前回、方舟の注水を開始した花たち。
一方嵐たちも、出口へと急ぎます。

そんな中、花に突っかかる涼に、まつりはついに向き合おうとします。
2人の関係は、どうなっていくのでしょうかー。

感想です☆



空の章10 「-本質ー」




※以下、ネタバレあり※








 <現在地>  
・花・ナツ・蝉丸・朔也・・佐渡
・藤子・ちさ・・佐渡
・ひばり  ・・佐渡
・ハル・角又・小瑠璃・あゆ・嵐・新巻・・佐渡
・のび太・蛍・秋ヲ・鷭・・鍵島

・安吾・涼・まつり・・佐渡
・源五郎・茜・虹子・ちまき・牡丹・蘭・刈田・・鍵島

・百舌・・鍵島へ?

・くるみ・流星・・鍵島  




◎あらすじ◎

いよいよ注水が開始したー

ここからは、機能が正常に作動することを祈るしかない。
4人はそれぞれ、方舟の動向を見守った。

ナツは、外の風景が映っているモニターを見つけた。
どうやら扉は正常に閉まっているようだ。
横には、水の量が分かる目盛りもあった。

その目盛りを見て、蝉丸(せみまる)は息をつく。
時間がかかりそうだな・・。

花(はな)は不安を感じていた。
本当に大丈夫だろうか。
ちゃんと浮き上がって天井が開いて、そのまま海上に出られるのだろうか。

一か八かなんて、馬鹿なことをしているのではないだろうかー

だが考えても、もう遅い。
花は頭を切り替えて、嵐(あらし)に注水を開始したことを報告した。

嵐の方は、煙が少し来ているところだった。
新巻(あらまき)が扉を閉めようと、奮闘している。

ここを閉めるから、先に行っててー
そう彼が言うのを聞き、あゆは何でよ、と眉をひそめた。
すぐさま彼女は新巻に並び、一緒に扉を閉める。

2人でやった方が早いでしょ。どうして先に行けとか言うの。
そう言われて、新巻はたじたじになる。
2人はその場を離れて先を進もうとしたが、その時新巻は扉が開いてくるのに気づく。

どうやら勝手に開いてしまうようだ。
これでは隙間から煙が入ってしまう・・どうしようかと考えていると、あゆが荷物から蜘蛛の糸を取り出した。

彼女は角又(つのまた)の彼女が残してくれたものだと話しながら、その糸で扉同士を結び付ける。
そうして彼らは逃げることにした。
だがどこへ向かう・・そう思案したとき、エレベーターでの避難を呼びかけるアナウンスが入る。

本当にエレベーターで上がれればいいのに・・
そう嵐が息をつくのを聞いて、角又はあることを思い出す。
彼はすぐに、ひばりと朔也(さくや)にケーブルカーの場所を知らないか、と尋ねた。

すると朔也が、東の端っこにあった、と返す。
それを聞いたひばりが地図を確認し、下まで一番距離の短いところに造られていることを説明する。
そこで、角又はそこを目指そうと提案した。

ケーブルカーは動いていなくても、地上まで一直線に線路が走っているなら、そこを行くほうが早く地上に出られるのではないかー
幸い、東の方は火災からも一番遠かった。

だが問題は、そこまでどうやって行くかだ。
ひばりは地図を見ても、よく分からないと言う。
朔也が、大柱群のコンコースを突っ切って行くのが一番早いだろう、と話した。

けれども、そこまでどうやって行くのかも分からないー
あゆが苛立った声をあげる横で、ハルがひばりに声をかけた。
彼は何か音を出してくれないか、と彼女に頼んだ。

目印の音を立てて誘導してほしい・・
それを聞いたひばりは、電話のマークに気付き、それをタッチしてみる。

すると、どこかで電話が鳴るのをハルがキャッチした。
そこまでまず行って!
ひばりに言われ、彼は耳を澄ますー

そうして彼らは、その音を頼りに進み始めた。
ひばりが道順に、電話を鳴らしていく。
出来る限り、来た道は塞ごうー
他のメンバーは、板などで煙の侵入を防ごうと動いた。

角又がひばりに、自分も早めに逃げるように、と注意を促す。
ひばりは大丈夫だから、と言い、早く先に進むよう言うのだった。

そうしてハルの耳を頼りに、皆は東に向かった。
蜘蛛の糸を使ったり、皆で支え合ったりしながら、彼らは進んでいく。

時折、小瑠璃(こるり)は周囲の様子を窺った。
何を見てるのーハルに問われ、彼女は答える。
風ー


一方まつりは、涼(りょう)に向き合っていた。
そういうのダメだよ、やめようよ。
彼女は考えながら、ゆっくりと話した。
いくら嫌いな人でも、嫌なことばっかり言ってる。

傷つけるのを分かって言うのはダメだよー
そう言われ、涼は眉をひそめる。
勿論傷つけるつもりで言ってる。悪いか。

そう返されたまつりは、それでも続ける。
こんな生き死にが分からないときに、皆一生懸命な時に、命掛かってるときに痛めつけるなんて、ダメだー
彼女は勇気を振り絞って言う。

そういうのって、相手だけが傷つくんじゃない。
嫌いな気持ちをわざわざ膨らませるのは、自分のことも傷つけるのだー
そう言うと、涼は苛立った声を放った。

おい、まつり。
その声の調子に、まつりは背を縮こまらせる。
お前、俺に指図するつもりか?

