前回、とらの過去の記憶の世界に潜りこんでいったうしお。
彼はそこでシャガクシャという青年の体に入り、その人生を追体験していきます・・。

一方古代中国で1人の男性と出会ったキリオ。
その男性はなぜか彼のことを知っていて・・?!

感想です☆



第五十章「とら」~ 其ノ参「遠景Ⅱ」



※以下、ネタバレあり※




◎あらすじ◎

古代中国ー
いきなり見知らぬ男性に名前を呼ばれ、キリオは思わずのけぞった。

なぜ名前を知っているー?
尋ねると、男性はなぜか心の中に名前が浮かんだのだ・・と答えた。

それから彼は獣の槍を封印から解放しようとした。
キリオは槍を持ち去る人物から、白面の物を倒す方法を聞き出すためにここへ来た。
だから彼は男性の後ろにつき、そのことを伝えた。

すると男性は、聞いたら後悔するぞ・・と凄みのある声と顔で迫った。
それでもーキリオもまた、引かなかった。
ここで悪の連鎖を断ち切るために、自分は知らなければならないんだ!!
彼はそう強く訴えるー

その覚悟を見定めた男性は、今から400年前のインドの話を始めた。
そう、彼はシャガクシャの話をキリオに語って聞かせたのだ・・。


同刻、うしおはシャガクシャの中で自分を妬む者たちの声を聞いていた。
奴隷のような身分から成りあがったのだ。彼のことをよく思わない者は大勢いた。

そんな声を聞くと、不思議とシャガクシャの中には力がみなぎっていくようだった。
肩のあたりがうずく・・。うしおは不思議な感覚に、どこか気味の悪いものを感じる。

そこへラーマという少年がやってきた。
彼はシャガクシャの従者で、その戦績に憧れ慕うものだった。

ラーマは他の人間たちとは違い、決してシャガクシャのことを悪く言うことはなかった。
呪いの子と呼ばれることも気にせず、ただまっすぐにしたってくれるいい従者だった。

シャガクシャは一度武功を立てた跡も、ずっと戦い続け功績をあげてきた。
彼が強いのは、その心の根底に憎しみがあるからだった。
憎しみは人を強くするーだがそんな彼にも、やがて安寧の時が訪れた。

それはラーマの姉との出会いがきっかけだった。
たまたま悪い輩にからまれていた彼女を救った際に、2人は親しくなったのだ。

姉は農作業に勤しみ、種をまき続けたいのだ・・と話した。
土が痛んでも、いつか種は実をつける。それに対し、憎しみは何も実らせない。
だからどんなことがあっても憎まず、ひたすらに種をまき続けたいー
彼女は優しい笑みでそう語る。

シャガクシャにはその感情はよくわからなかった。
だがラーマと姉の姉弟が、自分を嘘偽りのないまっすぐな目で見ていることだけは彼も感じ取ることができた。

2人と過ごす時間は、今までシャガクシャが味わったことのないものだった。
不思議に温かい感情を、次第に彼は知っていくようになるのだった・・。

だが再びこの地に戦争が起きた。
今度の敵国は強大で、敗戦は最初から明らかだった。

当然兵士たちの士気も上がらず、戦況は一気に悪化していった。
その日ーシャガクシャにとって運命の日、彼は姉を連れて必死に山の中を逃げるのだった・・。




















シャガクシャと姉弟

今回はシャガクシャが姉弟と知り合い、人間としての感情を得始めた回でした。
もうラストを見たら嫌な予感しかしないですよ・・。元々悲劇の過去だろうとは予想してたけど、いい人たちが出てくるとぐっと辛くなりますねぇ。
ラーマと姉、2人はこの後どうなってしまうのでしょうかー。


前回から、シャガクシャの体の中で彼の記憶を追体験しているうしお。
一方古代中国で獣の槍を取りに来た男性と出会ったキリオもまた、シャガクシャについての話を聞くこととなります。

前回は2人の地点がどうつながるのかと思っていましたが、どうやらリンクしてきましたね。
やっぱりシャガクシャがとらなんだろうなぁ・・。
まだ中国のほうの男性の正体はわかりませんが、その辺は今後徐々に明らかになっていくといいですね。

そのシャガクシャは、戦績を上げるにつれてどんどん地位を上げていきました。
そしてその過程で従者であるラーマと出会い、その姉とも知り合うことで人間の優しさというものに初めて触れます。

シャガクシャの過去や今の身分などを気にせず、まっすぐに付き合ってくれる姉弟。
そしてどこまでもまじめに真摯に自分の人生を生きる姉弟。
そんな2人に出会い、シャガクシャの気持ちにも変化が芽生え始めたようですね。
姉のことも好きなのかな・・。ここまで苦労してきただけに、彼の気持ちの変化は素直にうれしいと感じました。

ただこの過去は悲劇の記憶でもあります・・。
幸せな時間は長くは続かず、シャガクシャたちのくにはふたたび戦乱の世を迎えてしまいました。

しかも今度戦う国は、シャガクシャたちの国(インドらしい)より数倍強いそうで・・もはや勝ち目はないとのこと。
ラストで彼が姉と逃げていたのも、村を襲われたからかもしれませんね。
ラーマがいないけど、彼もちゃんと逃げられたのでしょうか・・。

ここからいよいよ悲劇が始まり、いかにしてとらが生まれたかが語られるようになるのでしょう。
まだ白面の者がどこで関わってくるのかもわかりませんが、次回以降はきっと辛い話でしょうから心の準備をして臨んだほうが良さそうですね。

どうしていい人ばかりが辛い目に遭うんでしょうねぇ。
昔も今もそこは変わらないことに、空しい気持ちを覚えます・・。

シャガクシャたちはこれからどのような運命をたどるのか。
そしてその記憶を追体験することで、うしおやキリオはどんな知見を得るのかー
しっかりとわたしたちも見届ける覚悟をしましょう。。






さて、次回は戦乱がシャガクシャたちを襲う話ですね。

国と国同士の戦い。
劣勢を強いられるなか、シャガクシャは姉を連れて戦火を抜けようと試みます。

彼らは無事に逃げ切れるのか。ラーマはどうなったのか。
とらの出生にまつわる話も佳境ー
その結末を早く知りたいです。

次回も楽しみです☆