前回、家康を迎える宴席の仕切り役として、集まった光秀と左介と宗易。
そこで宗易は、光秀の中の謀反の心を読み取りますー。

いよいよ不審が募る光秀。
彼は本当に、信長討ちを決意するのでしょうかー?!

感想です☆




第16席~ 「今宵はイートイット」






※以下、ネタバレあり※










◎あらすじ◎

1582年5月。
左介(さすけ)は光秀(みつひで)の家臣らと共に、家康(いえやす)を招く食事の場の準備に奔走していた。

そこで彼は宗易(そうえき)が用意した様々な変わった食材に目をむく。
宗易は南蛮、南方、琉球などありとあらゆる場所から珍味を集めてきたらしい。
全く味も想像できない食材の数々に、左介は瞬く間に興味を奪われる・・。

ふと彼は趣向を思いつき、宗易に菓子の献立は自分にまかせてほしいーと申し出る。
宗易はその提案を面白く感じ、了承するのだった。

同刻ー
その家康(いえやす)は、信長(のぶなが)の元に参じていた。

信長はすぐに、家康の足袋がぼろぼろであることに気づき、指摘する。
すると家康は、自分の暮らしは下々の民に支えられている。だから一切の贅沢を自分は自分に許さないのだーと述べた。
それが武人の正しい姿なのだーと。

それを聞いた信長は、貢ぐ対象がみすぼらしくて喜ぶ者がいると思うのか?と尋ねる。
だが家康には、その意は通じなかったらしい。
信長は話を切り上げ、光秀の待つ宴の席へと先へ向かうよう言って席を立つのだった。


饗応の場ー。
光秀は次々に食膳を家康たちに提供した。

家康の家臣たちは普段とは全く違う豪華絢爛な食事に目を奪われ、物珍しそうに口にする。
だが二の膳、三の膳と続くうちに、彼らの顔は渋くなっていく・・。
彼らは皆、普段の質素な食事の方がおいしいと感じていたのだー。

そんな家康側の思いに気づかず、左介たちは次々に料理を準備していく。
そしてついに、菓子を提供する時が来た。
左介は自信満々で、広間へと向かっていくー。

この機こそ、自分の数奇ぶりを天下に披露する時だ。
ここで家康が楽しんでくれれば、きっと自分の名は日の本一の数奇者として東海一円に語り継がれることだろうー!!
彼は期待に胸を熱くして、いざ家康たちの前に膳を並べる。

するとそのあまりに風変りな見た目に、家康側の人間たちは皆言葉を失った。
左介が用意したのは、南方の果実や桃、琵琶、美濃柿を酪・醍醐で和えたものだった。
名付けて「安土盛り」と言いますー。
彼は自信満々に説明し、いざ食べてみよーと笑みを浮かべる。

だがその瞬間、家康は左介を怒鳴りつけ、膳をひっくり返した。
彼は豪華にするにも程があるーと心の底から怒りを感じていた。
そこで光秀を睨みつけ、問いただす。

安土の者は、武人たるを忘れたか?質素こそ、正しい道ではないのか?
その怒りに、家臣の者たちも乗っかり、場はまさに荒れたものとなった。
左介に責任を取らせて腹を切らせろという声まで出て、左介は顔面蒼白となるー。

だがそこに信長が来たことで、一気に場は沈静化した。
彼は家康を見据え、部下の左介のしたことは自分のしたことと同義だ。それでもケチをつけるのかー?と問う。
家康はその真っ向から見つめる瞳を見返しーやがて唇を噛んだ。

・・ご無礼仕った。
彼は一言そう謝ると。再び宴の席につく。

信長は左介の用意した菓子を眺めると、ひょうげた食い物ではないか、と大笑いする。
場は一旦落ち着きを取り戻した。
だが皆の心の中には、それぞれの思いが渦巻くのだった・・。




















家康との一件。

今回は家康の饗応の場で、左介が彼を怒らせてしまった回でした。

家康、また癖の強い人物でしたねー。
まぁこの時代に没個性な人なんて埋もれてすぎ消えてしまうのでしょうが、それにしても癖が強い笑

ただ家臣たちからしたら、良い上司ですよね。
光秀同様、信頼は厚そうです。

それも地盤の悪いあまり質の良くない土地を治めていることもあるのでしょう。
普段から民が苦しんでいるのを知っているから、自分も節度を持って生きようと思えるー。
これが今の信長には足りないのだなぁ・・としみじみ思いました。

ただ信長の言うように、貢ぐ相手がみすぼらしくてついていこうと思うかーというのも、真実ですよね。
いくら貢いでも全然貢ぐ先がぱっとしなかったら、頑張ろうという意欲は削がれてしまいそうです・・。
だからやっぱり、何事にも節度があるのでしょうね。

信長にもそれが足りてないし、家康にも別の意味で足りてない。
ではこれから天下を取ろうとする光秀や秀吉にはそれが足るのかー?というとまた怪しいし・・うーん、この問題は奥が深くて難しい。
何が正解かというのは、今の時代でも答えは出ないような気がします。

まぁ元が1人の人間が天下を治めようとすることに無理があるのかもしれないですけどね。さすがに手に余るのかもしれません。
信長の失敗も、ここにあるのかもしれないなーと思いました。


何はともあれ、家康もまたあまり信長と上手くやれるタイプではなさそう。というより、最初から合ってなさそう笑
そんな彼が光秀にどんな影響をもたらしたのかー次回描かれるのが楽しみですね。

左介の一件でも、家康がどんな人物かというのははっきりとわかりました。
光秀のように数奇にも理解があるわけではなく、質素堅実一直。
あまりに極端な姿勢の彼に、きっと光秀は思うところがあったはずですよね。

その1つが、彼もまた信長討ちに理解を示してくれるのではないかーということではないでしょうか。
特段信長に対する尊敬の念もなさそうなので、家康は今後光秀が天下を取った場合にはすんなり受け入れてくれそうな感じもします。
そうなると、家康をどう重用するかーなども光秀の頭の中では考えられたかもしれません。

あるいは面倒そうな奴だ、と疎まれるか・・。
今回の一件、左介にとってはショックだったでしょうが、他の者たちからしたら家康の性格をはっきりと捉えてくれる好機でもありました。

次回それを踏まえて、光秀や宗易はどう動くのかー。
見守っていきたいと思います。

それにしても、ここのところ左介にはいいところなし。
おまけに秀吉や光秀とはうまくやっていけそうですが、この調子だと家康の世が来たときに彼の未来は暗雲が漂いそうで不安です。

頑張れ、左介笑










さて、次回は家康との一件で、周囲が動き出す回でしょうか。

かなりショッキングな場となってしまった饗応の機会。
しかし家康という人物の考えや人となりもかなりはっきりしたので、心の内に企みを秘める者たちからしたら、今後動きやすくなったようにも思われます。

信長討ちを間近に控えて、光秀や宗易に動きはあるのかー?
次回も楽しみです☆