前回、脱出に急ぐメンバーたち。
そんな中、嵐は前に進めず、死を覚悟します。
しかし、そこで、小瑠璃がグライダーで動き出しますー
全員脱出は、なるのでしょうか?!
最終回、感想です☆
最終章3 「-今日、そして明日ー」
※以下、ネタバレあり※
<現在地>
・嵐・・佐渡
◎あらすじ◎
目覚めたとき、自分がいたのは天国でも地獄でもなく、泣くしかない現実の中でした。
でもそこには、皆がいたんですー
安吾(あんご)たちは、崖を登った。
後少し・・涼(りょう)はまつりを支えながら、進む。
藤子(ふじこ)とちさも、脱出を始めた。
彼らは天井が崩れ出したのを見て、早晩地価は全て埋まるだろう‥と予測する。
皆、早く上がってこいー!!
2人はそう祈った。
嵐(あらし)は、どんどん崩れていく中を、縦坑まで必死に走っていた。
そんな彼の元へー小瑠璃(こるり)は飛ぼうと構えていた。
グライダーを背負った彼女の姿に、ハルは何をするつもりかと叫ぶ。
ここは地下なのだー。
だが小瑠璃は、地下だけどいい風が吹いている、と言った。
外に出たら笛を吹いてくれる?それを目指して降りていくからー
彼女はそう言うと、飛び立っていく。
ハルはその姿を、ただ見送るしかできなかった・・。
他のメンバーは、小瑠璃が一人で行ったことに驚く。
その時、ハルは嵐に、縦坑で待つように通信を入れた。
花(はな)-
彼は叫ぶ。
大丈夫だ、小瑠璃が行った!!
その言葉に、花は目を見開いた。
新巻(あらまき)や角又(つのまた)は、なぜ彼女を一人で行かせたのか、とハルに問うた。
今からでも止めたほうが・・そう話す2人に、ハルは首を振った。
止めない・・止められない・・
彼には、小瑠璃の気持ちが分かっていたのだ。
小瑠璃はずっと、間に合いたかったんだ・・!!
その言葉の通り、小瑠璃は強い意志で飛んだ。
今度こそ、間に合う・・繭(まゆ)ちゃん・・!!
あゆが、大丈夫だ、と言った。
夏のAは、無茶はしない。小瑠璃が行ったのなら、それは彼女が飛べると判断したからだー
その言葉に、ハルもうなづく。
そうして彼は、地上に向かって線路を登り始めた。
早く行って、外で合図の笛を鳴らさなきゃ・・。
そう言って登っていく姿を見て、角又は大人になって・・と笑みを浮かべる。
新巻も納得し、後を追うのだった。
一方花は、ハルの言葉を反芻していた。
小瑠璃が行った・・
彼女は、以前も小瑠璃が水に流される際に自分を助けるために駆けつけてくれたことを思い出し、涙する。
どうか、どうか・・。
花は心の底から、祈った。
方舟は上昇していた。
それに伴い、お掃除ロボットの通信が、段々途切れがちになっていく。
恐らく距離が離れていっているからだろう・・。
蝉丸(せみまる)が花に、今のうちに喋っておけ、と言った。
花はうなづき、嵐に話しかける。
すると嵐も、話し続けて、と彼女と会話することを望んだ。
そこで花は、経ヶ岳シェルターでのことを語りだす。
あの時、水没したシェルターにロープを張ってくれたのは、嵐でしょうー?
彼女にそう訊かれ、嵐はうなづく。
お陰で奥まで行けて、物資を手に入れることができてありがたかった・・。
花はそう言い、笑った。
勇気のある人が、潜って張ってくれたんだと思ってたよー
彼女の言葉に、嵐もほほ笑む。
それから、花は「ロビンソン・クルーソー」の話もした。
あの破られたページを見たとき、初めて嵐かもしれないと思った・・
彼女はそう話し、その後別の島で絵と共に掘られていた夏のBの名前を見て、嵐が来ていることを知ったのだ、と明かした。
どれほど嬉しかったか・・。
花は涙ぐむ。
嵐も、花の存在に気付いたときのことを話した。
彼は秋の村で手紙をナツが見つけてくれたことを伝え、花の字を見て奇跡だと思った、と語った。
どれだけ嬉しく、生きる力になったかー
そう言って2人は、もうすぐ会えるね、と声をかけ合う。
彼らは、通信の声がどんどん遠くなっているのを感じていた。
嵐はナツと蝉丸にも、言葉をかける。
それから彼と花は、じゃあ後でーと互いに言った。
最後に、花は思いを伝える。
ちゃんと言ったことなかったけど、愛してるからねー
その思いを受け、嵐もほほ笑み、言う。
うん、俺も愛してる。ずっと、ずっと・・
生きてても死んでてもー
彼はその言葉は、呑み込んだ。
ジェミニは、もう完全に通信がつながらなくなってしまった。
いよいよ方舟は海に出たのかもしれない・・
揺れる可能性がある、と彼らは手近なものにしがみつくのだった。
一方嵐は、ようやく縦坑の下にたどり着いた。
彼は壁を登ろうと試すが、もろくて無理だった。
そこで嵐は、一旦休むことにする。
そもそも、自分はここに何をしに来たのだったか・・
彼は疲れた体でダイを抱き、考えた。
そうだ、安吾と一緒に行方不明になった皆を助けようと思ったんだ。
彼は、知っている人もまだ出会ってない人たちも、皆無事だろうかと思いを馳せる。
それぞれに、誰かが誰かを助けようとしていた・・。
嵐は小瑠璃はどうやってここへ来るのだろう、と考える。
きっと無理だろう・・
そう思ったその時だった。
彼の目に、グライダーが飛んでくるのが見えた。
そこには、小瑠璃の姿があった。
嘘・・嵐は思わず、そう声をあげる。
小瑠璃は嵐を見つけ、叫んだ。
嵐くん、掴まってー!!
その声に、嵐は急いでグライダーに飛びつく。
そのまま、グライダーは浮上しようとした。
縦坑を2つ閉めたおかげで、風が集まっている。
排煙のために吹き上げた風に、彼らは押し出されていくー
上がれ!上がれ!
2人は祈った。
すると、グライダーは急浮上する。
恐怖に嵐は悲鳴をあげるが、小瑠璃は重心を移動させないよう彼に指示した。
上がってはいるが、思ったより重い・・
彼女は焦りを感じる。
その頃、崖を登っていた安吾は、嵐の身を案じていた。
自分の身の心配だけしてろー
涼は、彼を怒鳴りつける。
ケーブルカーの線路を登る一行は、果てしない階段に息をすっかり切らしていた。
ハルは見かねて角又の荷物を減らすよう声をかけるが、角又は断固として抱えて登る、と言い張った。
これは連れて行かないといけないー
彼の言葉を聞き、あゆはその意味を考える。
ハルもまた、小瑠璃の荷物を持っていたので足取りが重かった。
気づいた新巻が、半分荷物を預かる。
後少し、行きましょうー
彼は真っすぐ、上を見上げる。
小瑠璃と嵐は、グライダーの上昇が止まったことに気付いていた。
重すぎて、風が足りないー!!
