◎あらすじ◎

翌朝ー
松田（まつだ）は、物音で目を覚ました。

音のする方を見ると、そこでは柔（やわら）が1人で早朝稽古に励んでいた。
その姿を見た松田は、柔道なんて嫌だと言いながらも、身体に毎日の稽古が身についてしまっているんだな・・と感心した。

と、そこに電話がかかってきた。
松田が出ると、相手は編集長で、何か焦っているようだった。
聞けば、昨日の夜さやかが滋悟郎（じごろう）を招いて謎の会合を開いていたのだというー。

テレビでもそのことを取り上げていると聞き、松田は電源を入れた。
すると2人の目に、滋悟郎の写真が飛び込んできた。

報道によれば、昨日本阿弥（ほんあみ）家が滋悟郎を招いて食事会を催したらしい。
その際に滋悟郎をコーチにスカウトする動きがあったのではないかー。
アナウンサーの言葉に、柔の表情は歪む。

おじいちゃんが、さやかさんのコーチに・・？


ー同刻、猪熊（いのくま）家の前には今日もマスコミが詰めかけていた。
だが今日の話題は、もっぱら滋悟郎とさやかの間で何があったのかーということだ。

記者たちの問う声を聞きながら、滋悟郎は1人家でお茶を飲んでいた。
彼は面倒な取材は無視し、それよりも無断で外泊した孫娘への怒りを募らせるのだった・・。

そんな彼は、昨晩報道どおりさやかたちに呼び出されてフランス料理をご馳走になった。
食事にはさやかの父も同席し、しきりにさやかのコーチになってほしい、と懇願してきた。
だが彼は返事を濁し、帰ってきたのだったー。

そんなことを知らない柔たちは、滋悟郎の引き抜きの条件には柔とさやかの派手なデビュー戦も含まれているだろう、と予測した。
滋悟郎がコーチの条件を呑むかは分からない。でももし実現すれば、自分は今度こそ本当に1人になってしまう・・。
そう呟いて、柔はうつむく・・。

そこで松田は、思い切って遊びに出かけることにした。
遊べば少しは元気も出るだろうー。
そう考えた彼は、柔を遊園地へと連れ出すのだった。


遊園地では、2人は色んな乗り物に乗った。
だがふとした瞬間に、柔は切なそうな表情を見せる。
それをずっと見ていた松田は、ついにある決心をしたー。

彼は柔の前に立つと、このまま隠れていてもずっと同じことが続く。だから一度、柔が皆の前に出るしかないーと告げた。
柔は驚くが松田は、とにかく試合に出るんだ、と力説する。

彼は最後まで話を聞いてくれ、と柔を説得しながら、自身の案を語りだした。
それは柔が試合に出るというものだったが、その目的こそが本質だった。
彼は柔の柔道をする華麗な姿を思い出し惜しみながらも、彼女のためを思い苦肉の策として提案したー。

試合に出て、そして皆の前で負けるんだー！！

その思いがけぬ提案に、柔は眼を丸くするのだった・・。

 


















普通の女の子になるために。

今回は柔が苦しむ姿を見て、松田がある決意を固める話でした。

引き続き、松田の元に身を寄せる柔。泊まっちゃったのは、結構衝撃ですね。
でも松田もさすがに女子高生は何もしなかったようで良かったです（＾＾；）

前日の夜の、さやかたちと滋悟郎の会食は話題にはなっているものの、当の滋悟郎にはコーチを引き受ける気は無さそうですね。
話も聞く気もないようで、一旦は安心しました。

そりゃぁあれだけ手塩にかけて柔を育ててきたのですからね。まだデビューもしていないのに、さやかに鞍替えしろと言われても心は動かないでしょう。
しかも才能という面では、やっぱりまだ柔のほうが一歩上を行っています。
その力を世界中に知らしめたいーこの野望が果たされるまでは、さやかのコーチになることはないのではないでしょうか。

