前回、御器曽を圧倒的な力で破ったヒカル。
彼は秀策の名誉を守り、御器曽の驕りを完膚なきまでに打ち砕きました・・。

以前快進撃を続けるヒカル。
いよいよ北斗杯の予選が近づく頃。
彼はこのまま予選を突破し、アキラと同じ舞台に立つことができるのでしょうかー?!

感想です☆




最強初段~第154局 「上島見参!」





※以下、ネタバレあり※











◎あらすじ◎

1月末。
葉瀬中では、中3の受験勉強もいよいよ大詰めだった。

三谷(みたに)は成績のいい金子(かねこ)に、毎日放課後勉強を教えてもらっていた。
文句を言いながらも毎日ちゃんと顔を出す三谷に、すでに推薦で合格が決まっている金子は苦笑しながらも世話を見る。

そんな光景を何気なく教室の外からあかりが眺めていると、それに気づいた金子が声をかけた。
進藤(しんどう)を探しに来たの?
そう尋ねながら金子は、ヒカルは今日も休みだーとあかりに告げる。

最近ヒカルはますます休みの日数が多くなっていた。
手合いか勉強があるのかは知らないが、受験ムード一色の学校に来ても楽しくないだろうしね・・と金子は息をつく。
ヒカルは高校には進まない。だからこの時期はどうしても周りとの温度差が生まれてしまうのだー。

そんな話をしていると、あかりの胸には皆バラバラになってしまう・・という悲しみが沸いてくる。
だがヒカルとは近所に住んでいるのなら、時々は会えるだろうー?
金子はそう言って笑い、あかりを慰めるのだったー。


同刻、理科室では今日も囲碁部の活動が行われていた。

小池(こいけ)は甲斐甲斐しく準備をし、将棋部から転向してきた少年岡村(おかむら)に一局打とう、と声をかける。
だが岡村は気乗りしない様子で、自分は加賀(かが)の命令でここにいるだけだ・・とため息をついた。

あれから色々あり、小池たちも加賀が将棋部の人間だということを知った。
そしてそのせいで岡村は加賀の命令を聞け、と将棋部を追い出されたのだった・・。

そのためイマイチやる気の出ない岡村に、小池は段々腕が上がってきてるよーとほめる作戦に出る。
特にこの前のウッテガエシは良かった!
そう言うと、岡村もぱっと顔を上げる。
おお、あれは見事に決まったー・・

だが乗せられたことに気付き、岡村はすぐに顔を赤らめる。
そしてバツが悪くなり、帰ろうと支度を始めたその時だったー。
もう1人の1年の少年矢部(やべ)が、囲碁部への入部希望者を連れてやってきたのだ。

なんでも入部希望の1年は陸上部に所属していたが、足を痛めて囲碁部への転向を考えているらしい。
しかも初心者ではなく、父親とよく囲碁を打っているらしい・・。
興奮してまくしたてる矢部に、小池も嬉しそうにうなづく。
だがその光景に、岡村は慌てた。

ちょっと待てよ!そいつが入っても、三将は自分だからな!!

彼が怒鳴ると、矢部は何を言ってるんだ、実力順だろーと岡村を睨んだ。
岡村と違い、矢部には囲碁を好きだという気持ちがある。だから彼は打てる人間と大会に出ることの方を選んだのだー。

一触即発状態の2人の間で、小池は慌てて仲裁に入る。
もう大会は岡村と矢部の名で登録してしまっているから・・。
小池はそう諭すが、矢部はそんなもの偽名で出ればいい、と意に介さない。

肝心の上島も、どっちでもいいと大会に出ることも否定しない。
その態度に岡村は苛立つが、そんな彼を矢部が一喝した。
いつもまともに活動しないくせに、今更何だ!
俺はせっかく囲碁部に入ったんだから、自分の腕を無駄にしたくない!葉瀬中囲碁部をもっとまともな部にしたいんだ!!

彼の中のフラストレーションは、知らずのうちにかなり溜まっていた。
やる気のない同級生に、自分よりも弱い部長。
矢部はそんな状況に嫌気がさし、上島に一縷の望みを賭けたいと願ったのだー。