小瑠璃はどうすべきか、考える。
とりあえず、嵐と新巻の荷物は捨ててもらうことにした。
そのおかげで少し浮上するが、まだ足りない。
上方が少し明るくなってきたから、外は近いはずなのに・・
小瑠璃は動揺する。
まだ重い。これだと上まで上がりきらない・・
彼女は嵐を見やり、ある選択肢にたどり着く。
迷いながらも、彼女は言う。
犬を・・
その意味に、嵐は青ざめる。
すると、ダイが突然嵐の腕から飛びぬけ、落下していった。
驚いた嵐は叫ぶが、その瞬間グライダーは上昇する。
地下でちょうど爆発が起き、その爆風で彼らは大きく舞い上がった。
小瑠璃は必死にグライダーをコントロールしようと、体を動かす。
嵐は訳も分からず、ただ必死にしがみついていた・・
その時、小瑠璃は目の前が明るくなるのを感じる。
その眩しさに、彼女は思わず目をつぶった。
グライダーは・・外に出たー
小瑠璃は目を開け、目の前に空が広がっているのを確認する。
外に出た!!
彼女はすぐさま爆風に引き込まれないように、縦坑から離れていく。
そんな中、嵐もそっと目を開けた。
そして彼はー眼前に広がる光景に、息を呑む。
森や川が広がり、太陽の光がまぶしい。
外だー!!
彼は脱出できたことを実感し、涙をこぼす。
その後、嵐は少し戻ってほしい、と小瑠璃に頼んだ。
彼はダイと自分を、ロープで結んでいたのだ。
無事だった・・手繰り寄せてダイを引っ張る嵐を見て、小瑠璃は安堵の息をつく。
それから彼らは、更に高く飛ぶことにした。
佐渡はどうやら二重構造になっているらしく、上にまだ地面があった。
そこまで飛んだ2人は、目の前に広がる光景に目を見張る。
すごい、これが佐渡・・
一方ケーブルカー組は、ようやく線路の終点までたどり着いた。
あゆが植物の咲く向きを見て、その後の道を推測する。
その方向に足を進めていると、ふとハルは音楽を聴いた気がして立ち止まった。
彼が耳を澄ますと、確かに音楽が聞こえてくる。
交響曲だー
たくさんの楽器の音が聞こえる、と彼は小走りに先を急いだ。
そうしてー一行もまた、無事に外に出た。
目の前に広がる森に、澄んだ空気に、彼らはしばし戸惑い言葉を失う・・。
ハルは、全身に音を迎え入れた。
風の音、水の音、鳥の声、虫の羽音、葉ずれの音、何かが歩く音・・
彼は両手を思いっきり伸ばした。
交響曲が聴こえるー
同じ頃、ひばりも地上へと急いでいた。
だが彼女は途中で煙に巻かれ、息苦しさに跪いてしまう・・。
するとそこに、新巻たちの子犬がやってきた。
彼らに引っ張られ、ひばりはどうにか外へと脱出する。
そこには、馬も待機していた。
彼に引かれ、ひばりは佐渡の上部へと上った。
その瞬間ー龍の玉が、音を立てて転がる。
そのまま、玉は元の龍の穴に、すっぽりと収まった。
ひばりはそれを見て、祖母のことを思い泣くー
外に出たハルは、すぐに小瑠璃たちの姿を探した。
すると、上空に彼女のグライダーが見えた。
それを確認したハルは、思いっきり笛を鳴らす。
その音は、小瑠璃の耳に届いた。
彼女は方向に当たりをつけ、一気に着地に向かう。
相変わらず下手な着地で、彼らは地面に滑り落ちるのだった。
そうして無事にグライダーを降りた嵐は、小瑠璃に礼を言う。
何度もありがとうと頭を下げる彼を見た小瑠璃に、急に実感が沸いてくる。
間に合ったんだ・・
彼女の瞳に、涙が込み上げた。
そのまま、彼女は地面に突っ伏して泣く。
間に合ったよ、繭ちゃんー
そこに、ハルが駆け込んできた。
新巻もそれに続き、嵐の姿を見て声をあげる。
彼らはそれぞれに抱き合い、無事を喜び合うのだった。
一方、安吾たち3人も、ようやく崖を登り終え、外に出ていた。
陽の光を浴び、新鮮な空気を吸いながら、彼らは暫く地面に横たわって体力の回復を待った。
そしてー方舟組も、ようやく海面に出た。
浮いた感触に気付いた4人は、歓声をあげる。
モニターに映る外の景色に、ナツはこみあげてくる涙を抑えることができなかった。
彼らは早速、ハッチの扉を開けた。
すると目の前には、広大な森が広がっていた。
ここが佐渡・・
空気の濃さに4人は思いっきり息を吸い込む。
外だ・・
ナツはまだ信じられず、呆然とした。
空気が全く違う。あったかくて湿っぽい、緑の匂い・・
外だー
次第に実感が沸き、彼女は大粒の涙をこぼす。
方舟は錨が出るようなので、彼らは降りる準備を始めた。
蝉丸は花の様子を見て、すぐに嵐を探しに行きたいのだろう、と察する。
花もうなづき、縦坑の出口を探しに行くつもりだーと語った。
そうして彼らは方舟を降りると、駆け出した。
嵐と小瑠璃の無事を願い、4人は走るー
その時、花!!と呼ぶ声を聞き、花は足を止めた。
少し小高くなった丘の上ー
そこに、嵐はいた。
2人は驚き見つめ合い、やがてー笑みを浮かべる。
そのまま花と嵐は、満面の笑顔で向かい合った。
彼らが歩み寄るのを、ナツや新巻は温かく見守った。
その横を、鳥たちが一斉に羽ばたいていくー
角又はその光景を見て、詩を口にした・・。
江は碧にして、鳥はいよいよ白く
山は青くして、花は燃えんと欲す
今春看みす又過ぐ 何れの日か 是れ帰年ならんー
その杜甫の詩を詠み、彼は思った。
杜甫は一体いつ故郷に帰れるのだろう、と言った。
でも、自分たちはもう帰れない・・。
二度と帰ることはないのだ・・と。
けど、あんたに会えたからよしとするわ、理可子(りかこ)さんー
角又はそう、ほほ笑んだ。
皆それぞれに、再会や出会いを喜び合う。
そんな中ー角又の様子を見ていたあゆは、彼に声をかけた。
角又さん、わたしあなたもなかなか良いと思うのよ。候補に入れていいかしらー
彼女にそう言われ、角又は思わず固まる。
候補というのは、例の・・
戸惑う彼に、あゆはうなづく。
一人目の子供は新巻と作るつもりだけど、2人目はあなたでもいいかなと思うのよー
そう話す彼女の真面目な物言いに、彼は思わず吹き出した。
いいよ、入れといて。
そう笑いながらも、彼はあゆに話す。
でも一人目を新巻と作ったら、きっと2人目も新巻と作りたくなるものだ、と。
それを聞いたあゆは、そういうものなの?と首を傾げた。
そこに、まつりの大きな声が響いた。
反対の丘から、安吾たち3人が顔を出す。
嵐の無事な姿を見て、安吾はほっとする。
ナツとまつりは、再会を泣いて喜んだ。
安吾はー後ろに降ろした茂(しげる)を見やった。
もう原型はないぞー涼にそう言われ、彼は分かってる、と埋める準備をする。
するとそれを見た角又が、待て、と止めに入った。
彼は墓の場所は大雨が降っても流されず、日当たりがいいところを探してから埋めたほうがいい、と助言する。
それから角又は、自分も埋めたい人がいるから、一緒に供養するのでもいいかー?と安吾に尋ねた。
それを聞いた小瑠璃が、自分も埋めてほしいものがある、と駆け寄る。
彼女は抱えていた小石を見せ、皆を坑道から連れて来たのだーと角又に話す。
角又はうなづき、石には魂や色んなものが宿るから、一緒に供養しよう、と約束する。
ありがとう・・
そう言って、小瑠璃は目の前に広がる風景を見つめた。
繭も雹(ひょう)も他の皆も、この島のどこかに埋まっているんだね・・。
彼女の言葉に、安吾もうなづく。
皆、ここにいる。一緒に来たんだ・・。
彼は呼びかけた。
茂、繭、未来に来たぞー
その頃ー鍵島では、全メンバーが地下で集結していた。
彼らはくるみの無事を確かめると、この先をどうするか・・と頭を悩ませる。
地上に出るには、大蟻の大群を超えていかなければならない・・。
道の先にうようよしているその姿を見て、皆眉をしかめた。
刈田(かりた)も、百舌(もず)のことを思い出し、顔を青くする。
皆さん、手を出しちゃだめー
蛍(ほたる)が言い、彼女は蟻たちに向き合った。
するとその中の1匹が蛍に触れ、それを合図に群れが引いていく・・。
