前回、永夏に秀策を汚されたことに怒りを覚えるヒカル。
その思いを胸にしたまま、彼は塔矢邸での合宿に参加します。

一堂に会した日本選手たち。
彼らは強敵である中韓と渡り合うために、それぞれの思いを抱えながら研鑽に励みますー!

感想です☆




北斗杯会場へ~第173局 「大将は塔矢」





※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

北斗杯3日前ー。
塔矢(とうや)邸で、ヒカルたち選手は朝を迎えた。

1日中囲碁を打ち、検討し合うー。
彼らはただひたすらに盤面に向かっていた。

そこへ、倉田(くらた)がやってくる。
彼は3人が一手10秒の超早碁で特訓していたと聞き、楽しそうだーと溜まらず部屋の中へ駈け込んでいく。
更に皆が食事をしているのを見て、自分も食べたいと騒ぐ。
初めて倉田と対峙した社(やしろ)は、倉田の自由奔放さに目を見張るのだった・・。

と、倉田も社に目を向けた。
社は急いで挨拶をする。
すると倉田は開口一番、今回の大会では社が一番心配だーと言った。

ヒカルとアキラは数は少ないけれど、高段者との手合いも経験してきている。だが社はプロになったばかりなので、それがない。
圧倒的に2人と比べて経験不足なんだー。

倉田はそう話しながら、あまり無茶な手にも出るなよ、と釘をさす。
図星をさされた社は返す言葉もなく、神妙にうなづくばかりだ・・。

その後ー出前が届いたので、まずは4人で食事を取ることになった。
倉田は社のことをよく知らないから、と彼に話を振る。
そこで社は、囲碁を目指した経緯を皆に語って聞かせた。

彼は小4のときに関西に移り、そこで関西棋院で碁を打っている人たちを見かけて、囲碁に興味をもったのだという。
その後アマ初段までは順調に進んだが、そこから伸び悩んでようやくプロになれたのだ・・。
初めて聞く社の過去を、ヒカルたちも興味深く聞く。

そうして食事を終えると、彼らは再び対局し合うことにした。
今度はヒカルとアキラ、社と倉田で取り組むことにする。
倉田は休むことも忘れないように・・と3人に注意し、明日は棋譜の研究をするといい、と話した。

韓国・中国選手の棋譜を見たことはあるか?
そう問われたヒカルは、永夏(ヨンハ)のものなら見たことがある・・と答える。
倉田はうなづき、あいつは強いだろう、とアキラを見やる。

そこでアキラは、対戦の組み合わせはいつ決まるのか、と倉田に訊いた。 
倉田は大会当日にどのチームと当たるか決まる予定だーと説明するが、ヒカルはそんなことはどうでもいい・・とそこに割って入った。
大将、副将、三将はどうやって決めるんですかー?!

すると倉田は、自分が決めるのだ、と答えた。
恐らくどのチームも順当に強い順に割り振ってくるだろう。だから対象はアキラのつもりだー。

彼はそう言うと、そろそろ特訓を始めようかーと碁盤に手を伸ばす。
そこで一旦その話は終わったのだった・・。


倉田が決めたとおり、午後はヒカルとアキラ、倉田と社で対局を行った。
倉田は初めて打つ社の実力を見極めながら、さっきのヒカルの言葉を思い出す。
大将、副将、三将か・・。

社は甘い手も見せるが、囲碁センスは高い。ヒカルも底の見えない強さがある。
彼はそう考えながらも、だがーと目を細めた。
2人共、今のところ塔矢には及ばないんだよな・・。塔矢の勝負強さにはー!!