偉そうに俺に意見するのかよ。
そう言われ、まつりは考える。
違う。うまく言えないけど・・

彼女は必死で考えた。
傷つけてざまあみろって思ってるの、横から見てるとかっこ悪いよ。
涼は頭が良くて何でもできるのに、本当は優しくて皆を引っ張っていける人なのに、そういうの分かっていないのはダメだと思うー

まつりは、そうはっきりと気持ちを伝えた。
その真っすぐな瞳を、涼は真っすぐに睨み返す。

ふざけるなよー
彼は言った。
自分の思う通りでないと、気に入らないってわけか。
馬鹿にするなよ・・

彼はそう言うと、まつりが話すのも聞かずに背を向けた。
その様子を安吾(あんご)が呆然と見ているのに気づき、涼は彼の頭を殴る。

そんなに怒るのも珍しいなと思って・・
安吾は呟いた。

残されたまつりは、大粒の涙をこぼした。
言わない方が良かった?そりゃそうだよね。怒ったよね。
嫌われた。すごい怖い顔してた。もう嫌われたよねー

涼のことを思い、まつりは大声で泣いた。
でもはいはい言って馬鹿で可愛いとか嫌なんだもん。
昔はずっとそうだったけど、今はナツとちゃんと話してるもん。
そういう人になりたいから、ああいうのイヤなんだもん。

彼女の叫びを聞き、ナツも泣いた。
そうだよねー花も、うなづく。
ちゃんと突っ込んで話しないと、本当に信頼できる関係にはなれないんだよねー

そうして女性3人が泣くのを見て、蝉丸は戸惑う。
よく聞こえないけど、大丈夫かなー嵐も心配する。


そんな彼らは、いよいよ大柱群のコンコースに到着していた。
さっきまではなかった風が、そこには強く吹いていた。
排煙しようとしているのだー
そう言いながら、小瑠璃は上方を見やる。

ひばりがそこを東まで突っ切るように皆に言う。
この辺りは地面が穴だらけで、暗いし水がたまっているから気を付けてー
そう話しながら、新巻は先頭に立つ。

あゆが、コンコースの上方に開く大穴を見て、これは何?と尋ねた。
一つだけ閉めなかった縦坑で、きっと地上まで続いている・・
嵐がそう説明するのを、小瑠璃も一緒に聞く。

道は途中、崩れて壁になってしまっていた。
新巻はそこをよじ登ると、蜘蛛の糸を渡すよう言う。
その様子を見て、角又はえらく元気になったな・・と息をついた。

そうして彼は、嵐に話しかけた。
嵐くん、もしかしたら思ってるのとは少し違うかもしれないー
彼は言った。

新巻は子供の頃から野球を始めて、すぐに才能が開花した。
甲子園を目指し、実際に1年から出て話題になった。
そんな目標のはっきりした人だから、きっとその人生も何のために何をすべきかはっきりした人生だったはずだ。

それは尋常じゃない努力だっただろう。
それを毎日、こつこつこなしてきたー
角又の言葉に、嵐もうなづく。

すると角又は、こっちの世界に来てそれがなくなったんではないだろうか・・と言った。
新巻のような人には、ただ生きることは目標にはならない。
野球のような目標・・敵が彼には必要だったのではないか。

困難な状況をクリアするのが喜びなのだー
その言葉に、嵐ははっとする。

花を助ける形で死ねるのが、嬉しいのだと思ってた。
でも実際は、障害に出会うことが嬉しかったかもしれないというのかー?!
花を助けて、死ぬことすら目標・・
突拍子もない話に、嵐は息を呑んだ。

その証拠に、今彼は楽しそうだー
角又はそう言い、新巻に声をかけた。

あんたは自分で自分のこと分かってないのかもしれないけどー
角又は叫んだ。
あんたはきっと守護者と違って、狂戦士なんだー

そう言われても、ゲームをやらない新巻にはぴんと来ないようだった。
まあでも、だから大丈夫だ・・角又は嵐にそう笑う。
新巻はそんなやわではない、ただ今はペットロスなだけなのだ、と。


そんな中、新巻はせっせと皆を上に引っ張り上げていた。
苦戦するハルに、彼は必死に声をかける。
大丈夫。絶対皆を連れてここを出るからー!!