驚く皆の中で、蛍はある可能性に気付き、頬を上気させた。
もしかして、一緒に働いたから、仲間認定してくれたのかしら・・。
彼女の言葉に、源五郎(げんごろう)もうなづく。
蟻の巣には色んな生物が同居していて、なぜか襲われることがないのだー。
そこで、彼らはゆっくりと進んでいくことにした。
牡丹(ぼたん)がここを出たら船の操縦が必要だから、誰か手伝ってほしいーと声をかける。
すると虹子(にじこ)が、習ったことがあるから、と即座に手をあげた。
あなたたちは、本当にたくましいことー
牡丹はそう笑い、行こう、と皆に声をかけるー
一方佐渡では、藤子とちさも皆の元に合流していた。
それから、ひばりと新巻の子犬たちもやってきた。
子犬たちはすぐに新巻に群がり、彼の頬を舐める。
その温かさに、新巻は心からの笑みを浮かべた。
と、そこにぞうとらいおんまるがやってくる。
ついに、全てのメンバーが同じ場所に集まった。
鷭(ばん)と藤子、ちさと秋ヲ(あきを)、ナツ・蝉丸と蛍・・
皆がそれぞれに再会と出会いを喜び合う姿を見て、牡丹はほうっと息をついた。
不思議・・皆地下に入る前と、顔が全然違う・・。
彼女がそう呟くと、蘭(らん)もうなづいた。
秋のチームもそうだ、顔つきが違う・・。
そう彼女は話す。
すると牡丹は、あなたもでしょー?と笑った。
蘭と虹子は、その言葉に今までの出来事に思いを馳せる・・。
暗くて長い道をさまよって、苦しんで傷ついて救って救われて、光の中に出た。
まるで産道を抜ける、赤ん坊のようにー。
牡丹は言った。
産まれてきたのね、もう一度・・。
この世界で生きるために、ここで生きていくために・・
ふと、蝉丸がナツに言った。
言おうと思ってたんだけど、お前作家になれよー
その言葉に、ナツは目を見開く。
驚く彼女に、蝉丸は語った。
ナツは本を読んでいるし、漢字なんかにも詳しい。
新しい小説を書くまでいかなくても、思い出せる話をまとめたりしたらどうだろう。
新(あらた)にも絵本がいるしー
彼がそう言うと、ちまきが挿絵を描こうか、と提案する。
作家・・
驚きながらも、ナツは胸の内が熱くなるのを感じた。
そんなこと、考えたこともなかったー
その後、蝉丸は涼に向かっていった。
彼が以前自分たちを殺そうとしたことを問いただそうとしたのだ。
だが彼は呆気なく、涼に背負い投げされてしまう。
と思ったら、その涼を今度は刈田が投げた。
隙だらけだー
そう言われ、涼は頭を抑える。
どうして殺そうとしたんだろうな・・。
彼は小さく呟いた。
安吾が、要(かなめ)はいないんだな・・と息をつく。
花もまた、要のことを思いうつむいた。
めーちゃんは、来ないんだ・・。
その夜、一行は当面のことについて話し合いをした。
まずは地形やあらゆる事象を詳しく調べるべきだー
源五郎が中心に立ち、そう話す。
何が食べられるか、どれだけの種があって、どれだけの個体がいるのか。
植物や動物を、捕り尽くさないように気をつけなきゃ・・
あゆも言う。
年間の気候が分かるまでは、住居も建てられない、と蘭も話した。
降水量と、どこが決壊するかも確かめなければ・・。
虹子が蘭の言葉に、続く。
佐渡自体、まだ住めるのかも分からない。
それにこんな大人数が生活を始めたら、水も土も一気に汚染してしまうことになる。
彼らは様々な問題点を話し合った。
それを聞いていた牡丹は、ほほ笑む。
旅とサバイバルの日々だったのに、これからは日常の生活になっていくのねー
その言葉に、蘭は同意する。
それが一番重要なことだ。たとえ何度やり直すことになったとしても、ここにあるものを大切にして、当面この地で暮らしていこうー
彼らはそう結論づけるのだった。
話し合いは、そこでおしまいだった。
皆、疲れでうとうとしだしたのだ。
気が付くと、身体は泥のように重かった。
皆、ほとんど死んだようにその日は眠ったのだった・・。
翌朝、花と嵐は2人で仲良く眠っていた。
目が覚めても、嵐がいる・・
花はその幸せを、心の底から噛みしめる。
皆は生活を始めよう、と動き出していた。
そんな中、安吾と涼は少し離れたところで、静観していた。
いつかちゃんと話をしようー
花はそう、決意する。
蛍が、再び安吾の手相を見に行った。
根負けした安吾が手のひらを見せると、あら、と蛍は眉を上げる。
それから彼女は嬉しそうに、広い世界が待っているようだーと彼に話した。
嵐は茜(あかね)と共に、海に貝などを捕りに行った。
そこで、彼は手紙入りのビンを見つける。
戻って早速開けると、そこには英語で書かれた手紙が入っていた。
蘭が翻訳しながら、読んでくれる。
親愛なる日本の友達、嵐へ
その書き出しに、嵐は驚く。
その手紙には、嵐が書いた手紙を受け取り、返事を書いたとあった。
以前彼が海に手紙入りのビンを流したことを思い出し、夏のBのメンバーは目を見張る。
ーわたしはアメリカ人で、7SEEDS計画の生き残りです。
大きく崩れた西海岸を旅して2年、数日前やっと別のチームに会えました。
あなたもいつか会えるといいですね。お互い生き延びましょう。
遠くより、幸運を祈ります。
チームフロンティア アーサー・べネイ
チームディスカバリー ブライアン・デンソンー
そのメッセージを、皆興味津々で聞いた。
そして聞き終えた蝉丸は、思わず涙を浮かべた。
人がいるんじゃないかー
ほっとした・・
彼はそう叫んだ。
その姿を見て、ナツも涙を浮かべる。
世界中に、人がいるのかもしれないー
新巻が手紙に書いてある名前を、口にした。
彼は若きメジャーリーグのスターに、そんな名前の人たちがいるのだーと皆に話す。
本人だったりしてね。
そう言って、彼は笑うのだった。
ナツは蝉丸の涙に、動揺していた。
彼が泣くと、ドキドキする。
きっといつもパワフルで賑やかで強いから、それ以外を見たくないのだ。
でも、そういうイメージの押しつけは良くないと分かった・・。
彼女は思い切って、蝉丸に言った。
泣きたいときは、泣いてもいいんだと思う。どんどん泣いて、そんなところも蝉丸で・・
彼女は思いが上手く伝わらないことに、もどかしさを感じる。
蝉丸を好きかは、まだ分からない。
でも、伝えよう。蝉丸の言葉は、もう怖くないからー。
ナツはそう思い、気持ちをゆっくりと話そうと努力するのだった。
そんな皆のやり取りを聞いていた涼は、外国に船で行けるだろうか・・と呟く。
行ってみるか?安吾ー
そう訊かれ、安吾は自分の手のひらを見つめた。
アメリカの人は、方舟のことを何か分からないだろうか・・。
角又が、ぼそりと言った。
自分も勉強して、何とか方舟の子供たちを解凍してやらないと。
彼は花に、言った。
いつか、息子に会うためにもー
それから、生活が始まった。
風が吹き、音楽が鳴る。
燻製を作る匂いがして、洗濯物のはためく音がする。
ナツは蝉丸に、食事の用意ができたから皆を呼ぶように言われた。
彼女は大きな声で、皆に声をかける。
ここに来たときは、大声も出せなかった。
友達もできず、気力も体力もなかった。
生きていけない、と思った。
でもお父さん、お母さん、あたしは今笑っています。
心配しないで、大丈夫だから。
元気でいます。
今日の日をくたくたになるまで頑張って、明日が予定通り訪れる。
それが当たり前になるように、そんな世界になるように。
一つずつ学んで、試して力を合わせています。
ナツは、本当に絵本を書いてみようかな、とふと考える。
そんな彼女に、花が声をかけた。
川向うのでっかい木の実を取りに行くから、名前をつけてー
そうお願いされ、ナツは嬉しくて大きく返事をする。
この場所で、生きていますー
未来を生きていく。
今回は、百舌以外のメンバーが無事に地上に出て合流し、新たに生活を始める話でした。
とてもいい最終回でした!
