただ前だけを見つめた。
一歩一歩行くさ。でも足は止めない・・。

神の一手は、俺が極めるーーー!!
ヒカルはそう宣言し、碁会所を後にするのだった。




















初段のジレンマ。

今回はヒカルがアキラとの差を改めて感じ、その差を埋めるために北斗杯への出場を勝ち取ろうと決意する話でした。

初段としては段位以上の力を見せ、連勝と快進撃を続けているヒカル。
ついにリーグ戦の1次予選も突破し、はたから見れば絶好調といっていい状況。

でもヒカル自身は常にアキラが横にいて彼をライバル視しているため、システム上なかなかアキラに追いつけないのがもどかしいわけで・・。
なかなかうまくいきませんね。

あまり焦るなと言いたいけど、そんな中北斗杯にアキラがシードで出場が決まっていると知ったら穏やかでいられないのは当然です。
碁会所の客はアキラびいきなので仕方ないけど、生意気に見られちゃうのが辛いところ。
でもアキラがヒカルの思いをちゃんと理解してくれていて良かったですね。

これで北斗杯への参加者は3名中1名が確定してしまった訳で。これはかなり厳しい・・。
主なライバルはやっぱり和谷と越智かな。
彼らに勝たないと、出場権は手に入りません。

和谷も出たいと強く願っていますし、越智だって同様でしょう。
棋士はもちろん彼らだけではないし、皆がチャンスを欲しいと考えているのは一緒。
でもだからこそ、こういうぎりぎりの勝負で勝ててこそ、アキラのライバルというもの!
ヒカルがどんな戦いを見せてくれるのか期待したいと思います。

うーん、こうやって今後も色んな場面でぶつかっていくことを考えると、棋士同士は親友というよりはライバルというポジションでいるのが正しいのかも。
正直和谷といつギクシャクするのか・・とか気が気でならない。院生試験のときの伊角との苦い思い出もあるしなぁ。

皆好きなキャラなので応援したいところですが、勝負の世界はただ見守るくらいが読者も辛くなくていいかもしれませんね。
ヒカルと和谷、受かってほしいなぁと願ってしまうのが人情ですが、期待する程度で押さえておこうと思います(^^;)




さて、そんな中今回はラストのヒカルの発言にはっとさせられました。
神の一手を極めてやるー!
まさかヒカルからその単語が出るとは!なんか泣きそうになっちゃいましたよ。

佐為の悲願だった神の一手。
結局彼はその高みを見ずに姿を消してしまった訳ですが、今は彼はヒカルの中に存在しています。
そんな思いがヒカルの中にあるからこそ、出たであろう発言・・。
佐為といつも一緒に戦っているというヒカルの気持ちが、ぐっと伝わってきました。

常に高みを見て、そこを目指すヒカル。
今回もアキラに対する悔しさは隠せていませんでしたが、それを噛みしめて尚前に進もうとする姿勢には感心させられました。

決して落ち込んでその場でくすぶったりしない今のヒカルなら、本当に神の一手に手をかけることができるかもしれませんね。
アキラもヒカルの熱意に動かされたようだし、ここからの2人の切磋琢磨し合いにも期待が持てる展開でした。


しばらくアキラとの勉強会は控えるそうですが、常に互いを意識し合っている2人。決してこの仲が壊れることはもう無いでしょう。
そして必ずやヒカルは北斗杯の選手としてアキラの横に並ぶはずー!
ヒカルを信じ、今は見守りたいと思います。









さて、次回は北斗杯の予選が始まる話でしょうか。

本因坊戦の1次予選も通ったし、ヒカルも段々アキラのように忙しくなりそうですね。
彼のことだからそういう状態のほうが嬉しいだろうし、ペースを崩すこともないはず。
どこまで勝ち上がっていってくれるのでしょうか(^^)

そして今の彼の心を動かしている北斗杯。
18歳未満しか出られないとはいえ、ライバルは大勢います。
アキラがシードを決めるなか、彼もまた出場権を獲得することができるのでしょうかー?!


ヒカルの世界が広がるにつれ、面白さも加速してきました!
次回も楽しみです☆