そう叫ぶと、あゆが恩着せがましい、と注意した。
皆で協力して、一緒に出ようー
そう言われ、新巻はまたたじたじになる。

彼は吹雪(ふぶき)の言葉を思い出しながら、皆に手を伸ばした。
ー鷹(たか)、野球をすることと生きることは同じだ。
いつでもお前が戦う場所、そこが甲子園だー
彼は嵐を引き上げると、満足そうに上を見上げるー

その様子を見て角又は、まあもうちょっと複雑なんだろうけど、と呟いた。
そんな彼を、嵐はすごい人なのだな・・と思う。

行きましょうー
新巻の掛け声で、皆移動を始める。


そのやり取りを方舟で聞いていた花は、涙ぐんでいた。
頑張れ、皆頑張れー

一方方舟の外は、半分ほど水が埋まってきていた。
ペルがいる辺りまで水が来てしまった・・
ナツはそう呟き、彼のことを心配する。

ペルは水に浸かりながら、機能が停止するのを感じていた。
大丈夫、壊れても直してくれるから。
そうやって長いこと長いこと、働いてきたんです。
まだまだ掃除したいので、よろしくお願いしますー

彼はそう言うと、目を閉じた。
じゃあ、またねー


モニターからは、ペルが水の中を漂っていく姿が映っていた。
それを見て涙ぐむナツを、蝉丸は後ろから抱きしめる。

ふと、方舟が大きく傾いた。
どうやら浮いたようだ。

これで地上に出れるー
そう思ったのも束の間、彼らは異変を感じた。

天井が・・開かないー?!




















相手を知ること。

今回は脱出する中で、皆がそれぞれの本質の部分に触れる話でした。


まずはまつりと涼。

まつり、はっきりと自分の思いを伝えましたね。
本当に、勇気ある素晴らしい行動だったと思います。

涼も、本心ではあんなこと思ってなさそうなのになー・・。
どうして口から出してしまうのでしょう。

一つは安吾を思ってなのでしょうが、今の安吾はもう吹っ切れている感じなのでそこまでする必要はないと思うんですけどね。
まだ消化しきれない思いがあるのか、元の性格なのか・・

難しいですね。


ただ安吾の言うように、あんなに感情をむき出しに怒る涼は初めて見たので、まつりの言葉は効いたと思います。
彼女といることを良く思っているようだったし、案外ショックだったのではないでしょうか。

まぁプライド高い人なので、あっさり謝ったり非を認めたりはしないでしょうけどね。
でもこうやって感情を出して向き合える相手ができたということは、涼にとっては変化なのかもしれませんね。


まつりの思い、見ているこっちにはよく伝わりましたよ。
決して涼を非難しているわけではなく、彼の身も案じて意見しているんですよね。
そこに彼女の優しさを感じました。

だから涼にも、きっと気持ちは伝わると思います。
女性同士、思いを共有し合って泣くのも、青春って感じですごく良かった!!

まつりはどうやら涼を見放したりはしないようなので、後は涼がどう出るかですね。
絶対まつりを離したりはしないと思うんだよなぁ・・。

どんな展開になるか、ドキドキです。





さて、続いては新巻。

これで彼の話も、完全終了でしょうか。

なるほど、目標を失っていた・・という側面もありそうだな、と角又の話を聞いて思いました。

ある意味夏のAチームの皆と一緒だったのかもしれませんね。
彼らもこの世界に来た当初は、目標を失って抜け殻状態になっていました。

それが目標を見つけ、生き生きしだしたのです。
新巻もちょっと斜め上ですが、その目標が花を守る、だったのかもしれないですね。
その過程で障害に会うのは、むしろ彼にとって喜びだったと・・。

うーん、それはちょっと気付けないわw


ただその性質が分かると、新巻が前に出ていくのも納得がいきますね。
人には見えない部分で、色んなものがあるんですねー。

それを一蹴しちゃうあゆが、またウケるw
やっぱりベストカップルですよ。


まぁ嵐に釘も刺されたし、あゆにも怒られたし、源五郎との約束もできたし、もう彼も下手な考えはもたないでしょう。

源五郎や秋ヲと共に、新しく作る生活を引っ張っていけるようになるといいですね。
とりあえず元気そうで、安心しました。

無事、脱出できますように。





最後に、方舟側について。

今回もペルとの別れにまた涙が・・。
可愛かったな、ペル・・。


そして再び、問題が起きた様子。

これは以前懸念した、小佐渡が沈んだことで、天井側に歪が生じて動かないパターンでしょうか。
ここまで来て、皆も避難している中で、この展開はキツすぎる・・。

どうにか方舟の中から操作できないものなのでしょうか。
このままでは避難も遅れ、生き埋めになってしまう可能性もあります。

また花が、前線に立つんだろうなぁ・・。
これ以上危険なことにならないといいのですが。


どうか無事に天井が開き、地上に出ることができますように。
不安ですが、祈っています。





さて、次回は方舟脱出の方法を模索する回でしょうか。
頼みのペルも失い、天井を開ける方法は自力で探りださなければなりません。

火も迫り時間もない中、彼らは解決策を見出すことができるのでしょうか。

次回も楽しみです☆