含みを持たせて終わる感じ、わたしはいいな、と思いました。
皆の恋愛模様だったり、本当に佐渡で生きていけるのかだったり、方舟の子供たちのことだったり・・
余韻を持って読者に想像をゆだねるのは、悪くないです。
皆の脱出も、無事に終わって本当に良かった。
鍵島組を心配していましたが、なんと蛍を仲間認定してくれるとは!
さすが穏やかな蛍。彼女のおかげで、脱出できたといっても過言ではありませんよ。
そういえば彼女とひばりの確執は、最後では触れられませんでしたね・・。
まぁ成長し、一緒に暮らしていくうちに理解し合えるものかもしれませんね。
そして、なんといっても嵐と小瑠璃!
彼女がグライダーで飛んでくる姿は、とてもかっこよかったです!!
そして飛んでいるときの緊張感も、さすがといった感じ。
ダイ、無事で本当に良かった・・2人、秘密抱えちゃいましたねw
小瑠璃もこれで、ようやく過去を乗り越えることができましたね。
その気持ちにいち早く気付いたハルも、すごく成長したよなぁ・・。
全編通して、ナツとハルの成長はめざましかったと思います。
さて、そして迎えた花と嵐の再会・・。
これもすごく感動的でした。
佐渡に行った頃は、もうちょっと早く合流できるのかと思ってましたが、最終回まで引っ張りましたね。
でも地下ではなく地上で会えたことで、再び会えたことの尊さは増した気がします。
これから、2人は色んな話をするのでしょうね。
幾ら時間があっても足りないくらい、どちらも濃い経験を繰り返してきましたもんね。
その過程で、安吾と涼のことも、考えてもらえれば・・と思います。
安吾と涼に関しては、一緒に暮らせないのは仕方のないことですね。
夏のBのメンバーは複雑でしょうが、ここでの被害者は春のチームであり、秋のチームです。
彼らが許さない限り、2人を側に呼ぶことはできないでしょう。
理由は色々あったけれど、犯した罪は消えません。
こうなったのは、仕方ないと思います・・。
2人は、外国に出ていくのですかね。
朔也の言う通り、きっと世界中に生き残った人々がいるのでしょう。
その中には、方舟について知る者もいるかもしれません。
そうなったら、まつりはついていくのかな。
彼女が一番複雑でしょうから、一度皆の元を離れることもありかもしれませんね。
今は春も秋も、安吾たちを許すことはできないでしょう。
花もハルものび太も、まだ2人に対する恐怖は消えないと思います。
でも、離れて時間が経てば、年月が解決してくれることもあるかもしれません。
安吾たちにできることは、誠意を見せて謝り続けることですね。
恐らくそれは、一生続くでしょう。
花たちは生きてますが、十六夜は亡くなっています・・。
彼らのしたことは、そういうことなのです。
いよいよ新生活が始まったら、2人はそれを嫌と言うほど味わうでしょうね。
その時、安吾と涼が反省してくれれば・・と思います。
いつか、時間がかかっても、皆で過ごせる日が来るといいな・・
そう祈っています。
さて、後は今回一番印象的だった言葉について。
皆が合流したときの、牡丹の言葉。
皆、一度生まれ変わったのだ・・ということ。
これ、佐渡の地下に入ったことの真意だと感じました。
あそこは、産道をイメージしていたのですね。
そこでの試練を潜り抜け、彼らは再びこの世界に生まれてきた。
ここからが始まり・・
過去を克服した彼らは、生まれ変わって新たな生活を始められる、という作者からのメッセージが込められていたのだ、と気づきました。
本当に、皆の表情が柔らかくなっていましたね。あの蘭でさえ。
いや、本当に素晴らしいラストだったと思います。
未来に希望を感じられる、ステキな言葉でした。
さて、その後佐渡での生活を始める一行。
もちろん問題は山積みです。
暫くは、くるみたちは船で暮らしたほうが安全かもしれませんね。
土地を良く知り、その土地を壊さないように暮らす・・
並大抵の難しさではありません。
でも、皆の表情を見ていると、できるのではないかな・・という気持ちも沸いてきます。
カップルが最終的に結構増えたのも、希望があっていいですよね。
確定なのは、花・嵐、ハル・小瑠璃、まつり、涼。
これから動きそうなのは、ナツ・蝉丸、茜・源五郎かな。
あゆは意外と、角又に目移り?w
でも角又は今はそういうこと考えられ無さそうだし、年上が好きということなので、あゆには行かないかな。
なんだかんだ、あゆは新巻とくっつきそうです。
他にも予想すると、藤子と鷭、ちさと秋ヲ(蘭と悩むところですが・・)、蘭と刈田なんてところかな。
かなりカップル続出ですね。
時が経てば、角又と牡丹なんてカップルもできあがりそう。
彼らが、未来を紡いでいくのですよね。
これからくるみたち以外にも、出産を経験し、皆命の種を蒔いていくのです・・。
そこには、考えられないような苦労があるでしょう。
でも先人がそうしてきたように、未来を創るためには彼らもそうしていかなければならないのです。
ただそう考えると、この世界で彼らが生きていく姿がぐっとリアルになりますね。
初めは、読んでいる方もこんな世界では生きていけないだろう・・と思いました。
ちょっとサバイバルとか、ホラーちっくでしたもんね。
結構柳の回とか、怖かったですよ。
でもそれがいつのまにか、この世界に生き、命を紡いでいく物語に変わった・・
それは彼らが、この世界で生きていこうと決めたからに、他なりません。
どうか皆が、これからも元気に生活していきますように。
ナツの作家も、楽しみですね。
彼女なら、きっと皆とも打ち解けていけると思います・・。
「7SEEDS」、本当に素晴らしい作品でした。
命の大切さを、ずっと問いかけてくれていたと思います。
全員がこれからも、たくましく生きていけるように祈りながら、感想を終わりたいと思います。
明日からは、外伝の感想に入りたいと思います。
本編は終わりましたが、もう数日お付き合いいただければと思います。
長い間、ありがとうございました☆
そんな中、嵐は前に進めず、死を覚悟します。
しかし、そこで、小瑠璃がグライダーで動き出しますー
全員脱出は、なるのでしょうか?!
