前回、総力を尽くす人間と妖怪の攻撃に、少しずつ押され始める白面の者。
その頃、鏢と紅蓮もまた最終戦を行っていましたー。

紅蓮の攻撃に傷つき疲弊しながらも、策を施す鏢。
2人の対決の行方はー?!

感想です☆



第五十三章「約束の夜へ」〈後編〉




※以下、ネタバレあり※




◎あらすじ◎

あの日、帰れば幸せが待っているはずだった。
娘は買ったばかりの靴を履くのを楽しみにし、父親の帰りを待っているはずだった。

だけど自分を待っていたのは・・
鏢(ひょう)はこれまでの思いを全部集め、紅蓮(ぐれん)に向かう。

復讐の日々だったー・・

彼は次々に符術を繰り出し、紅蓮の攻撃の機会を奪う。
紅蓮は初めはその動きに手間取ったが、次第に彼は気付いた。
鏢がこの家の母娘を守ろうとしていることにー。

おそらく、お前たち2人を自分に食われた妻子と重ね合わせているのだろう・・。
紅蓮の言葉に、女性と子供ははっと目を見開く。

それは本当なのか?
女性が尋ねると、鏢は自分の話はいい・・と血を拭いながら2人の前に立った。
それよりも、その子がお前のことをずっとかばっているのに気付いているか?

鏢の問いに、女性は驚き子供を見つめる。
鏢はずっと見ていた。
子どもがどんな状況になっても、決して母親から離れようとしないことを。

すると子供は泣きながら、母親にぎゅっと抱き着く。
女性もまたーそんな娘をしっかりと抱きしめた。
2人が互いに泣くのを見ながら、鏢は紅蓮の攻撃を真っ向から受け止めた。

自分にも・・幸せが待っているはずだった。
妻と娘が待っているはずだった・・。

鏢は攻撃に必死に耐えながら、右目に術をかけた。
その瞬間、紅蓮の吐いた炎が彼のその眼に吸い込まれていく。

驚いた紅蓮は、別の攻撃に切り替えようとした。
しかし鏢は、その一瞬の隙をずっと狙っていた。
彼は炎を取り込んだ目玉をくりぬくと、紅蓮の喉に腕ごと突っ込んでいくー

彼の目は、元々霊力を備えた青紫水晶だった。
初めはためらった紅蓮も、自ら飛び込んできた目玉と腕をおいしそうに食らいつくす。

だがそれこそがー鏢の最終作戦だった。
その目玉には、紅蓮が誇るすべてを破壊する雷が閉じ込めてある。
そこに・・符術を仕掛けていたとしたらどうなる?

鏢の言葉に、紅蓮はようやく気が付いた。
そうか、鏢は自分の腕にあらかじめ符を縫い込んでいたのかーーー!!

その符術は爆砕符といい、すべてのものを微塵とする術がこめられていた。
紅蓮は自分の体が内側から熱に包まれていくのを感じ、雄たけびをあげた。
しかしーそれが彼の最期だった。

そのまま紅蓮の体は内側から爆発し、炎に包まれた。
成す術もなく彼はその炎に身を焼かれ、死んでいく・・。

・・ようやく終わった。
鏢は妻子に呼びかけながら、その場に倒れた。
母娘が急いで介抱し救急車を呼んでくれたが、彼はもう自分の命がもたないことを知っていた。

そこで最後に女性が持っていた酒を飲ませてもらうと、鏢はようやく一息ついて笑みを浮かべた。
ああ、うまいな。うしおと飲んだらもっとうまかっただろうな・・。

それから彼は女性と子供を見据え、子供はいいものだろう・・?とつぶやいた。
そして女性がうなづくのを見届けると、その瞳をそっと閉じた・・。

彼は夢を見た。
おもちゃのおみやげを持って、家に帰る夢を。
そしてドアをノックすると、中から笑顔の妻子が出てくる夢を・・。

意識がないながら、鏢は娘を抱くかのように腕を伸ばした。
その腕を、子供がそっと握りしめる。
そこから伝わってくる温もりに、彼はもう一度ほほ笑んだ。

そして・・2人に見守られながら、鏢は妻子と共に旅立っていくのだったー。


同刻、西の空で白面の者は叫び続けていた。
紅蓮!紅蓮!!

だがその呼びかけに、紅蓮が応えることはついになかった。
白面は苛立ちと怒りで狂わんばかりになるのだった。




















決着と再会

今回は鏢が紅蓮を倒し、亡くなった妻子と再会した話でした。
ついに決着!
やっぱり鏢は亡くなってしまったけれど、最後に看取ってくれる人たちがいて、死後の世界で家族と会えて本当に良かった!!

彼の最期の顔が穏やかだったのも救われました。
長く苦しい人生だったと思います。復讐に身を費やした日々は想像を絶する孤独との戦いだったと思います。
でも鏢、見事にその人生をやり遂げました。うしおたちと再会とならなかったのは残念だけど・・。

お疲れ様、これからは家族とゆっくり過ごしてくださいねー・・。


紅蓮との戦いを続ける鏢。
策を練る彼は隙を窺い続けますが、傷も深く消耗が激しいですね・・。

更に彼が母娘をかばっていることに気づかれてしまい、大ピンチに。
紅蓮は本当に最低な奴ですね。この期に及んで鏢の家族のことを口にし、こけにする。
絶対に倒さずにはおかないーそう強く思わせる、本物の畜生でした。

しかしそんな畜生にも、ついに裁きのときが来ました。
紅蓮の炎の攻撃を、自身の目に吸い取る鏢。
彼はそれを自ら紅蓮に腕もろとも食わせました。

実はその腕には符術が施してあり、目玉の中に溜め込まれた紅蓮の炎と一緒になると爆発する仕組みとなっていたのです。
作戦に気づいたときにはすでに遅く・・そのまま体内から爆発し、燃えていった紅蓮。
ついに鏢は長年の復讐をやり遂げたのでしたー。


その後、消耗しきった鏢はその場に倒れ、守り切った母娘に見守られながらその人生を終えます。
たまたま知り合った母娘とはいえ、最後に側にいてくれる人がいて本当に良かった。
彼らがいたからこそ、鏢の復讐の炎は最後まで消えなかったのだとも思います。
子どもに手を握られて逝けて、鏢はきっと幸せだったんじゃないかなぁ・・。

死後の世界で、ようやく家族と再会した鏢。
これからは家族3人でゆっくりと誰にも邪魔されずに過ごしてほしいですね。

彼がこの世からいなくなるのは寂しく辛いですが、解放されてどこかほっとした思いもあります。
それだけ鏢の人生は辛いものでした。こういう人を、もうこれ以上増やしてはなりませんね。

紅蓮が助っ人に来なかったことで、白面の者の優位はまた1つ崩れていきました。
このまま一気に畳み込み、情勢を逆転させることができればーと思います。

体感では後一息というところまで白面を追い詰めている感じがします。
うしお、とら、皆、もう少し頑張れ!!
鏢が紅蓮を倒したように、うしおたちも絶対に白面を倒すことができるはずですー!!







さて、次回はうしおたちが白面の者を劣勢に追いやる話でしょうか。

鏢に紅蓮が倒されたことで、彼の助けを得ることができなかった白面の者。
結界に動きを封じられ、次第に彼の優勢は崩れ始めています・・。

この勢いでうしおたちは白面を劣勢へと一気にひっくり返すことができるのでしょうかー?!
次回も楽しみです☆