だが、岡村も自分の存在をいらないと否定されたようで、引くことができなかった。
それなら勝負して決めよう!
彼は上島に、対局を持ちかける。

幸い上島も一度打ってみたいと言うので、勝負はあっさり決まった。
2人は碁盤を準備し、小池たちが見守るなか大会参加を賭けて戦いを始めるー

・・その結果、信じられないことが判明した。
なんと、岡村が圧勝してしまったのだ。

どうやら上島は口だけだったらしい・・。
余りの弱さに、矢部はショックで言葉もなく崩れ落ちた。

家でよく打っていても、上手くならない人もいるんだなぁ。
小池はある意味感心しながら、それでも上島を部員として迎え入れる。

だが彼らの大会参加には、まだまだ課題ばかりなのだった・・。


一方ー
あかりは学校が終わっても塾に行き、最後の大詰めに励んでいた。

受験まで後1か月・・。
金子との会話を思い出し、彼女はふとヒカルの家を見に行ってみようと思い立つ。

そうしてヒカルの家の前まで行くと、ヒカルの部屋からは灯りが漏れていた。
勉強しなくていいなんて、羨ましいなー。

思わずそう口にした時だった。
彼女は偶然買い物に出ていたヒカルの母親と遭遇する。
聞けば電球が切れてしまったので、夜なのに買い出しに行っていたらしい・・。

ヒカルに行ってもらえばいいのにー。
自分と違って勉強せずベッドにでも転がっているのだろう・・。
あかりはそう思い、少し意地悪を口にする。
だがヒカルの母親は首を振り、ヒカルはいつも遅くまで囲碁の勉強をしているのよーと明かした。

毎日毎日遅くまで勉強に励む子に、買い物なんて頼めないわー。
母親はそう言うと、あかりに手を振って家の中へと入っていく。
あかりはー再びヒカルの部屋の窓を眺めた。

ヒカルも頑張っているんだー。私も・・頑張る!!
彼女は寒空のなか、そう決意する。
そして自分に喝を入れながら、自宅へと歩みを早めるのだったー。




















中学3年の冬。

今回はヒカルが囲碁の勉強に励むなか、あかりたちも高校受験に向けて大詰めを迎える話でした。

冬ということで、中3のヒカルは本来受験ムードまっただなかのはず。
彼は進学しないので蚊帳の外ですが、周りはまさに焦りや疲れが出てくる頃で、もう見ていて頑張れーと強く願ってしまいました。

三谷もなんだかんだ金子と上手くやっているようだし、あかりも遅くまで塾に通い頑張っています。
でも成績がついてこなかったりするんですよねー。あかりなんか真面目そうだから、それでメンタルよわよわになっちゃったんでしょう。
分かる、よく分かるよー(><)

そんな中で身近に受験関係ない子がいたら、そりゃあ羨みたくもなるし・・。
と思うと、ヒカルが今学校にあまり行かないのはベストの状態なのかもしれないですね。

もちろん手合いが増えてきたのもあるでしょうが、周りのヒカルへの態度も正直今は微妙だろうからなぁ。話も合わないだろうし。
ヒカルはそういうの気にするタイプとも思いませんが、こういうときって離れるのが最良かなーと思います。

なんだか寂しいけど、人と違う道を進むってそういうことですよね。
他の棋士たちも、皆多かれ少なかれそういう環境を乗り越えてきているのだと思います。
奈瀬の番外編とか、思い出しちゃいました。

早く受験が終わって、皆で笑顔で卒業式を迎えられるといいですね。
離れちゃうのは寂しいけど、囲碁を続けていれば縁は切れません。せっかく良い仲間に出会えたのだから、卒業後もたまに顔を合わせていけるといいですね。

皆、もうすぐ閉塞感からは解放されるよ!今はとにかく頑張れ!!

 


で、そんな中囲碁部のその後も描かれました。
小池大変そうですが、なかなか楽しそうな日々を送っているなーとほほえましくなりました。

矢部が意外とやる気があったのが嬉しい発見でしたね。
そりゃぁやるからには、時間も機会も無駄にしたくないものです。
大会に出て、勝ち進むという経験をしてみたいと思うのは当然のこと。ハルには下級生も入ってくるし、これからも囲碁部が発展していくといいですね(^^)

今回の件で岡村も少しやる気が出たようだし、上島もヘッポコではあるものの囲碁は打てるのだから未来はある!笑
4人で切磋琢磨しながら上を目指していってほしいと思います。

ってかサブタイの「上島見参!」ってお前かい!!ってなりましたよねw
てっきり北斗杯予選に出てくる関西棋院の子のことかと思ったら、とんだ読み間違いw
まぁ上島くん、良いキャラだったので許しますよ。


関係や形は変わっていくけれど、囲碁を通じてつながり途切れないものがあるー。
今回の話はそんな大切なことを改めて教えてくれる話だったと思います。

ヒカルだけじゃない。周りも皆それぞれの舞台で頑張り、目の前のことを一生懸命成し遂げようとしている。
だからこそ、自身も頑張っていかなければならない。
皆が皆、どこかで誰かに励まされ力をもらっているのです。

うーん、本当やる気を引き出してくれる良い作品だ!!
次回からは再び北斗杯に向けての話に戻るでしょうか。
また受験の結果なども知れたら嬉しいです。良い報告が見られるの、楽しみにしています!!(^^)








さて、次回はヒカルサイドに話が戻り、北斗杯予選が始まる話でしょうか。

予選出場者もだいぶ固まってきたなか、やっぱり気になるのは関西棋院の少年!
ダークホースとなるのか、ヒカルたちのほうが彼を上回るのか・・予想がつかなくてドキドキしますね!

出場権は残り2枠。
ヒカル、和谷、越智、本田・・。
一体誰が勝ち残るのでしょうかー?!


次回も楽しみです☆