最終回、感想です☆
最終章3 「-今日、そして明日ー」
※以下、ネタバレあり※
<現在地>
・花・ナツ・蝉丸・朔也・・佐渡
・藤子・ちさ・・佐渡
・ひばり ・・佐渡
・ハル・角又・小瑠璃・あゆ・新巻・・佐渡
・のび太・蛍・秋ヲ・鷭・・鍵島
・安吾・涼・まつり・・佐渡
・源五郎・茜・刈田・くるみ・流星・・鍵島
・虹子・ちまき・牡丹・蘭・・鍵島
・虹子・ちまき・牡丹・蘭・・鍵島
・嵐・・佐渡
・百舌・・死亡?
◎あらすじ◎
目覚めたとき、自分がいたのは天国でも地獄でもなく、泣くしかない現実の中でした。
でもそこには、皆がいたんですー
安吾(あんご)たちは、崖を登った。
後少し・・涼(りょう)はまつりを支えながら、進む。
藤子(ふじこ)とちさも、脱出を始めた。
彼らは天井が崩れ出したのを見て、早晩地価は全て埋まるだろう‥と予測する。
皆、早く上がってこいー!!
2人はそう祈った。
嵐(あらし)は、どんどん崩れていく中を、縦坑まで必死に走っていた。
そんな彼の元へー小瑠璃(こるり)は飛ぼうと構えていた。
グライダーを背負った彼女の姿に、ハルは何をするつもりかと叫ぶ。
ここは地下なのだー。
だが小瑠璃は、地下だけどいい風が吹いている、と言った。
外に出たら笛を吹いてくれる?それを目指して降りていくからー
彼女はそう言うと、飛び立っていく。
ハルはその姿を、ただ見送るしかできなかった・・。
他のメンバーは、小瑠璃が一人で行ったことに驚く。
その時、ハルは嵐に、縦坑で待つように通信を入れた。
花(はな)-
彼は叫ぶ。
大丈夫だ、小瑠璃が行った!!
その言葉に、花は目を見開いた。
新巻(あらまき)や角又(つのまた)は、なぜ彼女を一人で行かせたのか、とハルに問うた。
今からでも止めたほうが・・そう話す2人に、ハルは首を振った。
止めない・・止められない・・
彼には、小瑠璃の気持ちが分かっていたのだ。
小瑠璃はずっと、間に合いたかったんだ・・!!
その言葉の通り、小瑠璃は強い意志で飛んだ。
今度こそ、間に合う・・繭(まゆ)ちゃん・・!!
あゆが、大丈夫だ、と言った。
夏のAは、無茶はしない。小瑠璃が行ったのなら、それは彼女が飛べると判断したからだー
その言葉に、ハルもうなづく。
そうして彼は、地上に向かって線路を登り始めた。
早く行って、外で合図の笛を鳴らさなきゃ・・。
そう言って登っていく姿を見て、角又は大人になって・・と笑みを浮かべる。
新巻も納得し、後を追うのだった。
一方花は、ハルの言葉を反芻していた。
小瑠璃が行った・・
彼女は、以前も小瑠璃が水に流される際に自分を助けるために駆けつけてくれたことを思い出し、涙する。
どうか、どうか・・。
花は心の底から、祈った。
方舟は上昇していた。
それに伴い、お掃除ロボットの通信が、段々途切れがちになっていく。
恐らく距離が離れていっているからだろう・・。
蝉丸(せみまる)が花に、今のうちに喋っておけ、と言った。
花はうなづき、嵐に話しかける。
すると嵐も、話し続けて、と彼女と会話することを望んだ。
そこで花は、経ヶ岳シェルターでのことを語りだす。
あの時、水没したシェルターにロープを張ってくれたのは、嵐でしょうー?
彼女にそう訊かれ、嵐はうなづく。
お陰で奥まで行けて、物資を手に入れることができてありがたかった・・。
花はそう言い、笑った。
勇気のある人が、潜って張ってくれたんだと思ってたよー
彼女の言葉に、嵐もほほ笑む。
それから、花は「ロビンソン・クルーソー」の話もした。
あの破られたページを見たとき、初めて嵐かもしれないと思った・・
彼女はそう話し、その後別の島で絵と共に掘られていた夏のBの名前を見て、嵐が来ていることを知ったのだ、と明かした。
どれほど嬉しかったか・・。
花は涙ぐむ。
嵐も、花の存在に気付いたときのことを話した。
彼は秋の村で手紙をナツが見つけてくれたことを伝え、花の字を見て奇跡だと思った、と語った。
どれだけ嬉しく、生きる力になったかー
そう言って2人は、もうすぐ会えるね、と声をかけ合う。
彼らは、通信の声がどんどん遠くなっているのを感じていた。
嵐はナツと蝉丸にも、言葉をかける。
それから彼と花は、じゃあ後でーと互いに言った。
最後に、花は思いを伝える。
ちゃんと言ったことなかったけど、愛してるからねー
その思いを受け、嵐もほほ笑み、言う。
うん、俺も愛してる。ずっと、ずっと・・
生きてても死んでてもー
彼はその言葉は、呑み込んだ。
ジェミニは、もう完全に通信がつながらなくなってしまった。
いよいよ方舟は海に出たのかもしれない・・
揺れる可能性がある、と彼らは手近なものにしがみつくのだった。
一方嵐は、ようやく縦坑の下にたどり着いた。
彼は壁を登ろうと試すが、もろくて無理だった。
そこで嵐は、一旦休むことにする。
そもそも、自分はここに何をしに来たのだったか・・
彼は疲れた体でダイを抱き、考えた。
そうだ、安吾と一緒に行方不明になった皆を助けようと思ったんだ。
彼は、知っている人もまだ出会ってない人たちも、皆無事だろうかと思いを馳せる。
それぞれに、誰かが誰かを助けようとしていた・・。
嵐は小瑠璃はどうやってここへ来るのだろう、と考える。
きっと無理だろう・・
そう思ったその時だった。
彼の目に、グライダーが飛んでくるのが見えた。
そこには、小瑠璃の姿があった。
嘘・・嵐は思わず、そう声をあげる。
小瑠璃は嵐を見つけ、叫んだ。
嵐くん、掴まってー!!
その声に、嵐は急いでグライダーに飛びつく。
そのまま、グライダーは浮上しようとした。
縦坑を2つ閉めたおかげで、風が集まっている。
排煙のために吹き上げた風に、彼らは押し出されていくー
上がれ!上がれ!
2人は祈った。
すると、グライダーは急浮上する。
恐怖に嵐は悲鳴をあげるが、小瑠璃は重心を移動させないよう彼に指示した。
上がってはいるが、思ったより重い・・
彼女は焦りを感じる。
その頃、崖を登っていた安吾は、嵐の身を案じていた。
自分の身の心配だけしてろー
涼は、彼を怒鳴りつける。
ケーブルカーの線路を登る一行は、果てしない階段に息をすっかり切らしていた。
ハルは見かねて角又の荷物を減らすよう声をかけるが、角又は断固として抱えて登る、と言い張った。
これは連れて行かないといけないー
彼の言葉を聞き、あゆはその意味を考える。
ハルもまた、小瑠璃の荷物を持っていたので足取りが重かった。
気づいた新巻が、半分荷物を預かる。
後少し、行きましょうー
彼は真っすぐ、上を見上げる。
小瑠璃と嵐は、グライダーの上昇が止まったことに気付いていた。
重すぎて、風が足りないー!!