ただ少し不穏なのが、松田と柔の計画。
これが成功してしまうと柔への注目は一気に薄れる訳で、そうなると滋悟郎も柔を見限るかもしれません。

そうなったら将来のあるさやかのコーチになる可能性も、０ではない・・？
んーでも柔が柔道引退したら、さやかが柔道を続ける必要もなくなるか。と考えると、今回の話はここでご破算でしょうか。

まぁ元が無理がある話ですし、さやかたちも脈なしと見たら大人しくなるのではないでしょうか。
少しずつでも柔の周囲が静まり、再び元の生活が戻ってくるといいですね。
次から次に、色んなことが起こりすぎですよ、もう！




さて、その柔ですが、今回は松田と遊園地デート！
でも風祭のときと違い、柔にまったくそのつもりがないのが悲しい笑
松田はどうやら柔の中では、男とみなされていないようですね（＾＾；）

一方で、柔への思いを募らせているように見える松田。
本当、彼だけなんですよね。柔の気持ちを汲み取って考えてくれる人。それが伝わっていないのが、もったいなさすぎる！！

皆柔の柔道の才能にばかり着目していますが、松田もその思いはあるものの今は必死に抑えて、どうしたら柔が幸せになれるかを考えてくれてます。
この思い、少しでも柔が気付けるといいんですけどねー・・。


それにしても、試合に出てわざと負ける、というのはなかなか妙案だな、と感じました。
まず皆が期待している試合でさっさと負けたら、マスコミも世間も期待外れとして、柔への注目は一気に収まるでしょう。

次に滋悟郎とさやか。
彼らにはわざと力を抜いていることは見破られてしまうでしょうが、実際に遂行してしまえば2人ももう何も言えません。
愛想をつかされたり軽蔑されることはあるかもしれません。でもそれでもいいと柔が思うのであれば、彼らに柔の気持ちを伝えるには十分な機会だと思います。

さすがに初回で負けるようなことになれば、オリンピックの選考などから声がかかることももうないでしょう。
となると柔の活躍の場はなくなり、いずれは滋悟郎も自身の野望を諦めざるを得なくなります。
そうなったら、いよいよ柔が柔道を辞めることだって現実的なものとなるのではないでしょうかー。


ただこの作戦を完遂させるには、相当な演技力が必要とされますよ。
まず急に試合に出る気になるというのがおかしいので、何か理由を用意しなければなりません。

急に態度が変わって練習に身が入るのも怪しいので、普段の生活もいつも通り振舞わなければならない・・。
とにかく当日まで作戦を気取られてはいけないので、なかなか気力がいると思われます。

わざと負けたら、滋悟郎に軽蔑されるかもしれない。愛想をつかされるかもしれない。
だまし続けなくてはならないー。
柔にとってはかなり厳しい試練となりますが、そこまでして柔道を辞めたいのか、彼女の意志が問われるところです。

次回松田の作戦を聞いて、柔がどう結論を下すのかー。
まずはそこを見定めなくてはいけませんね。本気で柔道への思いと向き合い、結論を下してほしいものです。

この作戦に乗るのであれば、得るものもあれば失うものも多いです。
そこまでして柔道を辞めたい気持ちが柔の中にあるのかー。
彼女の中の柔道観、ようやくしっかりと知る機会ともなりそうですね。

まだ一波乱ありそうですが、柔がしっかり考えて決めたのなら、その決断を応援したいものですね。
これで滋悟郎の頑固な態度が少し軟化するといいなと思いつつ、次回を待ちましょうー。







さて、次回は柔が松田の作戦を聞き、それに乗る話でしょうか。

今が一番心が弱っている状態の柔。松田の作戦は、きっと彼女の心に響くでしょう。
本当に柔道を辞めたいのか、きっちり考えるチャンスともなるはずです。
彼女にはこの機に、しっかりと自分の内面と向き合ってほしいと思います。

また、さやかたちの動きもまだ収まったわけではないので、そこも気にしていきたいところ。
まだまだ柔の周囲は騒がしそうですが、ここで事態が少し動くのかー見守りたいですね。


柔は本当に柔道を辞めてしまうのでしょうかー？！
次回も楽しみです☆