それは一番近い場所にいるヒカルにも、分かっていることだった。
アキラの強さは、力だー。
彼は目の前で打っているアキラを見つめ、思う。

アキラは盤上で勝利をもぎ取ろうとする力がすごい。多少の不利などものともしない。
だからここまで来たのだー。

ヒカルはヨミ合いだけなら、アキラに劣らないという自負があった。だが力の部分では一歩負けていることも痛く理解していた。
今の自分に足りないもの。アキラの強さ、アキラの力。
それが自分にあればー!!
彼は焦りともどかしさを感じながら、ひたすら盤面越しのライバルに向かうのだった。




















アキラの強さ。

今回は合宿に倉田が加わり、団体戦の大将はアキラになるだろうーと明かされた話でした。

倉田!彼が来ると、一気ににぎやかになりますねー笑
締めるところは締めるけど、基本はマイペースで自由だから、メリハリがあっていい先輩だなぁと感じました。

社もアウェイの中で有名な先輩棋士に会うとあって緊張していたようだけど、ほっとしたようですね。
彼に率直に意見する姿も、なかなか良かったです。厳しく言うことは言うけど嫌味にならないのは、まさに倉田だからできることでしょう。
社もちゃんと反省したことと思います。

ここでも書いてきましたが、やっぱり社の弱みは経験数が少ないことなんですよね。
プロになって1か月ほどで選手に選ばれたことは本当にすごいけれど、実際に大会に出るとなるとやっぱりその点は弱みとなってしまいます。

そこを克服するには、とにかく打ちまくるしかないでしょう。
アキラが早碁を提案したのも、常に緊張感をもって打ってほしいと思ったからなのかもしれませんね。

今回倉田と打つ機会にも恵まれたし、このまま気を緩めずに北斗杯に向かってほしいですね。
それでも中韓選手の勢いには圧されることもあるでしょうが、気を付けているのといないのとでは大違いです。
倉田が評価するように社には確かな実力があるので、しっかりと今の自分の力を見極めて挑んでほしいと思います。

合宿は後少しー頑張れ!!




さて、それからヒカル。
こちらはやっぱりちょっと心配・・。永夏にこだわりすぎです。。

今回誰が大将かーと尋ねたのも、当然永夏を意識してのことです。
これはヒカル、永夏と戦って秀策への批判を撤回させたいと思っているのでしょうね。

倉田ははっきり大将はアキラだーと言ったけど、正式にはまだエントリーされてません。ヒカルの度胸なら、自分を大将にしてほしいーと直談判くらいはするかもしれませんね。
それが通るかは別ですが(^^;)

うーん、でも個人的には純粋に強い人と戦いたいならいいけど、怒りに任せて戦いたいというのはあまり感心しませんね。
感情が優先するとミスしやすいし、何よりチームの雰囲気だって崩れてしまいます。
ヒカルにはもうちょっと団体戦なのだ、ということをしっかり意識してほしいと思います。。

正直読者から見ても、大将はアキラで間違いないと思うので、この先ヒカルが無茶を言わないといいな、と思ってしまいます。
いずれは永夏とも対局できるときが来るはず・・。その時まで、今は牙を磨いておくことのほうが大事なのではないでしょうかー。

後はアキラがどう考えているのかも知りたいですね。
塔矢に永夏のことは聞いているから、当然意識しているはず・・。彼が永夏と戦いたいと思っているのなら、やっぱりヒカルには邪魔してほしくないのが正直なところです。

さて、この問題どうなるか・・。
もうちょっと見守りたいと思います。


ただ、ヒカルがアキラに近づきたいと強く思うようになったのは、良い傾向ですよね。
しかもちゃんとアキラの強みを分かっていて、分析もできている。
なのでこの合宿でアキラの戦う姿をしっかりと見つめ、自分とは何が違うのか、自分には何が足りないのかをしっかりと見極めてほしいところです。

ヒカルには底の見えない強さがある。彼ならできるー!
応援しています(^^)







さて、次回は合宿を終え、いよいよ北斗杯へと乗り出す話でしょうか。

約2日間、しっかりと囲碁の腕を磨いて互いのことを知り合った3人。
中韓の強豪選手たちに、彼らの力はどこまで届くのでしょうかー。

そしてヒカルと永夏の因縁はどうなるのかも、気になりますね。
ヒカルが暴走しないことー祈っています(><)


ついに波乱の幕開けなるか?!
次回も楽しみです☆