小瑠璃はどうすべきか、考える。
とりあえず、嵐と新巻の荷物は捨ててもらうことにした。
そのおかげで少し浮上するが、まだ足りない。
上方が少し明るくなってきたから、外は近いはずなのに・・
小瑠璃は動揺する。
まだ重い。これだと上まで上がりきらない・・
彼女は嵐を見やり、ある選択肢にたどり着く。
迷いながらも、彼女は言う。
犬を・・
その意味に、嵐は青ざめる。
すると、ダイが突然嵐の腕から飛びぬけ、落下していった。
驚いた嵐は叫ぶが、その瞬間グライダーは上昇する。
地下でちょうど爆発が起き、その爆風で彼らは大きく舞い上がった。
小瑠璃は必死にグライダーをコントロールしようと、体を動かす。
嵐は訳も分からず、ただ必死にしがみついていた・・
その時、小瑠璃は目の前が明るくなるのを感じる。
その眩しさに、彼女は思わず目をつぶった。
グライダーは・・外に出たー
小瑠璃は目を開け、目の前に空が広がっているのを確認する。
外に出た!!
彼女はすぐさま爆風に引き込まれないように、縦坑から離れていく。
そんな中、嵐もそっと目を開けた。
そして彼はー眼前に広がる光景に、息を呑む。
森や川が広がり、太陽の光がまぶしい。
外だー!!
彼は脱出できたことを実感し、涙をこぼす。
その後、嵐は少し戻ってほしい、と小瑠璃に頼んだ。
彼はダイと自分を、ロープで結んでいたのだ。
無事だった・・手繰り寄せてダイを引っ張る嵐を見て、小瑠璃は安堵の息をつく。
それから彼らは、更に高く飛ぶことにした。
佐渡はどうやら二重構造になっているらしく、上にまだ地面があった。
そこまで飛んだ2人は、目の前に広がる光景に目を見張る。
すごい、これが佐渡・・
一方ケーブルカー組は、ようやく線路の終点までたどり着いた。
あゆが植物の咲く向きを見て、その後の道を推測する。
その方向に足を進めていると、ふとハルは音楽を聴いた気がして立ち止まった。
彼が耳を澄ますと、確かに音楽が聞こえてくる。
交響曲だー
たくさんの楽器の音が聞こえる、と彼は小走りに先を急いだ。
そうしてー一行もまた、無事に外に出た。
目の前に広がる森に、澄んだ空気に、彼らはしばし戸惑い言葉を失う・・。
ハルは、全身に音を迎え入れた。
風の音、水の音、鳥の声、虫の羽音、葉ずれの音、何かが歩く音・・
彼は両手を思いっきり伸ばした。
交響曲が聴こえるー
同じ頃、ひばりも地上へと急いでいた。
だが彼女は途中で煙に巻かれ、息苦しさに跪いてしまう・・。
するとそこに、新巻たちの子犬がやってきた。
彼らに引っ張られ、ひばりはどうにか外へと脱出する。
そこには、馬も待機していた。
彼に引かれ、ひばりは佐渡の上部へと上った。
その瞬間ー龍の玉が、音を立てて転がる。
そのまま、玉は元の龍の穴に、すっぽりと収まった。
ひばりはそれを見て、祖母のことを思い泣くー
外に出たハルは、すぐに小瑠璃たちの姿を探した。
すると、上空に彼女のグライダーが見えた。
それを確認したハルは、思いっきり笛を鳴らす。
その音は、小瑠璃の耳に届いた。
彼女は方向に当たりをつけ、一気に着地に向かう。
相変わらず下手な着地で、彼らは地面に滑り落ちるのだった。
そうして無事にグライダーを降りた嵐は、小瑠璃に礼を言う。
何度もありがとうと頭を下げる彼を見た小瑠璃に、急に実感が沸いてくる。
間に合ったんだ・・
彼女の瞳に、涙が込み上げた。
そのまま、彼女は地面に突っ伏して泣く。
間に合ったよ、繭ちゃんー
そこに、ハルが駆け込んできた。
新巻もそれに続き、嵐の姿を見て声をあげる。
彼らはそれぞれに抱き合い、無事を喜び合うのだった。
一方、安吾たち3人も、ようやく崖を登り終え、外に出ていた。
陽の光を浴び、新鮮な空気を吸いながら、彼らは暫く地面に横たわって体力の回復を待った。
そしてー方舟組も、ようやく海面に出た。
浮いた感触に気付いた4人は、歓声をあげる。
モニターに映る外の景色に、ナツはこみあげてくる涙を抑えることができなかった。
彼らは早速、ハッチの扉を開けた。
すると目の前には、広大な森が広がっていた。
ここが佐渡・・
空気の濃さに4人は思いっきり息を吸い込む。
外だ・・
ナツはまだ信じられず、呆然とした。
空気が全く違う。あったかくて湿っぽい、緑の匂い・・
外だー
次第に実感が沸き、彼女は大粒の涙をこぼす。
方舟は錨が出るようなので、彼らは降りる準備を始めた。
蝉丸は花の様子を見て、すぐに嵐を探しに行きたいのだろう、と察する。
花もうなづき、縦坑の出口を探しに行くつもりだーと語った。
そうして彼らは方舟を降りると、駆け出した。
嵐と小瑠璃の無事を願い、4人は走るー
その時、花!!と呼ぶ声を聞き、花は足を止めた。
少し小高くなった丘の上ー
そこに、嵐はいた。
2人は驚き見つめ合い、やがてー笑みを浮かべる。
そのまま花と嵐は、満面の笑顔で向かい合った。
彼らが歩み寄るのを、ナツや新巻は温かく見守った。
その横を、鳥たちが一斉に羽ばたいていくー
角又はその光景を見て、詩を口にした・・。
江は碧にして、鳥はいよいよ白く
山は青くして、花は燃えんと欲す
今春看みす又過ぐ 何れの日か 是れ帰年ならんー
その杜甫の詩を詠み、彼は思った。
杜甫は一体いつ故郷に帰れるのだろう、と言った。
でも、自分たちはもう帰れない・・。
二度と帰ることはないのだ・・と。
けど、あんたに会えたからよしとするわ、理可子(りかこ)さんー
角又はそう、ほほ笑んだ。
皆それぞれに、再会や出会いを喜び合う。
そんな中ー角又の様子を見ていたあゆは、彼に声をかけた。
角又さん、わたしあなたもなかなか良いと思うのよ。候補に入れていいかしらー
彼女にそう言われ、角又は思わず固まる。
候補というのは、例の・・
戸惑う彼に、あゆはうなづく。
一人目の子供は新巻と作るつもりだけど、2人目はあなたでもいいかなと思うのよー
そう話す彼女の真面目な物言いに、彼は思わず吹き出した。
いいよ、入れといて。
そう笑いながらも、彼はあゆに話す。
でも一人目を新巻と作ったら、きっと2人目も新巻と作りたくなるものだ、と。
それを聞いたあゆは、そういうものなの?と首を傾げた。
そこに、まつりの大きな声が響いた。
反対の丘から、安吾たち3人が顔を出す。
嵐の無事な姿を見て、安吾はほっとする。
ナツとまつりは、再会を泣いて喜んだ。
安吾はー後ろに降ろした茂(しげる)を見やった。
もう原型はないぞー涼にそう言われ、彼は分かってる、と埋める準備をする。
するとそれを見た角又が、待て、と止めに入った。
彼は墓の場所は大雨が降っても流されず、日当たりがいいところを探してから埋めたほうがいい、と助言する。
それから角又は、自分も埋めたい人がいるから、一緒に供養するのでもいいかー?と安吾に尋ねた。
それを聞いた小瑠璃が、自分も埋めてほしいものがある、と駆け寄る。
彼女は抱えていた小石を見せ、皆を坑道から連れて来たのだーと角又に話す。
角又はうなづき、石には魂や色んなものが宿るから、一緒に供養しよう、と約束する。
ありがとう・・
そう言って、小瑠璃は目の前に広がる風景を見つめた。
繭も雹(ひょう)も他の皆も、この島のどこかに埋まっているんだね・・。
彼女の言葉に、安吾もうなづく。
皆、ここにいる。一緒に来たんだ・・。
彼は呼びかけた。
茂、繭、未来に来たぞー
その頃ー鍵島では、全メンバーが地下で集結していた。
彼らはくるみの無事を確かめると、この先をどうするか・・と頭を悩ませる。
地上に出るには、大蟻の大群を超えていかなければならない・・。
道の先にうようよしているその姿を見て、皆眉をしかめた。
刈田(かりた)も、百舌(もず)のことを思い出し、顔を青くする。
皆さん、手を出しちゃだめー
蛍(ほたる)が言い、彼女は蟻たちに向き合った。
するとその中の1匹が蛍に触れ、それを合図に群れが引いていく・・。
驚く皆の中で、蛍はある可能性に気付き、頬を上気させた。
もしかして、一緒に働いたから、仲間認定してくれたのかしら・・。
彼女の言葉に、源五郎(げんごろう)もうなづく。
蟻の巣には色んな生物が同居していて、なぜか襲われることがないのだー。
そこで、彼らはゆっくりと進んでいくことにした。
牡丹(ぼたん)がここを出たら船の操縦が必要だから、誰か手伝ってほしいーと声をかける。
すると虹子(にじこ)が、習ったことがあるから、と即座に手をあげた。
あなたたちは、本当にたくましいことー
牡丹はそう笑い、行こう、と皆に声をかけるー
一方佐渡では、藤子とちさも皆の元に合流していた。
それから、ひばりと新巻の子犬たちもやってきた。
子犬たちはすぐに新巻に群がり、彼の頬を舐める。
その温かさに、新巻は心からの笑みを浮かべた。
と、そこにぞうとらいおんまるがやってくる。
ついに、全てのメンバーが同じ場所に集まった。
鷭(ばん)と藤子、ちさと秋ヲ(あきを)、ナツ・蝉丸と蛍・・
皆がそれぞれに再会と出会いを喜び合う姿を見て、牡丹はほうっと息をついた。
不思議・・皆地下に入る前と、顔が全然違う・・。
彼女がそう呟くと、蘭(らん)もうなづいた。
秋のチームもそうだ、顔つきが違う・・。
そう彼女は話す。
すると牡丹は、あなたもでしょー?と笑った。
蘭と虹子は、その言葉に今までの出来事に思いを馳せる・・。
暗くて長い道をさまよって、苦しんで傷ついて救って救われて、光の中に出た。
まるで産道を抜ける、赤ん坊のようにー。
牡丹は言った。
産まれてきたのね、もう一度・・。
この世界で生きるために、ここで生きていくために・・
ふと、蝉丸がナツに言った。
言おうと思ってたんだけど、お前作家になれよー
その言葉に、ナツは目を見開く。
驚く彼女に、蝉丸は語った。
ナツは本を読んでいるし、漢字なんかにも詳しい。
新しい小説を書くまでいかなくても、思い出せる話をまとめたりしたらどうだろう。
新(あらた)にも絵本がいるしー
彼がそう言うと、ちまきが挿絵を描こうか、と提案する。
作家・・
驚きながらも、ナツは胸の内が熱くなるのを感じた。
そんなこと、考えたこともなかったー
その後、蝉丸は涼に向かっていった。
彼が以前自分たちを殺そうとしたことを問いただそうとしたのだ。
だが彼は呆気なく、涼に背負い投げされてしまう。
と思ったら、その涼を今度は刈田が投げた。
隙だらけだー
そう言われ、涼は頭を抑える。
どうして殺そうとしたんだろうな・・。
彼は小さく呟いた。
安吾が、要(かなめ)はいないんだな・・と息をつく。
花もまた、要のことを思いうつむいた。
めーちゃんは、来ないんだ・・。
その夜、一行は当面のことについて話し合いをした。
まずは地形やあらゆる事象を詳しく調べるべきだー
源五郎が中心に立ち、そう話す。
何が食べられるか、どれだけの種があって、どれだけの個体がいるのか。
植物や動物を、捕り尽くさないように気をつけなきゃ・・
あゆも言う。
年間の気候が分かるまでは、住居も建てられない、と蘭も話した。
降水量と、どこが決壊するかも確かめなければ・・。
虹子が蘭の言葉に、続く。
佐渡自体、まだ住めるのかも分からない。
それにこんな大人数が生活を始めたら、水も土も一気に汚染してしまうことになる。
彼らは様々な問題点を話し合った。
それを聞いていた牡丹は、ほほ笑む。
旅とサバイバルの日々だったのに、これからは日常の生活になっていくのねー
その言葉に、蘭は同意する。
それが一番重要なことだ。たとえ何度やり直すことになったとしても、ここにあるものを大切にして、当面この地で暮らしていこうー
彼らはそう結論づけるのだった。
話し合いは、そこでおしまいだった。
皆、疲れでうとうとしだしたのだ。
気が付くと、身体は泥のように重かった。
皆、ほとんど死んだようにその日は眠ったのだった・・。
翌朝、花と嵐は2人で仲良く眠っていた。
目が覚めても、嵐がいる・・
花はその幸せを、心の底から噛みしめる。
皆は生活を始めよう、と動き出していた。
そんな中、安吾と涼は少し離れたところで、静観していた。
いつかちゃんと話をしようー
花はそう、決意する。
蛍が、再び安吾の手相を見に行った。
根負けした安吾が手のひらを見せると、あら、と蛍は眉を上げる。
それから彼女は嬉しそうに、広い世界が待っているようだーと彼に話した。
嵐は茜(あかね)と共に、海に貝などを捕りに行った。
そこで、彼は手紙入りのビンを見つける。
戻って早速開けると、そこには英語で書かれた手紙が入っていた。
蘭が翻訳しながら、読んでくれる。
親愛なる日本の友達、嵐へ
その書き出しに、嵐は驚く。
その手紙には、嵐が書いた手紙を受け取り、返事を書いたとあった。
以前彼が海に手紙入りのビンを流したことを思い出し、夏のBのメンバーは目を見張る。
ーわたしはアメリカ人で、7SEEDS計画の生き残りです。
大きく崩れた西海岸を旅して2年、数日前やっと別のチームに会えました。
あなたもいつか会えるといいですね。お互い生き延びましょう。
遠くより、幸運を祈ります。
チームフロンティア アーサー・べネイ
チームディスカバリー ブライアン・デンソンー
そのメッセージを、皆興味津々で聞いた。
そして聞き終えた蝉丸は、思わず涙を浮かべた。
人がいるんじゃないかー
ほっとした・・
彼はそう叫んだ。
その姿を見て、ナツも涙を浮かべる。
世界中に、人がいるのかもしれないー
新巻が手紙に書いてある名前を、口にした。
彼は若きメジャーリーグのスターに、そんな名前の人たちがいるのだーと皆に話す。
本人だったりしてね。
そう言って、彼は笑うのだった。
ナツは蝉丸の涙に、動揺していた。
彼が泣くと、ドキドキする。
きっといつもパワフルで賑やかで強いから、それ以外を見たくないのだ。
でも、そういうイメージの押しつけは良くないと分かった・・。
彼女は思い切って、蝉丸に言った。
泣きたいときは、泣いてもいいんだと思う。どんどん泣いて、そんなところも蝉丸で・・
彼女は思いが上手く伝わらないことに、もどかしさを感じる。
蝉丸を好きかは、まだ分からない。
でも、伝えよう。蝉丸の言葉は、もう怖くないからー。
ナツはそう思い、気持ちをゆっくりと話そうと努力するのだった。
そんな皆のやり取りを聞いていた涼は、外国に船で行けるだろうか・・と呟く。
行ってみるか?安吾ー
そう訊かれ、安吾は自分の手のひらを見つめた。
アメリカの人は、方舟のことを何か分からないだろうか・・。
角又が、ぼそりと言った。
自分も勉強して、何とか方舟の子供たちを解凍してやらないと。
彼は花に、言った。
いつか、息子に会うためにもー
それから、生活が始まった。
風が吹き、音楽が鳴る。
燻製を作る匂いがして、洗濯物のはためく音がする。
ナツは蝉丸に、食事の用意ができたから皆を呼ぶように言われた。
彼女は大きな声で、皆に声をかける。
ここに来たときは、大声も出せなかった。
友達もできず、気力も体力もなかった。
生きていけない、と思った。
でもお父さん、お母さん、あたしは今笑っています。
心配しないで、大丈夫だから。
元気でいます。
今日の日をくたくたになるまで頑張って、明日が予定通り訪れる。
それが当たり前になるように、そんな世界になるように。
一つずつ学んで、試して力を合わせています。
ナツは、本当に絵本を書いてみようかな、とふと考える。
そんな彼女に、花が声をかけた。
川向うのでっかい木の実を取りに行くから、名前をつけてー
そうお願いされ、ナツは嬉しくて大きく返事をする。
この場所で、生きていますー
未来を生きていく。
今回は、百舌以外のメンバーが無事に地上に出て合流し、新たに生活を始める話でした。
とてもいい最終回でした!
含みを持たせて終わる感じ、わたしはいいな、と思いました。
皆の恋愛模様だったり、本当に佐渡で生きていけるのかだったり、方舟の子供たちのことだったり・・
余韻を持って読者に想像をゆだねるのは、悪くないです。
皆の脱出も、無事に終わって本当に良かった。
鍵島組を心配していましたが、なんと蛍を仲間認定してくれるとは!
さすが穏やかな蛍。彼女のおかげで、脱出できたといっても過言ではありませんよ。
そういえば彼女とひばりの確執は、最後では触れられませんでしたね・・。
まぁ成長し、一緒に暮らしていくうちに理解し合えるものかもしれませんね。
そして、なんといっても嵐と小瑠璃!
彼女がグライダーで飛んでくる姿は、とてもかっこよかったです!!
そして飛んでいるときの緊張感も、さすがといった感じ。
ダイ、無事で本当に良かった・・2人、秘密抱えちゃいましたねw
小瑠璃もこれで、ようやく過去を乗り越えることができましたね。
その気持ちにいち早く気付いたハルも、すごく成長したよなぁ・・。
全編通して、ナツとハルの成長はめざましかったと思います。
さて、そして迎えた花と嵐の再会・・。
これもすごく感動的でした。
佐渡に行った頃は、もうちょっと早く合流できるのかと思ってましたが、最終回まで引っ張りましたね。
でも地下ではなく地上で会えたことで、再び会えたことの尊さは増した気がします。
これから、2人は色んな話をするのでしょうね。
幾ら時間があっても足りないくらい、どちらも濃い経験を繰り返してきましたもんね。
その過程で、安吾と涼のことも、考えてもらえれば・・と思います。
安吾と涼に関しては、一緒に暮らせないのは仕方のないことですね。
夏のBのメンバーは複雑でしょうが、ここでの被害者は春のチームであり、秋のチームです。
彼らが許さない限り、2人を側に呼ぶことはできないでしょう。
理由は色々あったけれど、犯した罪は消えません。
こうなったのは、仕方ないと思います・・。
2人は、外国に出ていくのですかね。
朔也の言う通り、きっと世界中に生き残った人々がいるのでしょう。
その中には、方舟について知る者もいるかもしれません。
そうなったら、まつりはついていくのかな。
彼女が一番複雑でしょうから、一度皆の元を離れることもありかもしれませんね。
今は春も秋も、安吾たちを許すことはできないでしょう。
花もハルものび太も、まだ2人に対する恐怖は消えないと思います。
でも、離れて時間が経てば、年月が解決してくれることもあるかもしれません。
安吾たちにできることは、誠意を見せて謝り続けることですね。
恐らくそれは、一生続くでしょう。
花たちは生きてますが、十六夜は亡くなっています・・。
彼らのしたことは、そういうことなのです。
いよいよ新生活が始まったら、2人はそれを嫌と言うほど味わうでしょうね。
その時、安吾と涼が反省してくれれば・・と思います。
いつか、時間がかかっても、皆で過ごせる日が来るといいな・・
そう祈っています。
さて、後は今回一番印象的だった言葉について。
皆が合流したときの、牡丹の言葉。
皆、一度生まれ変わったのだ・・ということ。
これ、佐渡の地下に入ったことの真意だと感じました。
あそこは、産道をイメージしていたのですね。
そこでの試練を潜り抜け、彼らは再びこの世界に生まれてきた。
ここからが始まり・・
過去を克服した彼らは、生まれ変わって新たな生活を始められる、という作者からのメッセージが込められていたのだ、と気づきました。
本当に、皆の表情が柔らかくなっていましたね。あの蘭でさえ。
いや、本当に素晴らしいラストだったと思います。
未来に希望を感じられる、ステキな言葉でした。
さて、その後佐渡での生活を始める一行。
もちろん問題は山積みです。
暫くは、くるみたちは船で暮らしたほうが安全かもしれませんね。
土地を良く知り、その土地を壊さないように暮らす・・
並大抵の難しさではありません。
でも、皆の表情を見ていると、できるのではないかな・・という気持ちも沸いてきます。
カップルが最終的に結構増えたのも、希望があっていいですよね。
確定なのは、花・嵐、ハル・小瑠璃、まつり、涼。
これから動きそうなのは、ナツ・蝉丸、茜・源五郎かな。
あゆは意外と、角又に目移り?w
でも角又は今はそういうこと考えられ無さそうだし、年上が好きということなので、あゆには行かないかな。
なんだかんだ、あゆは新巻とくっつきそうです。
他にも予想すると、藤子と鷭、ちさと秋ヲ(蘭と悩むところですが・・)、蘭と刈田なんてところかな。
かなりカップル続出ですね。
時が経てば、角又と牡丹なんてカップルもできあがりそう。
彼らが、未来を紡いでいくのですよね。
これからくるみたち以外にも、出産を経験し、皆命の種を蒔いていくのです・・。
そこには、考えられないような苦労があるでしょう。
でも先人がそうしてきたように、未来を創るためには彼らもそうしていかなければならないのです。
ただそう考えると、この世界で彼らが生きていく姿がぐっとリアルになりますね。
初めは、読んでいる方もこんな世界では生きていけないだろう・・と思いました。
ちょっとサバイバルとか、ホラーちっくでしたもんね。
結構柳の回とか、怖かったですよ。
でもそれがいつのまにか、この世界に生き、命を紡いでいく物語に変わった・・
それは彼らが、この世界で生きていこうと決めたからに、他なりません。
どうか皆が、これからも元気に生活していきますように。
ナツの作家も、楽しみですね。
彼女なら、きっと皆とも打ち解けていけると思います・・。
「7SEEDS」、本当に素晴らしい作品でした。
命の大切さを、ずっと問いかけてくれていたと思います。
全員がこれからも、たくましく生きていけるように祈りながら、感想を終わりたいと思います。
明日からは、外伝の感想に入りたいと思います。
本編は終わりましたが、もう数日お付き合いいただければと思います。
長い間、ありがとうございました☆
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